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資料5 中長期の経済財政に関する試算を踏まえて(有識者議員提出資料) (1 ページ)

公開元URL https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0117/agenda.html
出典情報 経済財政諮問会議(令和7年第1回 1/17)《内閣府》
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資料5
中長期の経済財政に関する試算を踏まえて
2025年1月17日
十倉 雅和
中空 麻奈
新浪 剛史
柳川 範之
経済・財政・社会保障の持続性確保に向けて、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」へと移行し、中
長期試算の成長移行ケースのように、人口減少下でも、実質1%を上回る成長を実現する必要がある。我
が国を成長型経済へと導く予算・税制、規制・制度改革による措置を一体的・効果的に実行していくべき。
またこのためにも、各年度の予算編成において、経済再生と財政健全化を両立させなければならない。
政府は、「経済あっての財政」との考え方の下、2025年度のPB黒字化を目指して取り組んできたが、今回
の中長期試算では同年度のPBは黒字化しない見通しが示された。この結果の検証・反省を次につなげ
ることで、我が国財政の信認を確保していくことが重要である。こうした考え方に基づき、以下提言する。
1.財政健全化の進捗の検証
今回の試算結果は、2025年度にPBは黒字化しないものの、総じてみれば財政健全化に向けた前進
が確認できる。ただし、今後の経済状況の変化やそれに伴う追加的な対応が生じる可能性には十分に留
意する必要がある。
 2025年度のPBは、黒字化しないものの、対GDP比▲0.7%程度と、PB目標を掲げた2001年度以降で
最も赤字幅が縮小する見通し1。これまでの政策運営により、財政状況は着実に改善。
 2025年度のPBの変化要因をみると、経済成長に伴う税収の増加や歳出改革は改善に寄与。他方、
経済対策による支出増や、物価上昇・就業調整への税制面での対応、防衛力強化財源の影響等が下
押し。引き続き、「経済あっての財政」の考え方の下、必要な政策は講じつつ、歳出構造の平時化等、
次の有事に備えた財政運営は重要。
 PB黒字化の時期は、2026年度の見通し。骨太方針2024で示された「経済・財政新生計画」の計画期
間(2030年度まで)を通じた、中期的な財政の姿は大きくは変動していない。
 公債等残高対GDP比は、7月試算から上振れ。ただし、成長移行ケースでは徐々に低下し、過去投
影ケースでは2020年代後半に上昇に転じる姿は変わらない。PB改善とともに、成長力強化が重要。
2.経済再生と財政健全化の両立に向けて
以上の進捗を踏まえれば、早期のPB黒字化に向け、「経済・財政新生計画」の枠組み 2の下、潜在成長
率の引上げに重点を置いた財政運営に取り組むとともに、これまでの歳出改革努力や歳出構造の平時
化、恒常的な支出増に対する財源確保などを継続すべき。その際、「EBPMアクションプラン」と「改革実
行プログラム」に沿って、プロセス管理とデータに基づくワイズスペンディングを徹底することが重要。
その上で、今年の骨太方針に向けた議論の中で、特に次の点を審議すべき。
 最低賃金の引上げを始めとする賃上げの中長期的な経済への波及の把握
 投資に係る環境や効果の分析と、企業部門が投資超過へとシフトしていくために必要な方策
 現行計画の枠組みの下での、早期のPB黒字化実現を含む、財政健全化に向けた取組
 社会保障の給付と負担等に係る新たな将来見通しの提示と、全体像を踏まえた社会保障改革の推進
 経済・物価動向等に配慮した歳出改革努力や公的部門のエッセンシャルワーカー確保に向けた方策
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2001年度以降の実績で、最も小さい国・地方のPB赤字幅は2007年度の対GDP比▲1.3%。
「経済・財政新生計画」(骨太方針2024)では、2025年度のPB黒字化目標のほか、「計画期間を通じ、その取組の進捗・成果を
後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と財政健全化を両立させる歩みを更に前進さ
せる。」という2030年度まで(計画期間)の方針が示されており、その上で、2027年度までのこれまでの歳出改革努力の継続、
EBPMの強化策及び経済・財政一体改革の工程の具体化による改革の着実な推進等が定められている。