障害福祉サービス等に係る行政処分の基本的な考え方
に関する指定都市市長会要請
先般、全国展開している法人において障害福祉サービス等に係る食材費を過大に徴
収していた問題が、各地で顕在化した中で、関係する自治体ごとに、当該法人が運営
する各サービス事業所の調査を進めるとともに、各自治体が独自に設けている処分基
準や量定に基づき、違反事由に対する処分理由や内容、量定の加重・軽減を判断し、
対応してきた。
障害福祉サービス等については、障害のある方が日常生活を送る上で必要不可欠な
サービスであり、事業者への行政処分は、利用者の日常生活に大きな影響が生じるも
のであるとともに、全国標準の基本的な考え方がない中で、行政処分の理由や内容に
不合理な差異が生じることで、処分を受ける法人側が制度への強い不信感を抱きかね
ないこと、また、こうした状況が続くことで、今後、比例原則・平等原則違反等を理
由とした行政訴訟が、全国で頻発するような事態に発展してしまうことも危惧される。
類似する介護保険制度の行政処分においては、事業者や利用者に与える影響に鑑
み、厚生労働省策定の「介護保険施設等に対する監査マニュアル」等において、全国
標準の基本的な考え方が示されており、各自治体においては、その考え方を参考に処
分基準や量定を定め、処分が行われているところである。
こうしたことを踏まえ、障害福祉サービス等についても、法に違反した事業者に対
する行政処分については、処分の公正性の観点から、主たる処分の理由やその結果に
不合理な差異が生じないよう、介護保険制度と同様、本来、国がモデルとなる全国標
準の基本的な考え方を示し、当該考え方を参考に自治体が地域の実情に応じた処分基
準や量定を定め、処分を実施すべきものと捉えている。
以上のことから、障害福祉サービス等に係る行政処分の公正性を確保し、もって、
持続的かつ安定的な制度運営を図ることを目的として、下記のとおり要請する。
記
１

障害福祉サービス等に係る行政処分の基準や量定等を定めるに当たり、不合理な
差異が生じないよう、処分程度の考え方や処分基準の考え方の一例など、全国標準
の基本的な考え方を示すこと。

２

全国標準の基本的な考え方を策定するに当たっては、各地方自治体の実情や与え
る影響なども十分に考慮し、事前の意見聴取や協議を行うこと。
令和６年１２月１１日
指 定 都 市 市 長 会