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資料5 罹患後症状に関する研究 (2 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00348.html |
出典情報 | 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第86回 6/1)《厚生労働省》 |
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厚生労働科学特別研究事業
課題名:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の
長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究
総括研究報告
研究代表者:慶應義塾大学呼吸器内科教授 福永興壱 研究分担者:石井誠、寺井秀樹、南宮湖
研究目的:本国におけるCOVID-19の長期に遷延する症状の実態は不明点が多く、COVID-19に対する社会的不安の一因にもなっており、その実態解明
及び病態生理の理解は急務である。本研究は、本国におけるCOVID-19の長期合併症の実態把握を行う。
対
象:2020年1月~2021年2月にCOVID-19 PCRもしくは抗原検査陽性で入院した18歳以上の患者
調査施設:関東を中心とした北海道、九州を含む全国27施設
方
法:関連する診療科の専門家の意見を統合した症状に対する問診項目を網羅的に作成し、研究対象から自覚症状について回答を得た。国際的に
確立した各種質問票を用いた多面的かつ高精度の調査研究を行う。
有効回答:参加同意数 1200例、アンケート回答数 3ヵ月 1109例、6ヵ月 1034例、12ヵ月 840例、解析対象数 1066例 (男性679例、女性387例)
調査期間:2021年1月から2022年3月までに回収されたアンケートに基づいて解析
割合 (%)
代表的な24のCOVID-19罹患後症状の経時推移(解析対象数1066例)
30
25
20
15
10
5
0
21
16
13
倦怠感
14
10 9
呼吸困難
12
8 8
11 11
8
筋力低下 集中力低下
11
10 10
9
5
脱⽑
7
睡眠障害
10
8
9
5
嗅覚障害
6 5
咳
8 7
頭痛
5
8 7
5
味覚障害
7 8 7
記憶障害
7 6 6
関節痛
7 6 6
筋⾁痛
7 6
5
痰
6 5
4
5 4 4
⼿⾜のしびれ 眼科症状
4 5
⽪疹
2
4 3 3
4 3
2
4 3
2
⽿鳴り
咽頭痛
発熱
3 3
下痢
1
2 2 3
2 2 1
2 1 1
感覚過敏
腹痛
意識障害
30
25
20
15
10
5
0
結果、考察:
・患者背景は、男性679例、女性387例と男性が多かった。年代は50代以上が多く、日本のCOVID-19臨床を反映した背景となっていた。
重症度としては、軽症(無症状含む):247例、中等症I:412例、中等症II:226例、重症:100例であり、軽症及び中等症Iの患者を多く含んでいた。
・遷延する症状が1つでも存在すると健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつ、新型コロナウイルスに対する恐怖、睡眠障害を自覚する傾向は強まった。
・代表的な24症状は、多くは経時的に低下傾向を認めた。
・12ヵ月後に5%以上残存していた症状は以下の通り。13%:疲労感・倦怠感、9%:呼吸困難、8%:筋力低下、集中力低下、7%:睡眠障害、記憶障
害、6%:関節痛、筋肉痛、5%:咳、痰、脱毛、頭痛、味覚障害、嗅覚障害。
・中年者(41-64歳)は他の世代と比較して罹患後症状が多い傾向を認めた。個別の症状として、12カ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、筋力低下、眼科
症状は高齢者に多く、感覚過敏、味覚障害、嗅覚障害、脱毛、頭痛は若年者に多く、罹患後症状の分布に世代間での差異を認めた。
・3ヵ月時点では女性で男性と比べて咳、倦怠感、脱毛、頭痛、集中力低下、睡眠障害、味覚障害、嗅覚障害など様々な症状が高頻度で認められた。
一方、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれが男性で高頻度となり、全体の頻度としては性差が減少した。
・入院中に酸素需要のあった重症度の高い患者は酸素需要のなかった患者と比べて3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月といずれの時点でも罹患後症状を有する頻度が高
かった。全体での罹患後症状の有症状率は酸素需要有り:45.7% (6ヵ月)、36.1% (12ヵ月) 、酸素需要無し:37.7% (6ヵ月)、31.8%(12ヵ月)で
