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参考資料4-12 発症からの感染可能期間と再陽性症例における感染性・二次感染リスクに関するエビデンスのまとめ(令和3年度第2回安全技術調査会参考資料1-8) (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28731.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会安全技術調査会(令和4年度第3回 10/25)《厚生労働省》
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令和4年度第3回安全技術調査会

参考資料4-12
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発症からの感染可能期間と再陽性症例における感染性・二次感染リスクに関するエ
ビデンスのまとめ
2021年2月18日
国立感染症研究所感染症疫学センター

令和2年3月6日の結核感染症課事務連絡「『新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の陰性が確認され退院される患者の方々
へ』の配布について」では、退院後の経過観察期間を4週間設け、再陽性化等に備えた症状の経過観察や感染管理などを求め
ていたが、現行の退院基準のうち、退院時に検査を実施しない場合の基準(発症日から10日間かつ症状軽快後72時間経過)と
の齟齬が生じているとの指摘もあり、発症からの感染可能期間についてのエビデンスや再陽性症例における感染性や二次感染
リスクに関するエビデンスをまとめた。
なお、本文書においては、発症初日を発症0日目として、発症翌日を発症1日目と定義している。

1.発症10日目以降の症例からの感染リスクについて
新型コロナウイルス感染症においては、症状が消失してからも長期的に SARS-CoV-2 RNAが陽性になる症例が一定数あるこ
とは知られている[1]。これらの症例で感染性が持続する期間についての検討がいくつかの報告でなされており、RNAが陽性で
あっても必ずしも感染性のあるウイルス粒子が存在しているとは限らず、軽症・中等症においては、発症10日目以降の症例か
らの感染のリスクは低いことが示唆される。

2020年1月から8月までの文献を用いてSARS-CoV-2 核酸検査(PCR法など)陽性患者の感染可能期間を調べたシス
テマティックレビューでは、軽症から中等症の患者において、発症11日目・12日目にそれぞれ1例ずつ感染性のあるウ
イルスが分離された症例を含む報告があるが、その他では、ウイルスが分離されるのは、発症10日目までであった
[2]。
台湾における確定症例100例の濃厚接触者2,761例(発症率は0.7%)の追跡では、確定症例の発症5日以内の接触者で
は陽性発症者が1%(二次発症率)であったのに対して、6日以降の接触者では陽性発症者(二次発症者)を認めなか
った[3]。
英国における確定症例269例の濃厚接触者472例についての追跡では、確定症例の発症5日経過後以降の二次発症者を
認めなかった[4]。
日本からの報告として、発症9日目の鼻咽頭ぬぐい液、発症13日目の気管吸引物から、感染性のあるウイルスが分離さ
れたとの文献があるが、重症度についての情報は不明であった[5]。

2.再陽性症例における感染性についてと二次感染リスクについて
退院後の患者の呼吸器検体のSARS-CoV-2 RNA再陽性化についての検討では、PCR等核酸検査での再陽性化が見られたとして
も、ウイルス培養の陽性化(感染性の再燃)や二次感染を生じるという報告は現時点では国内外ともに見つからなかった。

隔離解除後に再度SARS-CoV-2 再陽性となった285名を対象に行われた韓国CDCの調査では、再陽性となった人の感
染期間の接触者790名から二次感染者は発生しなかった他、再陽性となった108検体のウイルス培養はすべて陰性であ
った[6]。
中国における退院後に再陽性となった87名 (14%)の検討では、再陽性例は、他の患者と同様の中和抗体価を示し、
感染性のあるウイルス株は分離されなかった[7]。
中国広東省の32の指定病院から退院後28日間の経過観察期間中に再陽性となった189名(14.7%)では、その濃厚接
触者から二次感染者を認めなかった[8]。

3.SARS-CoV-2排泄が長引く場合について
軽症や中等症においては上記の通り、発症10日目以降であれば感染性のあるウイルスが残存している可能性は低いと考えられ
る。重症者や免疫不全者では感染性のあるウイルス排泄が長引く可能性が示唆されている[9,10,11,12]

重症・重篤な新型コロナウイルス感染症入院患者129名(30名の免疫不全患者を含む)を対象とし、気道検体のウイル
ス培養から感染性の持続期間を検討した研究では、感染性を有するウイルス分離期間の中央値は発症後8日(四分位範
囲:5-11、範囲:0-20日)であった。ウイルス分離可能性は、発症15.2日で5%以下まで低下した[13]。
免疫不全患者20名のウイルス分離を行った研究では、発症後20日以降も3名の患者からウイルスが培養された。これら
の患者は同種造血幹細胞移植を受けた患者2名(発症後25日、26日)とキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法を
受けた1名(発症後61日)で、重症免疫不全患者では発症20日目以降も感染性を有するウイルスが分離される可能性が
示された[14]。
年齢に関しては、高齢がRNA排泄持続の独立したリスク因子であることを示す研究が報告されているが、感染性のある
ウイルス排泄が遅延したという研究は報告されていない[11, 15]。

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