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資 料1 感染症安全対策体制整備事業(令和3年度)実績報告 (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28731.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会安全技術調査会(令和4年度第3回 10/25)《厚生労働省》 |
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令和4年度第3回安全技術調査会
資料1
感染症安全対策体制整備事業 (令和 3 年度) 実績報告
事業代表者 濵口 功
国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター センター長
報告者 水上 拓郎 国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター 1室 室長
1.
事業の目的
輸血用血液製剤を含む血液製剤は,ヒト血液を原料とするためウイルス等の病原体混入のリスクが常に
存在しており, 日本では HIV, HCV, HBV や梅毒,パルボウイルス B19 等に関しては,血清学的検査,核
酸増幅検査が実施されており,極めて高い安全性が保持されてきた。しかし,グローバル化が進む現代に
おいては国内ではほとんど発生例のないような感染症,特に海外での新興・再興感染症が国内に輸入さ
れ,問題となることが少なくない。そこで平成 25 年4月より新たな病原体が移入した場合に備えて国立感染
症研究所と厚生労働省血液対策課,日本赤十字社とが連携し 「感染症安全対策体制整備事業」 を開始
した。
本事業では日本の献血血液への混入のリスクのある病原体について,高感度の核酸検査法や標準品・
参照品パネルを整備し,将来的な血液の安全性対策に資することを目的としている。令和 3 年度は 2019
年末に発生した新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) に関し,その後, 発生してきた新規変異株に対応す
るため, 複数の高感度 Primer を組み合わせた Multiplex 高感度核酸検査法を開発するとともに, アルファ,
ベータ, ガンマ, オミクロンなどの新規変異株を不活化して作製した「変異株参照品パネル」を整備し, 既
に令和 2 年度に複数施設による共同測定で値付け・整備した国内参照品を元に, 相対的な核酸量の参考
値を付与することとした。
2.
実施内容
課題 1. SARS-CoV-2 に対する高感度核酸検査法の開発
SARS-CoV-2 感染に関し,一部の重症患者の血液から, 核酸検査 (PCR) によりウイルス RNA が検出
されることが報告されたため, 無症候性感染者からの献血を想定し,献血血液にウイルスが存在するリスク
に至急備える必要があった。また, 様々な変異株が出現し,変異株の流行により,病原性の変化, 検査系
における感度の低下等も懸念されうるので,WHO が定める「懸念される変異株(Variants of Concern; VOC)」
などに関しては変異株等に対応可能な高感度 multiplex PCR 検出法の開発とともに,参照品及び変異株
パネル参照が必要となった。
そこで,本事業では献血血液に微量に混入したウイルスを検出可能な高感度核酸検査系を別途開発し
準備することを目的とした。令和3年度は令和2年度に開発した高感度核酸検査法を発展させ, 複数の高
感度 Primer を組み合わせた Multiplex 高感度核酸検査法を開発することとした。
研究方法および結果
高感度 multiplex RT-PCR 法の構築
変異株対策として令和2年度に構築した複数の高感度 primer-probe を multiplex 化して, 多くの変異株
を包括的に検出できる核酸検出系とすることとした。構築した 11 セットの内, NCBI 登録株約 4000 株(2020
年 5 月時点)に対して相同性を評価し, 登録株と 100%一致する率が 99%以上の primer-probe を変異によ
るミスマッチの生じにくい高感度 primer-probe として 3 セット選出し (Table.1), Multiplex 化した。感度評価
の結果, Single 系と 3plex 系で増幅効率が変わらないことを確認した (Table.2)。
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資料1
感染症安全対策体制整備事業 (令和 3 年度) 実績報告
事業代表者 濵口 功
国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター センター長
報告者 水上 拓郎 国立感染症研究所 次世代生物学的製剤研究センター 1室 室長
1.
事業の目的
輸血用血液製剤を含む血液製剤は,ヒト血液を原料とするためウイルス等の病原体混入のリスクが常に
存在しており, 日本では HIV, HCV, HBV や梅毒,パルボウイルス B19 等に関しては,血清学的検査,核
酸増幅検査が実施されており,極めて高い安全性が保持されてきた。しかし,グローバル化が進む現代に
おいては国内ではほとんど発生例のないような感染症,特に海外での新興・再興感染症が国内に輸入さ
れ,問題となることが少なくない。そこで平成 25 年4月より新たな病原体が移入した場合に備えて国立感染
症研究所と厚生労働省血液対策課,日本赤十字社とが連携し 「感染症安全対策体制整備事業」 を開始
した。
本事業では日本の献血血液への混入のリスクのある病原体について,高感度の核酸検査法や標準品・
参照品パネルを整備し,将来的な血液の安全性対策に資することを目的としている。令和 3 年度は 2019
年末に発生した新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) に関し,その後, 発生してきた新規変異株に対応す
るため, 複数の高感度 Primer を組み合わせた Multiplex 高感度核酸検査法を開発するとともに, アルファ,
ベータ, ガンマ, オミクロンなどの新規変異株を不活化して作製した「変異株参照品パネル」を整備し, 既
に令和 2 年度に複数施設による共同測定で値付け・整備した国内参照品を元に, 相対的な核酸量の参考
値を付与することとした。
2.
実施内容
課題 1. SARS-CoV-2 に対する高感度核酸検査法の開発
SARS-CoV-2 感染に関し,一部の重症患者の血液から, 核酸検査 (PCR) によりウイルス RNA が検出
されることが報告されたため, 無症候性感染者からの献血を想定し,献血血液にウイルスが存在するリスク
に至急備える必要があった。また, 様々な変異株が出現し,変異株の流行により,病原性の変化, 検査系
における感度の低下等も懸念されうるので,WHO が定める「懸念される変異株(Variants of Concern; VOC)」
などに関しては変異株等に対応可能な高感度 multiplex PCR 検出法の開発とともに,参照品及び変異株
パネル参照が必要となった。
そこで,本事業では献血血液に微量に混入したウイルスを検出可能な高感度核酸検査系を別途開発し
準備することを目的とした。令和3年度は令和2年度に開発した高感度核酸検査法を発展させ, 複数の高
感度 Primer を組み合わせた Multiplex 高感度核酸検査法を開発することとした。
研究方法および結果
高感度 multiplex RT-PCR 法の構築
変異株対策として令和2年度に構築した複数の高感度 primer-probe を multiplex 化して, 多くの変異株
を包括的に検出できる核酸検出系とすることとした。構築した 11 セットの内, NCBI 登録株約 4000 株(2020
年 5 月時点)に対して相同性を評価し, 登録株と 100%一致する率が 99%以上の primer-probe を変異によ
るミスマッチの生じにくい高感度 primer-probe として 3 セット選出し (Table.1), Multiplex 化した。感度評価
の結果, Single 系と 3plex 系で増幅効率が変わらないことを確認した (Table.2)。
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