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【資料2-1】 小黒構成員からの提出資料 (11 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27702.html
出典情報 医薬品の迅速かつ安定的な供給のための流通・薬価制度に関する有識者検討会(第1回 8/31)《厚生労働省》
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「歴史の転換点における財政運営」(令和4年5月25日・財政制度等審議会)

11

g)薬剤費総額に係るマクロ経済スライド制度の検討
薬剤費総額については、既に述べたとおり、薬価改定が行われなかった場合の年平均5%程度の伸び率を薬価改定によ
り年平均伸び率2%弱まで調整しており、薬剤費の適正化は一定の成果を挙げていると見ることもできる。しかし、あ
くまで事後的なものに過ぎない。事前の財政規律が設けられておらず、新規医薬品の保険収載などが事前の予算統制の
埒外となっていることは、財政の予見可能性が乏しいと言わざるを得ない。
他方、真にイノベーティブな新薬等についてまで薬価改定が行われることについては、改定ルールの頻繁な変更と相
俟って、イノベーションを阻害するとの指摘がある。
そこで、真にイノベーティブな新薬等については薬価を一定期間維持することとしつつ、事前の財政規律として薬剤給
付費の伸び率が経済成長率と乖離しないといった薬剤費総額に係るルールを設け、その実効性を担保するために他の医
薬品薬価改定率を調整するマクロ経済スライド制度を導入すべきとの考え方が生まれる。賦課方式をとる我が国の社会
保険制度のもとで、生産年齢人口が急減していくことを踏まえれば、現役世代の負担能力を重視し、給付費の伸びと経
済成長率の整合性をとっていくことには一定の合理性がある。 薬価改定率の調整に当たっては、現行の調整幅の水準
を調整していくことが考えられる。
このようにして安定的に保証された医薬品市場の伸びの中でこそ、いかに薬剤費をイノベーションの推進に振り向けて
いくかという観点から、薬価算定方式の透明性・予見可能性の向上を図っていくことなどに傾注していくことが可能と
なる。
以上の提案の成否は、一定期間価格維持を図っていくべき医薬品とそれ以外の医薬品の線引きをどうするか、前者につ
いて真にイノベーティブな医薬品等に限定できるか、規律のメルクマールとする経済成長率を実績と乖離かいりしない
堅実なものとできるか、などによっても大きく左右される。
こうした薬剤費総額に係る事前の財政規律の導入とその実効性を担保する具体的な仕組みづくりが実現しない場合には、
市場拡大再算定をはじめとする現行の薬価改定ルールに基づく適正化の徹底を図っていくよりほかはない。既に民間団
体から具体的な提案もなされており、関係者において建設的な議論が進展することを期待したい。〔資料Ⅱ-1-56参
照〕