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参考資料3-3 WHO資材翻訳書2 抜粋 (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html |
出典情報 | がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》 |
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資料2-2
訳者
序文
この度、世界保健機関(WHO)が1968年に出版したWilson, JMG and Jungner,
G著のPrinciples and Practice of Screening for Disease(WHO,1968)の日本語版を
上梓いたしました。本書は出版以来、半世紀以上を経た今もなお世界で参照される
スクリーニングに関するバイブル的著作といえます。我が国では本書の核ともいえ
る10か条からなるスクリーニングの基準(W-J基準)が福井次矢先生や辻一郎先生
により日本語で紹介されてきましたが、全訳はありませんでした。
スクリーニングは健康な対象集団へのアプローチ法として種々の成果を上げて
きましたが、そのもっとも代表的なものとしてW-J基準に基づく組織型検診と呼ば
れる手法で行われたがん検診により、多くの国で子宮がんと乳がんの死亡率の著明
大島
明
な低下を実現してきた事例があげられます。その一方で、わが国ではがん検診導入
監訳
からすでに約半世紀を経て、今なおその効果はほとんど認められていません。導入
時にすでに存在したW-J基準に基づく原則が共有されずに行われてきたことが主な
雑賀公美子
要因です。老人保健法下に行われていたがん検診が平成10年(1998年)にいわゆる
松坂 方士
斎藤
博
一般財源による実施となり、自治体が検診法を決めて行うようになって以降、がん
訳
死亡率を減少させる科学的根拠がない手法によるがん検診が導入され続けてきまし
た。
このようなわが国での現状を変えるには、がん検診の理解共有のために誰もが認
める「教科書」が必要と、長年考えてきました。今思えば、きっかけは国立がんセ
ンター(当時)名誉総長の故杉村隆先生からのお一言でした。先生のご支援で日本
対がん協会の都道府県支部長を対象とした研修会を開催したことがありました。当
時、効果的な検診の実施を全国に広めていくために、厚労省事業により「かかりつ
け医のためのがん検診ハンドブック」を作成し、それを用いた研修会をあちこちで
開催したものでした。
「受診率向上」が事業の名目でしたが、その要件も含め、組
織型検診の紹介が研修会の内容でした。会の終了後に、杉村先生から「がん検診の
教科書はないのかね。ないなら作りなさい。」とのコメントをいただきました。明
確な基準が理解されないままに行われている我が国のがん検診の実態を研修会での
議論の様子から鋭く見抜いた慧眼に感服したものでした。
その後、実現に至らずここまで来てしまったのは小生の浅学菲才のために他なり
ません。客観性が保証された誰もが認める教科書をいかに作れるかという課題もあ
りました。しかし、令和2(2020)年度にがん検診の情報提供資材を作成する研究
班を担当することになり、早速、まずは専門家向けの教科書資材の開発を課題に立
てました。その中で訳者の雑賀の提案をきっかけに本書の翻訳という想いを固め、
いよいよ長年の懸案を解決する機会が到来したと実感しました。今回、こうして本
ii
書を出版できたのは実に感慨深いことです。
目次
本書は、スクリーニングに関する知識を手軽に提供する技術書やマニュアルでは
ありません。しかし、がん検診で成果を上げてきた国々をはじめ、世界で共有され
ているスクリーニングの原則や基準を記述したまさに原典ともいうべき資料です。
序論 …………………………………………………………………………………
1
第1章
定義 ………………………………………………………………………
2
第2章
原則 ………………………………………………………………………
5
第3章
実践 ……………………………………………………………………… 35
第4章
疾患スクリーニングの実例 …………………………………………… 72
第5章
スクリーニングの方法論の動向 ……………………………………… 130
第6章
結論 ……………………………………………………………………… 142
も う 一 つ 教 科 書 的 な 資 材 と し てWHO:Screening programmes : a short guide
(2020)の日本語訳を出版しましたが、こちらは本書を踏まえ、平易に書かれたス
クリーニングプログラムの実際の運用に役立つ内容です。
翻訳するにあたって、本書は些か難解でもあり、また記述の大半は50年以上前の
知見に関するもので、広く読者が得られるかという懸念がありました。この点、訳
者間で議論し、本書の核心ともいうべきW-J基準はわが国でも今後は少なくともス
クリーニングに関与する医療者には必須の知識であり、そのためにはその原典を容
易に読める形で確保しておく必要があり、全訳すべきと判断しました。
本書を訳すにあたって監訳を大島明先生にお願いできたことは大きな力になり
ました。大島先生は本書を出版初期に読まれた稀有なおひとりと考えて間違いなく、
さらにはがん検診の科学的根拠は死亡率低下によって示されることをわが国で最初
に指摘され、小生もご指導いただいた一人です。貴重な時間を割いて監訳、ご指導
いただき、本資材の質を高めていただいたものと心より感謝します。
WHO:Screening programmes : a short guide(2020)と併せて本資材が広く活
参考文献 …………………………………………………………………………… 148
用・参照されることを期待するとともに、近い将来、わが国でも検診の成果が上が
ることを切に願いながら序文といたします。
2022年11月
訳者
斎藤
博
記
謝辞
本書は厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「がん検診の利
