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【資料3】地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制における入院医療による支援のための研究(藤井構成員提出資料) (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42139.html
出典情報 精神保健医療福祉の今後の施策推進に関する検討会(第2回 8/7)《厚生労働省》
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国際比較
日本、韓国、台湾、カナダ、フランス、ドイツ各国の精神科医に事例を提示し、精神科臨床で経験される様々なジレンマ
状況への対応のあり方についてインタビューすることにより、法制度の背景にある考え方や制度運用の実情を比較する。
ケース1:統合失調症が疑われ医療的介入が必要であると考えられるが、本人が受診を拒否しており、医療へのアクセスを確
保するのが難しいケース(医療の必要性は高いが明らかな自傷他害はなく、病院までの移動手段の確保が困難な状
況での対応)。
ケース2:身体疾患の治療の必要性が切迫しているが意識は清明であり、妄想に基づき本人が治療を拒否。家族とは音信不通。
いかにして身体疾患の治療を開始するか判断に迷うケース。
ケース3:落ち着かない行動、介護拒否があり、在宅サービスでの対応は極めて困難と判断された重度認知症の高齢者。明確
な入院拒否の意思表示はないが、認知症による同意能力の欠如が考えられ、自発的入院か非自発的入院か判断に迷
うケース。
ケース4:知的障害が主診断であり、近隣住民に対して暴言、言いがかり等の迷惑行為を繰り返したため両親が精神科を受診
させたところ、診察室で攻撃的言動を認めた。非自発的入院の他害行為の要件に該当するか判断に迷うケース。
ケース5:命令幻聴による切迫した自殺企図があり、本人(13歳)は入院を希望するが、繰り返しの説明にもかかわらず両
親が入院を断固として拒否するケース(医学的判断、未成年者の意思、親権者の意思のいずれを重視するか)。

現在までのまとめ
各国共通の対応




自傷他害の事実があれば非自発的入院の対象となりうる
自傷他害のおそれが切迫していなければ、行政職員等に
よる自宅訪問を考慮する
認知症、知的障害が主診断であっても、重篤な精神症状
があれば精神科入院を規定する法律で対応する

国により異なる対応






病院までの移動手段確保の方法
非自発的入院となる場合の代諾者の有無、裁判所関与の有無
身体疾患の非自発的治療を行う場合の法的根拠
重篤な精神症状を認めない場合の認知症、知的障害のある人への対応
親権者の権利と義務に関連する制度運用

※様々なジレンマ状況への対応は各国とも苦慮しており、法に基づき各国それぞれの臨床上の工夫でできることを模索している

今後、重篤な精神症状がなく同意能力が著しく低下した認知症、同意が得られない場合の身体疾患の治療、児童・思春期ケースにお
ける同意能力の評価、親権者の権利と義務に関する法的規定等につきさらに詳細に調査予定(柑本分担班と連携)

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