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<委員提出資料>北澤委員提出資料 (1 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41751.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 医薬品医療機器制度部会(令和6年度第5回 7/25)《厚生労働省》 |
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厚生科学審議会
医薬品医療機器制度部会
委員提出資料
令和6年7月 25 日
テーマ③国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し「(3)デジタルの活
用による業務改善等」に関する意見
北澤京子(京都薬科大学非常勤講師)
昨年 11 月にプログラム医療機器の二段階承認に関する通知1が発出されました。これは一定の“考え方”
に合致するプログラム医療機器を 2 段階で承認することを可能にするものです。「疾病治療用プログラム医療
機器」に関しては、「最終的に目標とする臨床的意義が確立されていないものの、性能評価に関する試験成績
に加えて、特定の症状緩和又は状態改善等が探索的治験成績に基づき、一定の有効性が蓋然性をもって確
認できる範囲に限定した使用目的又は効果で第1段階承認を取得し、臨床現場で使用された経験を踏まえな
がら市販後に臨床的エビデンス(製造販売後臨床試験やリアルワールドデータ等)が確立された後に、必要に
応じて、承認事項一部変更承認申請又は新規申請等を行って第2段階承認を取得する開発戦略も考えられ
る。」と説明されています。
私は、医療を受ける立場から、プログラム医療機器の二段階承認には以下の問題があると考えます。
(1)臨床的な意義が確立されていないのに、探索的試験の成績だけで(検証的試験を行わずに)承認され
ること。プログラム医療機器の特徴は理解しますが、“一定の有効性が蓋然性をもって確認できる”程度で国が
医療機器としての承認を与え、患者が使えるようにしてもよいのでしょうか。そもそも“一定の有効性”の“蓋然
性”とはどの程度のことを指すのか不明確です。
(2)第 1 段階承認を取得後に臨床的意義を確立するための研究デザインとして、製造販売後臨床試験や
レジストリを含むリアルワールドデータ等を用いた観察研究でよいとされていること。リアルワールドデータ等を
用いた観察研究で、検証的試験として広く行われているランダム化比較試験(RCT)を代替できるのかについ
ては、学術的にもまだ定まっていません2。
(3)第 1 段階承認を取得した後は、保険外併用療養費制度を使って(=当該のプログラム医療機器は患者
の全額自己負担で)保険診療内で使用可能にする3こと。
(1)~(3)を考え合わせると、プログラム医療機器の製造販売企業は、いったん第 1 段階承認を取得すれ
ば、あえて第 2 段階承認をねらわなくても、保険診療内で自社製品を使ってもらえることになります。第 2 段階
承認をねらう場合でも、患者の自己負担と公的医療保険を使って、第 2 段階承認を得る道が開けます。しかし
本来、自社製品の患者に対する有効性と安全性を検証する責任は、あくまで製造販売企業にあるはずです。企
業は自社の責任と費用で、つまり治験の形で検証的試験を行い、その結果をもって承認申請すべきだと思いま
す。また、仮に第1段階承認のまま経過した場合、患者は全額自己負担で当該プログラム医療機器を購入しな
ければならず、経済的状況によって使える患者と使えない患者が出てくるおそれがあります。
「経済財政運営と改革の基本方針 2024」4で言及されたプログラム医療機器の実用化の促進とは、ただた
だ早く承認すればよいというものではないと思います。患者にとって真に有効で安全なプログラム医療機器が
承認され、患者が使えるようになることを望みます。
1
プログラム医療機器の特性を踏まえた二段階承認に係る取扱いについて. 医薬機審発 1116 第 2 号(令和 5 年 11 月 16 日)
https://www.pmda.go.jp/files/000265514.pdf
2
厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)令和 6 年度第 3 回 2024 年 6 月 5 日開催 <委員提出資料>北澤委員提出資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001260846.pdf
3
中央社会保険医療協議会総会(第 576 回)2023 年 12 月 27日開催 保険外併用療養費について(総―5-2)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001184444.pdf
4
