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資料3-11 齋藤先生提出資料 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード (第111回 12/21)《厚生労働省》
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1.サマリー
新 型 コ ロ ナ ウ イ ル ス の ゲ ノ ム サ ー ベ イ ラ ン ス に お い て 、 日 本 国 内 で 検 体 採 取 さ れ 、 COG-JP
(COVID-19 Genomic Surveillance Network in Japan)システムに登録された遺伝子配列情報の解析をお
こない、「新型コロナウイルスに対する抗体治療薬の効果に影響を及ぼす可能性があるウイルスゲノム
変異によるアミノ酸置換」について集計をおこなった。以下、効果に影響を及ぼす可能性のある抗体治
療薬は括弧[ ]内に記載する。最近の8週間(2022/9/26 - 2022/11/20)
(2022 年 11 月 25 日時点集計:
暫定)に国内で採取された計 15,005 件の検体について、検出されたウイルスのほぼ 100%に、スパイク
タ ン パ ク 質 の ア ミ ノ 酸 K417 [Casirivimab ]、 E484 [Casirivimab ]、 S371 [Sotrovimab ]、 N440
[Imdevimab]、F486 [Casirivimab と Tixagevimab]の置換が認められた。加えて、2022 年第 23 週
(2022/6/6 - 2022/6/12)以降一旦消失した R346 [Cilgavimab]の置換が、直近 41 週(2022/10/10 2022/10/16)から再び検出されるようになった。現行の変異は、アルギニン(R)がトレオニン(T)
にアミノ酸置換しており(R346T)、2022 年第 15 週~第 22 週(2022/4/11 - 2022/6/5)に検出された
アルギニン(R)がリジン(K)に置換(R346K)したウイルスとは異なる。この変異は現在増加傾向
にあり、2022 年第 46 週(2022/11/14 - 2022/11/20)には 18.18%に達している。一方、長期的視野で
集計された8週間単位(2021 年第 43 週~2022 年第 46 週)(2022 年 11 月 21 日時点集計:暫定)の推
移においては、スパイクタンパク質のアミノ酸 G446 [Imdevimab]、Q493 [Casirivimab]の置換をもつウ
イルスの消失が見られた。
今回、集計を行ったアミノ酸置換部位はスパイクタンパク質のレセプター結合部位付近のみであり、
本レポートは受容体結合ドメインの結合に影響を与えうる単変異に関するまとめである。ここで列挙し
ている単変異の薬剤感受性への影響について記載されている解釈は、今後も変更される可能性があるこ
と(単変異だけでなく複数のアミノ酸置換による影響や、その複合的な影響によっても臨床的効果に影
響を及ぼす可能性があることなど)に留意が必要である。また、これらのアミノ酸置換は、実際の薬剤
の効果にあたっては中和活性の測定や臨床研究によって行われる必要があり、必ずしも臨床的効果に影
響を与えるとは限らないことにも留意する必要がある。
2.背景
新型コロナウイルス感染症の重症患者や重症化リスクのある患者の治療には、抗体治療薬などのウイ
ルス特異的治療薬が用いられている。しかし、ウイルスの遺伝子変異により抗体治療薬の作用を逃避す
る変異ウイルスの発生が懸念される。抗体治療薬の効果に影響を及ぼす可能性のあるアミノ酸置換は多
数報告されているため、それらのアミノ酸置換の発生動向をゲノムサーベイランスによって把握し、臨
床的効果への影響を評価することは、抗体治療薬の使用判断において必要な知見となる。本レポートは、
COG-JP システムに登録された国内の新型コロナウイルスのゲノム情報を解析し、現状国内で伝播して
いるウイルスのアミノ酸置換が抗体治療薬の効果に影響を及ぼす可能性を評価するものである。ただし、
アミノ酸置換が起こっても、その置換が必ずしも抗体治療薬の効果に影響を与えない場合があることは、
重要な留意点である。
3. ゲノム解析の推移
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