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資料 先-3○先進医療Bの総括報告書に関する評価について (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00059.html
出典情報 先進医療会議(第123回 8/2)《厚生労働省》
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が、有意性はみられなかった。CPC とは異なる神経学的機能の評価として mRS を用いた
場合には、スコア順位は水素群が対象群より有意に低く、水素群の神経学的転帰は良好
であった(P=0.01、Mann-Whitney’s test)。また、後遺障害や症状の訴えのない mRS0
の割合は水素群に有意に多かった(リスク比: 2.18 [95%信頼区間:1.04 – 4.56]、オッ
ズ比: 3.18 [95%信頼区間:1.12 – 9.06]、P=0.03、NNT=4.0)。90 病日後の生存者の MMSE
と GCS については水素群と対象群の間に有意の差は見られなかった。
[安全性の評価結果]
死亡については副次的評価項目としての「90日後生存率」で水素群が対照群に比して
死亡率が低かったことから、水素吸入による死亡の増加は観察されなかったと言える(水
素群15%、対照群39%)。また、試験用ガス吸入との因果関係が疑われる死亡は観察され
なかった。その他の有害事象についても、人工呼吸管理を要する病態のため肺炎をはじ
めとした感染症が多く発生し、CRPの上昇が多く報告されたが、その発生頻度は両群間で
有意差を認めず、臨床的にも試験用ガス吸入との因果関係を考慮すべき事象の報告はな
かった。
[総括]
主要評価項目に挙げた有効性評価は、統計学的有意差を観察しえなかったが、副次的
評価項目によって、院外心停止後症候群に対する水素吸入療法は90日後の死亡率の改善
と神経学的予後の改善に寄与することが強く示唆された。本試験において安全性に関す
る懸念事項は観察されなかった。
2.先進医療技術審査部会における審議概要及び検討結果
(1) 開催日時:令和5年7月 13(木)16:00~
(第 150 回 先進医療技術審査部会)
(2) 議事概要及び検討結果
慶應義塾大学病院から提出のあった総括報告書について、先進医療技術審査部会
で、有効性・安全性等に関する評価が行われ、重要な指摘事項、総評としての概要
は以下のとおりであった。
○ 副次評価項目である 90 病日後の mRS や生存率では一定の有効性を示唆するデ
ータが得られているものの、主要評価項目での優越性を示すことはできなか
った。しかし、試験自体は RCT でもあり、高いエビデンスを創出した重要な
研究であるといえる。
○ 本試験では、主要評価項目での優越性を示すことができなかったため、現時
点で本試験の結果をもって薬事承認申請に持ち込むことはできないと考えら
れる。仮に薬事承認を目指すのであれば、臨床的な有用性を別の形で示す必
要がある。すなわち、この試験の結果をもとに主要評価項目を再検討した上
で、より大きな RCT を実施する必要があるだろう。ただし、研究者自身が考
察しているとおり、この技術を臨床応用するには、救急医療現場の相当なリ
ソースを必要とすることを鑑みると、現実的にはその可能性は低いものと考
えられる。
当該技術の総括報告書を了承し、先進医療会議に報告することとした。

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