益・不利益等の適切な情報提供の方法の確立に資する研究」班(研究代表者・斎藤
博)の助成によって作成されました。翻訳にあたり、同研究班の研究分担者の先生
方にご協力をいただきました。ここに厚くお礼申し上げます。
iii
vii
訳者
序文
この度、世界保健機関(WHO)が1968年に出版したWilson, JMG and Jungner,
G著のPrinciples and Practice of Screening for Disease(WHO,1968)の日本語版を
上梓いたしました。本書は出版以来、半世紀以上を経た今もなお世界で参照される
スクリーニングに関するバイブル的著作といえます。我が国では本書の核ともいえ
る10か条からなるスクリーニングの基準(W-J基準)が福井次矢先生や辻一郎先生
により日本語で紹介されてきましたが、全訳はありませんでした。
スクリーニングは健康な対象集団へのアプローチ法として種々の成果を上げて
きましたが、そのもっとも代表的なものとしてW-J基準に基づく組織型検診と呼ば
れる手法で行われたがん検診により、多くの国で子宮がんと乳がんの死亡率の著明
大島
明
な低下を実現してきた事例があげられます。その一方で、わが国ではがん検診導入
監訳
からすでに約半世紀を経て、今なおその効果はほとんど認められていません。導入
時にすでに存在したW-J基準に基づく原則が共有されずに行われてきたことが主な
雑賀公美子
要因です。老人保健法下に行われていたがん検診が平成10年(1998年)にいわゆる
松坂 方士
斎藤
博
一般財源による実施となり、自治体が検診法を決めて行うようになって以降、がん
訳
死亡率を減少させる科学的根拠がない手法によるがん検診が導入され続けてきまし
た。
このようなわが国での現状を変えるには、がん検診の理解共有のために誰もが認
める「教科書」が必要と、長年考えてきました。今思えば、きっかけは国立がんセ
ンター(当時)名誉総長の故杉村隆先生からのお一言でした。先生のご支援で日本
対がん協会の都道府県支部長を対象とした研修会を開催したことがありました。当
時、効果的な検診の実施を全国に広めていくために、厚労省事業により「かかりつ
け医のためのがん検診ハンドブック」を作成し、それを用いた研修会をあちこちで
開催したものでした。
「受診率向上」が事業の名目でしたが、その要件も含め、組
織型検診の紹介が研修会の内容でした。会の終了後に、杉村先生から「がん検診の
教科書はないのかね。ないなら作りなさい。」とのコメントをいただきました。明
確な基準が理解されないままに行われている我が国のがん検診の実態を研修会での
議論の様子から鋭く見抜いた慧眼に感服したものでした。
その後、実現に至らずここまで来てしまったのは小生の浅学菲才のために他なり
ません。客観性が保証された誰もが認める教科書をいかに作れるかという課題もあ
りました。しかし、令和2(2020)年度にがん検診の情報提供資材を作成する研究
班を担当することになり、早速、まずは専門家向けの教科書資材の開発を課題に立
てました。その中で訳者の雑賀の提案をきっかけに本書の翻訳という想いを固め、
いよいよ長年の懸案を解決する機会が到来したと実感しました。今回、こうして本
ii
書を出版できたのは実に感慨深いことです。
目次
本書は、スクリーニングに関する知識を手軽に提供する技術書やマニュアルでは
ありません。しかし、がん検診で成果を上げてきた国々をはじめ、世界で共有され
ているスクリーニングの原則や基準を記述したまさに原典ともいうべき資料です。
序論 …………………………………………………………………………………
1
第1章
定義 ………………………………………………………………………
2
第2章
原則 ………………………………………………………………………
5
第3章
実践 ……………………………………………………………………… 35
第4章
疾患スクリーニングの実例 …………………………………………… 72
第5章
スクリーニングの方法論の動向 ……………………………………… 130
第6章
結論 ……………………………………………………………………… 142
も う 一 つ 教 科 書 的 な 資 材 と し てWHO:Screening programmes : a short guide
(2020)の日本語訳を出版しましたが、こちらは本書を踏まえ、平易に書かれたス
クリーニングプログラムの実際の運用に役立つ内容です。
翻訳するにあたって、本書は些か難解でもあり、また記述の大半は50年以上前の
知見に関するもので、広く読者が得られるかという懸念がありました。この点、訳
者間で議論し、本書の核心ともいうべきW-J基準はわが国でも今後は少なくともス
クリーニングに関与する医療者には必須の知識であり、そのためにはその原典を容
易に読める形で確保しておく必要があり、全訳すべきと判断しました。
本書を訳すにあたって監訳を大島明先生にお願いできたことは大きな力になり
ました。大島先生は本書を出版初期に読まれた稀有なおひとりと考えて間違いなく、
さらにはがん検診の科学的根拠は死亡率低下によって示されることをわが国で最初
に指摘され、小生もご指導いただいた一人です。貴重な時間を割いて監訳、ご指導
いただき、本資材の質を高めていただいたものと心より感謝します。
WHO:Screening programmes : a short guide(2020)と併せて本資材が広く活
参考文献 …………………………………………………………………………… 148
用・参照されることを期待するとともに、近い将来、わが国でも検診の成果が上が
ることを切に願いながら序文といたします。
2022年11月
訳者
斎藤
博
記
謝辞
本書は厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「がん検診の利
益・不利益等の適切な情報提供の方法の確立に資する研究」班(研究代表者・斎藤
博)の助成によって作成されました。翻訳にあたり、同研究班の研究分担者の先生
方にご協力をいただきました。ここに厚くお礼申し上げます。
iii
vii