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資料3-12 武藤先生提出資料 (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第77回 3/23)《厚生労働省》
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高齢者における新型コロナウイルス感染症の療養のあり方について(案)
2022 年 3 月 23 日
今村顕史、岡部信彦、尾身 茂、釜萢 敏、高山義浩、舘田一博
中島一敏、中山ひとみ、武藤香織、脇田隆字、和田耕治
秋下雅弘、石垣泰則、草場鉄周
現在、高齢者については、感染した場合には、感染症法に基づく隔離措置として原則入院とされている
(令和3年 10 月 25 日事務連絡)。ただし、感染が拡大し、医療への負荷が高まった際に、病床確保や都
道府県全体の入院調整に最大限努力した上でなお病床がひっ迫する場合で、医師が入院の必要がないと
判断した場合は、宿泊療養(適切な場合は自宅療養)において丁寧な健康観察を行うことができる場合は
そのような取扱いとして差し支えないとされている(令和2年 11 月 22 日事務連絡)。また、高齢者
施設等に入所している者についても、病床ひっ迫時については、やむを得ず施設内での入所を継続する
場合があり、都道府県等において個別の状況(構造・人員等)も考慮し、支援体制を整えることを前提と
した上で、入所継続の指示を行うこととされている(令和3年1月 14 日事務連絡)。
以上のように、入院以外の療養、すなわち自宅療養、宿泊療養、施設内療養については、あくまでも例
外的な取り扱いとされてきた。
しかし、2022 年 1 月から 2 月のオミクロン株を主流とした感染拡大において、特に高齢者の療養につ
いては様々な課題が生じた。例えば、入院を契機としてフレイル(要介護の一歩手前の健康状態)が進み
やすくなっていること、入院期間が長期化するほどその影響が大きいことが指摘されている。また、
COVID-19 を契機とする誤嚥性肺炎の併発や既存疾患の悪化、生活環境の変化による転倒・骨折リスクの
増大、活動量の減少による不可逆的な身体機能の低下、住み慣れた環境や周囲の人々との関係から急激
に切り離されることによる心理面の影響(患者だけでなく家族を含む)なども挙げられる。そのため、要
介護高齢者でなくても、COVID-19 の入院療養から回復後に、入院前の環境での暮らしを再開することが
困難になる場合がある。
今後も中長期的に COVID-19 の流行が繰り返されることを念頭に置きつつ、入院治療を必要とする高齢
者に対しては、より迅速な対応ができるよう、病床確保や搬送にはこれまで以上に配慮する必要がある。
同時に、デルタ株までの流行と比較すると、オミクロン株の流行においては、高齢者における重症化リス
クの低下が確認されている点にも留意が必要である。その人にとっての最善の医療およびケアを人生の
最終段階まで受ける権利等を踏まえ、よりケアを重視した療養場所の選択とケア提供体制の充実に向け
た支援は不可欠である。特に高齢者の場合、入院に伴って日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)が低下
する事態は避けなければならない。
次の感染再拡大に備えて、可及的速やかに、関係者の意見も聞きながら、高齢者の療養のあり方につい
ての具体的な議論を深めるべきだと考える。また、中長期的な対応の方策も検討していくべきである。
以上