あった。重症度による頻度の差は10%未満であった。
・本研究では、非感染者との比較は行っておらず、結果の解釈には注意が必要である。
・1000例を超える日本最大規模の罹患後症状に関する研究を実施、臨床の実情を反映したものとして有用性の高い基盤データを構築した。
課題名:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の
長期合併症の実態把握と病態生理解明に向けた基盤研究
総括研究報告
研究代表者:慶應義塾大学呼吸器内科教授 福永興壱 研究分担者:石井誠、寺井秀樹、南宮湖
研究目的:本国におけるCOVID-19の長期に遷延する症状の実態は不明点が多く、COVID-19に対する社会的不安の一因にもなっており、その実態解明
及び病態生理の理解は急務である。本研究は、本国におけるCOVID-19の長期合併症の実態把握を行う。
対
象:2020年1月~2021年2月にCOVID-19 PCRもしくは抗原検査陽性で入院した18歳以上の患者
調査施設:関東を中心とした北海道、九州を含む全国27施設
方
法:関連する診療科の専門家の意見を統合した症状に対する問診項目を網羅的に作成し、研究対象から自覚症状について回答を得た。国際的に
確立した各種質問票を用いた多面的かつ高精度の調査研究を行う。
有効回答:参加同意数 1200例、アンケート回答数 3ヵ月 1109例、6ヵ月 1034例、12ヵ月 840例、解析対象数 1066例 (男性679例、女性387例)
調査期間:2021年1月から2022年3月までに回収されたアンケートに基づいて解析
割合 (%)
代表的な24のCOVID-19罹患後症状の経時推移(解析対象数1066例)
30
25
20
15
10
5
0
21
16
13
倦怠感
14
10 9
呼吸困難
12
8 8
11 11
8
筋力低下 集中力低下
11
10 10
9
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脱⽑
7
睡眠障害
10
8
9
5
嗅覚障害
6 5
咳
8 7
頭痛
5
8 7
5
味覚障害
7 8 7
記憶障害
7 6 6
関節痛
7 6 6
筋⾁痛
7 6
5
痰
6 5
4
5 4 4
⼿⾜のしびれ 眼科症状
4 5
⽪疹
2
4 3 3
4 3
2
4 3
2
⽿鳴り
咽頭痛
発熱
3 3
下痢
1
2 2 3
2 2 1
2 1 1
感覚過敏
腹痛
意識障害
30
25
20
15
10
5
0
結果、考察:
・患者背景は、男性679例、女性387例と男性が多かった。年代は50代以上が多く、日本のCOVID-19臨床を反映した背景となっていた。
重症度としては、軽症(無症状含む):247例、中等症I:412例、中等症II:226例、重症:100例であり、軽症及び中等症Iの患者を多く含んでいた。
・遷延する症状が1つでも存在すると健康に関連したQOLは低下し、不安や抑うつ、新型コロナウイルスに対する恐怖、睡眠障害を自覚する傾向は強まった。
・代表的な24症状は、多くは経時的に低下傾向を認めた。
・12ヵ月後に5%以上残存していた症状は以下の通り。13%:疲労感・倦怠感、9%:呼吸困難、8%:筋力低下、集中力低下、7%:睡眠障害、記憶障
害、6%:関節痛、筋肉痛、5%:咳、痰、脱毛、頭痛、味覚障害、嗅覚障害。
・中年者(41-64歳)は他の世代と比較して罹患後症状が多い傾向を認めた。個別の症状として、12カ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、筋力低下、眼科
症状は高齢者に多く、感覚過敏、味覚障害、嗅覚障害、脱毛、頭痛は若年者に多く、罹患後症状の分布に世代間での差異を認めた。
・3ヵ月時点では女性で男性と比べて咳、倦怠感、脱毛、頭痛、集中力低下、睡眠障害、味覚障害、嗅覚障害など様々な症状が高頻度で認められた。
一方、12ヵ月時点で咳、痰、関節痛、筋肉痛、皮疹、手足のしびれが男性で高頻度となり、全体の頻度としては性差が減少した。
・入院中に酸素需要のあった重症度の高い患者は酸素需要のなかった患者と比べて3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月といずれの時点でも罹患後症状を有する頻度が高
かった。全体での罹患後症状の有症状率は酸素需要有り:45.7% (6ヵ月)、36.1% (12ヵ月) 、酸素需要無し:37.7% (6ヵ月)、31.8%(12ヵ月)で
あった。重症度による頻度の差は10%未満であった。
・本研究では、非感染者との比較は行っておらず、結果の解釈には注意が必要である。
・1000例を超える日本最大規模の罹患後症状に関する研究を実施、臨床の実情を反映したものとして有用性の高い基盤データを構築した。