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参考資料3-3 WHO資材翻訳書2 抜粋 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34640.html
出典情報 がん検診のあり方に関する検討会(第39回 8/9)《厚生労働省》
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第2章

第2章

原則

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原則

“ਜ਼৙ʤ[࣮‫׳‬Ν༙͢͵͏]ʥ”

一般的な検討事項
A

疾患の早期発見の目的
疾患の早期発見(時として二次予防と呼ばれる)の目的は単純である。一次予防
とは、疾患に罹患する前に個人や集団を危険因子から守ることにより、疾患そのも

“Ϛʖξʖ
ϧ΢ϱ”

のを発生しないようにすることである。早期発見(患者の見つけ出し)の目的は、

E

“[໎Δ͖͵]༙බं”
B

すでに病的変化は起こしているが、明らかに治療が必要な段階には至っていない疾
患を発見し、治癒させることである。これらの段階を図式的に示すと、図1のよう
になる。

(ii) ୱ่੓෾ා

nϚʖξʖ
ϧ΢ϱ|
C

D
“[໎Δ͖͵]༙බं”

図2. 測定値の分布

ここで指摘に値することは、
「感度」と「特異度」という用語は、二峰性分布の
場合には明確な意味を持つが、単峰性分布の場合には理論的には意味を持たないと
いうことである。つまり、図2(i)でEの「カットオフ」レベルとした場合(二峰

図1. 疾患の早期発見の段階

性分布)、真陽性例も偽陽性例も両方発生する。しかし、単峰性分布では、一度あ
スクリーニングについては、後述のように高度な訓練を受けた専門家の時間を節

る「カットオフ」レベルを採用すると、それ(図2(ii)の例ではD)以上の者はす

約することで、
[保健領域の]費用対効果をより良くするという、もうひとつの経

べて疾患を有する者とみなされ、偽陽性例は発生しないことになる。実際には、通

済的な目的がある。スクリーニング検査の作業の一部は、高度な訓練を受けていな

常、[スクリーニングでは]疾患の有無は間接的な指標([検査値]
)を用いて判定

い人員でも行うことが可能である。それは、手作業の場合でも、自動化された作業

されるため、感度と特異度が重要であることに変わりはない。また、感度と特異度

の場合でも同様である(図3、59ページ参照)。しかし、地域社会でスクリーニング

は、測定による誤差だけでなく、測定者によっても異なるし、同一患者でもその時々

を実施した場合の総コストは、従来の[スクリーニングを実施しない場合に発生し

の変動によっても異なる。いずれにせよ、この間接的な指標(
[検査値]
)は、患者

ていた]総医療費よりも低くなることはなく、むしろ高くなると思われる。という

を診断する上では一定の検出力しか持たず、一部の患者を見逃したり、疾患を有し
5

第2章

18

原則

ない者を誤って陽性と判定したりする。

者に嫌がられるような検査ではない]



検査の再現性と正確性だけでなく、感度と特異度に関する詳細な議論について
は、
「米国公衆衛生モノグラフ・疾患スクリーニングの原則と手順(United States

(7)
スクリーニングの対象疾患は、症状が発現する前の段階から発症した段階に至

Public Health Service Monograph:Principles and procedures in the evaluation of

るまでを含む自然史が十分に理解されている。

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を参照されたい。
screening for disease)」

(8)
どのような者を患者として治療するかについて一致した方針がある。

疾患の早期発見の原則

(9)
患者の見つけ出し(診断から治療までを含む)の費用は、医療に支出される費
用の全額と比べても経済的にバランスがとれている。

疾患の早期発見と早期治療という考え方は基本的に単純である。しかし、その成
(10)患者の見つけ出しは継続的に実施されるプロセスであり、
「一度きり」の事業

功(一方では未発見の疾患を治療に導き、もう一方では治療を必要としない者への

ではない。

不利益を回避すること)への道のりは、一見容易であるようにみえても、決して簡
単ではない。このため、このセクションでは、患者の見つけ出しを計画する際の指
針となりうるいくつかの点について、十分に説明する。これらの点は、患者の見つ

ここで、これらの各項目についてもう少し詳しく議論する必要がある。

け出しを公衆衛生部局が実施する場合には特に重要であり、かかりつけ医がスク
リーニングを実施する場合よりも落とし穴が多いかもしれない。教条的なことから
始めるよりも説明が容易であるため、我々はこれらの点を総称して「原則」と呼ん

個人や地域社会にとっての問題の重要性

で説明する。以下で詳しく説明するのは、少なくともこのような原則のいくつかで

スクリーニング対象としようとする疾患が重要な問題であるとみなされるため

ある。

には、通常では有病率が高いことが必要条件であるものの、必ずしもそうとは限ら
ない。したがって、糖尿病は先進国で比較的に有病率が高いが、多くは疾病負担が
軽く、経過は非常に長いが、治療による影響が大きいかどうかは今のところは不明

( 1 )スクリーニングの対象疾患は健康上の重要な問題である。

である[ためにスクリーニングは実施されない]
。一方、フェニルケトン尿症は非
常にまれな疾患だが、生涯のうちの早い段階で発見・治療されなければ非常に深刻

( 2 )スクリーニングの結果、診断された疾患を有する患者のために、[有益性が]

な結果をもたらすことから、スクリーニングが必要である。

認められた治療法が存在する。

訳者注:本書の出版当時は2型糖尿病の治療や予後に関する知見は十分ではな

( 3 )スクリーニングの結果、診断された疾患に対して診断および治療が可能な医療

かった。ただし、予後が良好であったり、治療効果が不明であったりする疾

機関が存在する。

患はスクリーニングの対象にはならないという考え方は現在も同様である。

( 4 )スクリーニングの対象疾患は症状が発現する前、または初期症状を呈する段階
明らかに、この重要な問題は個人と地域社会の両方の観点から考慮する必要があ

があり、その段階での診断が可能である。

る。そのため、個人やその家族に深刻な結果をもたらす疾患に対しては、概して経
済的には比較的バランスが悪いスクリーニング政策であったとしても、必要な政策

( 5 )スクリーニングのための適切な検査または診察方法がある。

となるかもしれない。また、個人としては疾病負担の軽い疾患であっても、早期に
発見して治療しなければ地域社会に深刻な結果をもたらす疾患は、同様の理由でス

( 6 )スクリーニングに用いられる検査は集団に受け入れられるものである(
[対象
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