経済財政運営と改革の基本方針 2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~. (令和 6 年 6 月 21 日閣議決定)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/2024_basicpolicies_ja.pdf
医薬品医療機器制度部会
委員提出資料
令和6年7月 25 日
テーマ③国民からの信頼性確保に向けた体外診断用医薬品・医療機器の規制の見直し「(3)デジタルの活
用による業務改善等」に関する意見
北澤京子(京都薬科大学非常勤講師)
昨年 11 月にプログラム医療機器の二段階承認に関する通知1が発出されました。これは一定の“考え方”
に合致するプログラム医療機器を 2 段階で承認することを可能にするものです。「疾病治療用プログラム医療
機器」に関しては、「最終的に目標とする臨床的意義が確立されていないものの、性能評価に関する試験成績
に加えて、特定の症状緩和又は状態改善等が探索的治験成績に基づき、一定の有効性が蓋然性をもって確
認できる範囲に限定した使用目的又は効果で第1段階承認を取得し、臨床現場で使用された経験を踏まえな
がら市販後に臨床的エビデンス(製造販売後臨床試験やリアルワールドデータ等)が確立された後に、必要に
応じて、承認事項一部変更承認申請又は新規申請等を行って第2段階承認を取得する開発戦略も考えられ
る。」と説明されています。
私は、医療を受ける立場から、プログラム医療機器の二段階承認には以下の問題があると考えます。
(1)臨床的な意義が確立されていないのに、探索的試験の成績だけで(検証的試験を行わずに)承認され
ること。プログラム医療機器の特徴は理解しますが、“一定の有効性が蓋然性をもって確認できる”程度で国が
医療機器としての承認を与え、患者が使えるようにしてもよいのでしょうか。そもそも“一定の有効性”の“蓋然
性”とはどの程度のことを指すのか不明確です。
(2)第 1 段階承認を取得後に臨床的意義を確立するための研究デザインとして、製造販売後臨床試験や
レジストリを含むリアルワールドデータ等を用いた観察研究でよいとされていること。リアルワールドデータ等を
用いた観察研究で、検証的試験として広く行われているランダム化比較試験(RCT)を代替できるのかについ
ては、学術的にもまだ定まっていません2。
(3)第 1 段階承認を取得した後は、保険外併用療養費制度を使って(=当該のプログラム医療機器は患者
の全額自己負担で)保険診療内で使用可能にする3こと。
(1)~(3)を考え合わせると、プログラム医療機器の製造販売企業は、いったん第 1 段階承認を取得すれ
ば、あえて第 2 段階承認をねらわなくても、保険診療内で自社製品を使ってもらえることになります。第 2 段階
承認をねらう場合でも、患者の自己負担と公的医療保険を使って、第 2 段階承認を得る道が開けます。しかし
本来、自社製品の患者に対する有効性と安全性を検証する責任は、あくまで製造販売企業にあるはずです。企
業は自社の責任と費用で、つまり治験の形で検証的試験を行い、その結果をもって承認申請すべきだと思いま
す。また、仮に第1段階承認のまま経過した場合、患者は全額自己負担で当該プログラム医療機器を購入しな
ければならず、経済的状況によって使える患者と使えない患者が出てくるおそれがあります。
「経済財政運営と改革の基本方針 2024」4で言及されたプログラム医療機器の実用化の促進とは、ただた
だ早く承認すればよいというものではないと思います。患者にとって真に有効で安全なプログラム医療機器が
承認され、患者が使えるようになることを望みます。
1
プログラム医療機器の特性を踏まえた二段階承認に係る取扱いについて. 医薬機審発 1116 第 2 号(令和 5 年 11 月 16 日)
https://www.pmda.go.jp/files/000265514.pdf
2
厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)令和 6 年度第 3 回 2024 年 6 月 5 日開催 <委員提出資料>北澤委員提出資料
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/001260846.pdf
3
中央社会保険医療協議会総会(第 576 回)2023 年 12 月 27日開催 保険外併用療養費について(総―5-2)
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001184444.pdf
4
経済財政運営と改革の基本方針 2024~賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現~. (令和 6 年 6 月 21 日閣議決定)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2024/2024_basicpolicies_ja.pdf