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感染症週報 2024年第26週(6月24日-6月30日) (12 ページ)
出典
公開元URL | https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2024.html |
出典情報 | 感染症週報 2024年第26週(6月24日-6月30日)(7/12)《国立感染症研究所》 |
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Infectious Diseases Weekly Report Japan
2024年 第26週
(6月24日〜 6月30日)
:通巻第26巻 第26号
ている可能性が考えられている。
臨床症状
オロプーシェ熱の一般的な症状は、発熱、頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛等をともなう急性
熱性疾患であり、その臨床症状は多くの場合2~7日間で改善する。潜伏期間はこれまでの報
告から、4~8日程度(3〜12日の範囲)とされている。まれに髄膜炎や脳炎を発症するが、公式
に確認された死亡例は報告されていない。6割の患者が寛解後2~10日(まれに1カ月)以内に
再度同様の症状を示すが、そのメカニズムは不明である。ほとんどの患者は後遺症を残すこと
なく回復するが、一部の患者では持続的な筋力低下が2〜4週間続くことが報告されている。
病原診断
オロプーシェウイルスはヒトに急性熱性疾患を引き起こし、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節
痛などの特異的でない症状を呈すため、中南米ではデング熱の重要な鑑別疾患である。その他
にもジカウイルス感染症、チクングニア熱、マヤロ熱、ベネズエラウマ脳炎、レプトスピラ症、マ
ラリア、リケッチア感染症やコクシエラ感染症等を診断する際の鑑別疾患としても重要である。
よってオロプーシェ熱に対しては実験室診断が求められる。ウイルス学的検査では血清あるい
は髄液からのウイルス分離、RT-PCRによるウイルスゲノムの検出が実施される。唾液、尿から
もウイルスゲノムの検出が報告されている。血清学的検査では、血清あるいは髄液からのオロ
プーシェウイルス特異的IgMの検出あるいはペア血清による中和抗体価の上昇を確認すること
により実験室診断を行う。
治療・予防
オロプーシェ熱に対するワクチンや特異的な抗ウイルス薬等はない。したがって、媒介昆虫対
策が重要である。オロプーシェウイルスに感染するリスクを減らす主な手段は吸血昆虫に吸血
されることを避けることである。そのためには吸血昆虫の防除が必要である。オロプーシェ熱の
発生地域においては吸血昆虫との接触を防ぐため肌の露出をさけ 、 N , N - d i e t h y l - 3 methylbenzamide(DEET:ディート)あるいはイカリジン(ピカリジン)等を含む忌避剤を適
切に使用することなどが重要である。
感染症法における取扱い
感染症法における届出対象疾病ではない。
【関連記事】
今後, 注視すべき蚊媒介性ウイルス感染症
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2566-related-articles/relatedarticles-508/11202-508r03.html
(国立感染症研究所 ウイルス第一部 第二室)
Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases
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2024年 第26週
(6月24日〜 6月30日)
:通巻第26巻 第26号
ている可能性が考えられている。
臨床症状
オロプーシェ熱の一般的な症状は、発熱、頭痛、倦怠感、関節痛、筋肉痛等をともなう急性
熱性疾患であり、その臨床症状は多くの場合2~7日間で改善する。潜伏期間はこれまでの報
告から、4~8日程度(3〜12日の範囲)とされている。まれに髄膜炎や脳炎を発症するが、公式
に確認された死亡例は報告されていない。6割の患者が寛解後2~10日(まれに1カ月)以内に
再度同様の症状を示すが、そのメカニズムは不明である。ほとんどの患者は後遺症を残すこと
なく回復するが、一部の患者では持続的な筋力低下が2〜4週間続くことが報告されている。
病原診断
オロプーシェウイルスはヒトに急性熱性疾患を引き起こし、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節
痛などの特異的でない症状を呈すため、中南米ではデング熱の重要な鑑別疾患である。その他
にもジカウイルス感染症、チクングニア熱、マヤロ熱、ベネズエラウマ脳炎、レプトスピラ症、マ
ラリア、リケッチア感染症やコクシエラ感染症等を診断する際の鑑別疾患としても重要である。
よってオロプーシェ熱に対しては実験室診断が求められる。ウイルス学的検査では血清あるい
は髄液からのウイルス分離、RT-PCRによるウイルスゲノムの検出が実施される。唾液、尿から
もウイルスゲノムの検出が報告されている。血清学的検査では、血清あるいは髄液からのオロ
プーシェウイルス特異的IgMの検出あるいはペア血清による中和抗体価の上昇を確認すること
により実験室診断を行う。
治療・予防
オロプーシェ熱に対するワクチンや特異的な抗ウイルス薬等はない。したがって、媒介昆虫対
策が重要である。オロプーシェウイルスに感染するリスクを減らす主な手段は吸血昆虫に吸血
されることを避けることである。そのためには吸血昆虫の防除が必要である。オロプーシェ熱の
発生地域においては吸血昆虫との接触を防ぐため肌の露出をさけ 、 N , N - d i e t h y l - 3 methylbenzamide(DEET:ディート)あるいはイカリジン(ピカリジン)等を含む忌避剤を適
切に使用することなどが重要である。
感染症法における取扱い
感染症法における届出対象疾病ではない。
【関連記事】
今後, 注視すべき蚊媒介性ウイルス感染症
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2566-related-articles/relatedarticles-508/11202-508r03.html
(国立感染症研究所 ウイルス第一部 第二室)
Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases
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