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08資料6 新型コロナワクチンに関するこれまでの知見と国立感染症研究所によるサマリーをふまえて今後のワクチン接種を考える上での考察(中野委員提出資料) (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000192554_00026.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(第51回 1/26)《厚生労働省》 |
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第 51 回厚生科学審議会予防接種・
ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料6
2023(令和5)年1月 26 日
第 51 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
(2023/1/26 開催)
新型コロナワクチンに関するこれまでの知見と国立感染症研究所によるサマリーをふまえ
て今後のワクチン接種を考える上での考察
中野貴司(川崎医科大学小児科)
1.新型コロナワクチンに関する知見
(1)mRNA ワクチンの有効性
・当初、従来型 mRNA ワクチンによる無作為化二重盲検臨床試験の結果として報告された
「発症予防効果:95%」は、それまでの呼吸器感染症ワクチンの概念を変える高い有効率で
あった。
・世界的にも初めて導入された mRNA ワクチンの有効性に関しては、早期に情報発信する
必要もあり、接種後 3 か月程度の期間における発症予防効果が情報共有された。すなわち、
接種後期間を経ると経時的に有効性が低減することについては、その後の検討で判明した。
・SARS-CoV-2 は、短期間でウイルスが遺伝子学的に大きく変異する。変異したウイルスに
対しては、ワクチンで付与された免疫が十分に機能しない場合がある。変異ウイルスの問題
は、ワクチンの予防効果のみならず、二度罹り(複数回罹患)にも影響する。免疫を逃避す
るような変異がしばしば起こる病原体としてインフルエンザウイルスがあるが、SARSCoV-2 の変異は、インフルエンザウイルスより頻繁に、また季節を問わず起こっている。
(2)重症化予防効果、発症予防効果、感染予防効果
・ワクチン本来の第一の目的は病気にならないこと、すなわち発症予防効果と考えられる。
・重症化予防効果というものは、発症予防効果の延長線上にあると考えられる。
・新型コロナ mRNA ワクチンでは、発症予防効果の方が早期に減衰し、重症化予防効果は
比較的長く保たれるという研究報告が多いが、これは例えば麻疹弱毒生ワクチンでも該当
し、接種歴があっても発症は予防できない場合があるが、軽症の麻疹(修飾麻疹)で済む例
がある。そして修飾麻疹の軽症の程度は様々で、個々人をみれば必ずしも接種からの年数に
比例して軽症化の程度が定まっているわけではなく様々な因子が関与する。それぞれの効
果が何%の有効率と数値の評価に過度にこだわることは適切ではない。
・基本的には、重症化予防効果が認められるワクチンには、一定の発症予防効果も期待でき
ると考えられる。
・オミクロン株対応ワクチンの有効性についても、対象集団の特性や流行ウイルスの種類に
よって数値の差異はあるが、発症予防等の効果が報告されつつある。
2.2023 年 4 月以降の新型コロナワクチン接種を考える上での考察
(1)社会集団としての効果
・疾病負荷をできるだけ軽減するという公衆衛生の観点からは、発症予防効果とその延長と
しての重症化予防効果により、重症者を減らすことが第一の効果として考えられる。
ワクチン分科会予防接種基本方針部会
資料6
2023(令和5)年1月 26 日
第 51 回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会
(2023/1/26 開催)
新型コロナワクチンに関するこれまでの知見と国立感染症研究所によるサマリーをふまえ
て今後のワクチン接種を考える上での考察
中野貴司(川崎医科大学小児科)
1.新型コロナワクチンに関する知見
(1)mRNA ワクチンの有効性
・当初、従来型 mRNA ワクチンによる無作為化二重盲検臨床試験の結果として報告された
「発症予防効果:95%」は、それまでの呼吸器感染症ワクチンの概念を変える高い有効率で
あった。
・世界的にも初めて導入された mRNA ワクチンの有効性に関しては、早期に情報発信する
必要もあり、接種後 3 か月程度の期間における発症予防効果が情報共有された。すなわち、
接種後期間を経ると経時的に有効性が低減することについては、その後の検討で判明した。
・SARS-CoV-2 は、短期間でウイルスが遺伝子学的に大きく変異する。変異したウイルスに
対しては、ワクチンで付与された免疫が十分に機能しない場合がある。変異ウイルスの問題
は、ワクチンの予防効果のみならず、二度罹り(複数回罹患)にも影響する。免疫を逃避す
るような変異がしばしば起こる病原体としてインフルエンザウイルスがあるが、SARSCoV-2 の変異は、インフルエンザウイルスより頻繁に、また季節を問わず起こっている。
(2)重症化予防効果、発症予防効果、感染予防効果
・ワクチン本来の第一の目的は病気にならないこと、すなわち発症予防効果と考えられる。
・重症化予防効果というものは、発症予防効果の延長線上にあると考えられる。
・新型コロナ mRNA ワクチンでは、発症予防効果の方が早期に減衰し、重症化予防効果は
比較的長く保たれるという研究報告が多いが、これは例えば麻疹弱毒生ワクチンでも該当
し、接種歴があっても発症は予防できない場合があるが、軽症の麻疹(修飾麻疹)で済む例
がある。そして修飾麻疹の軽症の程度は様々で、個々人をみれば必ずしも接種からの年数に
比例して軽症化の程度が定まっているわけではなく様々な因子が関与する。それぞれの効
果が何%の有効率と数値の評価に過度にこだわることは適切ではない。
・基本的には、重症化予防効果が認められるワクチンには、一定の発症予防効果も期待でき
ると考えられる。
・オミクロン株対応ワクチンの有効性についても、対象集団の特性や流行ウイルスの種類に
よって数値の差異はあるが、発症予防等の効果が報告されつつある。
2.2023 年 4 月以降の新型コロナワクチン接種を考える上での考察
(1)社会集団としての効果
・疾病負荷をできるだけ軽減するという公衆衛生の観点からは、発症予防効果とその延長と
しての重症化予防効果により、重症者を減らすことが第一の効果として考えられる。