規制強化施策の限界
①対処療法に過ぎないが、販売個数制限には一定の効果はある
②一方で、販売個数制限を行っても、乱用対象を他の医薬品へと切り替える
 1980年代末
 企業の自主的対策:
 ブロン液乱用エピデミックに対して、製薬メーカーが「ブロン液剤」の成分からメチルエフェドリ
ン（覚醒剤原料）、ジヒドロコデイン（麻薬性鎮咳成分, 劇薬指定）を除去
 この成分変更により全体として乱用エピデミックは鎮静化した（妹尾栄一, ほか: 市販鎮咳剤の乱用に関する社
会精. 神医学的研究 成分変更にともなう乱用動. 態の変化. 精神神経学雑誌 98: 127-150, 1996）
 しかし臨床現場では、依然としてメチルエフェドリンとジヒドロコデインを含有する「ブロン錠剤」を販売さ
れており、重篤な依存症患者はこの錠剤を使用継続している自体に品番に遭遇してきた

 2014年
 厚労省 販売個数制限・用途等確認対象製品の指定
 「メチルエフェドリン、ジヒドロコデインを含有する鎮咳薬」として、ブロン錠剤の販売個数制限
を通知

 上記規制後における臨床現場での変化
 乱用者は、同成分を含有し、販売個数制限のない「感冒薬」のパブロンゴールドを使用
⇒肝機能障害などの健康被害者の出現（薬物依存症外来における臨床実感）

 2023年
 厚労省 販売個数制限・用途等確認対象製品の拡大
 「メチルエフェドリン、ジヒドロコデインを含有する感冒薬」も販売個数制限対象となる
 ブロモバレリル尿素含有睡眠薬も新たに対象になった一方で、メジコンは対象に入らなかった

 現在の状況
 乱用者はメジコン、レスタミンなどを使用（薬物依存症外来における臨床実感）

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