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資料2参考資料2 「国内外の感染症治療薬開発動向等調査事業」検討会の結論 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40139.html
出典情報 厚生科学審議会 危機対応医薬品等に関する小委員会(第2回 5/13)《厚生労働省》
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「国内外の感染症治療薬開発動向等調査事業」政策・支援対象検討会の結論
次のパンデミックに備えるために重点的に支援すべき分野




未知の感染症に対して迅速に対処するためには、新薬の創製と普及に関して、平時から横展開可能な創薬プラットフォーム技術の研究開発を推進しつつ、パ
ンデミックに対応する新薬の開発に結びつくモダリティや新規技術の研究を重点的に支援する必要がある。さらに有事においては、当該病原体に対する迅速な
応用開発に繋ぎ、その短期市場投入を図るため、平時から重点感染症の病原体に適したモダリティの開発支援を行い、重点感染症に対するポートフォーリオを
国内において取り揃えておく必要がある。



日本が強みとする技術分野は、病態解明の基礎研究力に加えて、ものづくりから生まれるプロダクトの改善に関する技術開発力にある。強みを伸ばすことで
日本発の新薬の創出に繋げ、イノベーション連鎖モデルをつくることが必要である。よって感染症領域の基礎研究に対する支援に加え、医薬品の製造に関する
新規技術の開発とそれを担う人材の育成を支援していく必要があり、そのために製造基盤の確保に加え、迅速な研究・開発・製造に繋がる品質管理戦略を包括
的に実行するCRDMOなどへの支援を重点化すべきと考える。



支援すべき最新の創薬関連技術については、誰がどのように目利きするか、常に技術動向等を調査、提言し、投資の推奨判断と中断の方針を提案する機能的
組織が必要である。また、新しい技術の利用にあたってはその適格性を迅速に評価していくためのレギュラトリーサイエンス研究の推進も不可欠である。これ
から発足する国立健康危機管理研究機構のような専門性を持った人材を抱える行政とは独立した組織として、平時からパンデミックに備え、各専門分野の人材
リソースから選抜により構成される会議体の設置が望ましい。
重点感染症という収益の見込みが困難な領域特有の課題に対する支援




国内外問わず重点感染症の危機対応医薬品の研究開発パイプラインはインフルエンザ、デング熱等のある程度市場性が見込める感染症に集中する傾向が認め
られ、それら開発には採算性の観点が重視されていることが伺われる。よって重点感染症の領域においては、日本国内の市場だけではなく、グローバル市場に
アプローチする前提で新薬の研究開発を進めるべきであり、当該地域での規制対応に係る支援策に加え、流通網の構築等の支援策も併せて検討が必要である。



グローバル市場に照らしても平時の需要が見込めない感染症危機に対処する医薬品の開発においては、企業活動における予見性は不可欠であることから、
pull型の開発インセンティブの設定方法を検討する必要がある。また平時より、国際的には有志国・地域で協調・連携し感染症危機対策の一環として研究開発
を支援する協力体制を確立するとともに多国間で連携した基金等の活用策も検討すべきである。加えて健康安全保障 ※上の観点から、政府による確保が必要な
対象医薬品についての考え方やそれら医薬品の拡充等に関する方策についても併せて検討を進めるべきである。
※ 健康安全保障:国境を越える性質を持ち、安全保障にリスクをもたらし、経済を不安定化し、社会的な一体性を崩壊させ、政府の重要な業務に影響を及ぼす重大な
健康上の事象への備えと対応。



なお有事においては、より迅速な新薬の市場投入を促すため、期限を設定したマイルストーンに基づき、投入する予算の選択と集中も検討が必要である。ま
た加えて有事においては、GMP製造原薬や資材等の国際的争奪が生じることが想定されるため、安定した製造、供給を確保するためのサプライチェーンの把握
と有志国・地域による協調体制の整備も平時において必要である。
医薬品研究開発環境の整備




その他、国内製薬企業や創薬関連企業の研究開発を直接的に支援するものではないが、日本のアカデミアや企業の研究所における感染症領域の創薬研究人材
が比較的少ないため(減少していることから)、人材の育成も重要である。また、開発した新薬の治験を行うための“臨床研究体制”についても、国内外の関連
施設との連携が必須であり、その整備が必要である。さらに国際連携のもと、臨床試験のデータ収集やそのアクセスを容易とする医療データのデジタル化等の
推進もこれからは重要となる。
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