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資 料1-2 出産費用等の見える化に関する意見書 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29685.html
出典情報 社会保障審議会医療保険部会(第160回 12/9)《厚生労働省》
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お産の安全には、医療体制や設備のみならず、自宅からの距離が重要であることは胎盤
早期剥離や前置胎盤出血における胎児死亡・母体死亡の研究で学術的にも国際的にも証明
されています。お産をされる方はすでにこれらを理解した上で自ら情報を得て分娩場所を
選んでいるわけで、ことさら金額や無痛分娩の有無を強調する一覧化は、地域の医療体制
や施設の医療安全に関する設備を軽視する方向に国民をミスリードしかねず、「お産の見
える化」として適切とは思えず真に妊婦に寄り添う情報提供とはなりません。
以上の理由から、お産をする方が分娩場所を考えるときに、現在お示しになっている金
額のみの一覧を閲覧することで、お産をする方の利益に役立つとは考えにくいと思われま
す。
③ 高次医療施設から助産所までを一律に一覧表にする弊害
われわれ周産期医学に携わるものは、正常とローリスク分娩を担う産科診療所等 1 次施
設からいかなるハイリスクも担う総合周産期母子医療センター等 3 次施設まで、各施設
の医療提供体制の充実、機能分担と連携を通して守られていると考えています。一次施設
から高次施設への搬送例が減少、搬送時間の短縮にともなって、産科出血による死亡例が
減少していることが明らかになってきています。分娩施設の評価では、これらの様な急変
時の対応準備を個々に行い、重篤な結果に至らないように未然に防いでいる医療安全面に
ついても考慮され得るべきであります。施設の特性に合わせた努力を重ねることで世界一
安全な周産期医療を達成できていると考えております。
此度の厚生労働省案では、助産所から総合周産期母子医療センターまで隔てなく、室料
差額、無痛分娩の有無、妊婦合計負担額の平均額を一覧化するとのことですが、そもそも
機能が異なる施設の金額のみを並べることに意義は見出せません。
金額が一人歩きすれば、ハイリスクに備えるべき公的高次施設へのローリスク分娩の
集中など、周産期体制における機能分担を阻害しますので、妊婦の安心安全な分娩環境に
資するとは考えられません。
日本産婦人科医会は、分娩費用のみならず、各施設の特徴、サービス内容、ホームページ
情報など真に出産される方が求めている情報に即した「見える化」には、専門家の立場から
協力したいと考えております。
以上