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資料3-10-① 齋藤先生提出資料 (3 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00395.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第116回 2/8)《厚生労働省》
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1.

サマリー

新型コロナウイルスのゲノムサーベイランスにおいて、日本国内で検体採取され、COG-JP
(COVID-19 Genomic Surveillance Network in Japan)システムに登録された遺伝子配列情報の解析を
おこない、
「新型コロナウイルスに対する抗体治療薬の効果に影響を及ぼす可能性があるウイルスゲノ
ム変異によるアミノ酸置換」について集計をおこなった。以下、効果に影響を及ぼす可能性のある抗体
治療薬は括弧[ ]内に記載する。
最近の8週間(2022/11/21 - 2023/1/15)
(2023 年 1 月 23 日時点集計:暫定)に国内で採取された計
23,939 件の検体の集計では、前期間(2022 年第 39 週~第 46 週)と同様に、スパイクタンパク質のア
ミノ酸 S371 [Sotrovimab]、K417 [Casirivimab]、N440 [Imdevimab]、E484 [Casirivimab]、F486
[Casirivimab と Tixagevimab]の置換がほぼ 100%のウイルスで認められた。前期間に出現した
R346[Cilgavimab]は 24.11%から 48.75%に増加していた。加えて2種の新たな置換
K356[Sotrovimab]、K444[Imdevimab と Cilgavimab]と、昨年前期に一旦消失した置換
G446[Imdevimab と Cilgavimab]は再度認められたが、これらはいずれも 2022 年 47-48 週と比較して
2023 年 1-2 週ではほぼ 2 倍に増加していた。
一方、長期的視野で集計された8週間単位(2021 年第 43 週~2023 年第 2 週)
(2023 年 1 月 23 日時点
集計:暫定)の推移においては、この一年間で、K356[Sotrovimab]、K444[Imdevimab と
Cilgavimab]、F486 [Casirivimab と Tixagevimab]が発生し、また、R346[Cilgavimab]と
G446[Imdevimab と Cilgavimab]が、再度認められ、Q493[Casirivimab]は消失した。尚、再度認められ
た R346 [Cilgavimab]は、アルギニン(R)がトレオニン(T)にアミノ酸置換しており(R346T)
、以
前に検出されたアルギニン(R)がリジン(K)に置換(R346K)したウイルスとは異なる。
今回、集計を行ったアミノ酸置換部位はスパイクタンパク質のレセプター結合部位付近のみであり、本
レポートは受容体結合ドメインの結合に影響を与えうる単変異に関するまとめである。ここで列挙して
いる単変異の薬剤感受性への影響について記載されている解釈は、今後も変更される可能性があること
(単変異だけでなく複数のアミノ酸置換による影響や、その複合的な影響によっても臨床的効果に影響
を及ぼす可能性があることなど)に留意が必要である。また、これらのアミノ酸置換は、実際の薬剤の
効果にあたっては中和活性の測定や臨床研究によって行われる必要があり、必ずしも臨床的効果に影響
を与えるとは限らないことにも留意する必要がある。
2.

背景

新型コロナウイルス感染症の重症患者や重症化リスクのある患者の治療には、抗体治療薬などのウイ
ルス特異的治療薬が用いられている。しかし、ウイルスの遺伝子変異により抗体治療薬の作用を逃避す
る変異ウイルスの発生が懸念される。抗体治療薬の効果に影響を及ぼす可能性のあるアミノ酸置換は多
数報告されているため、それらのアミノ酸置換の発生動向をゲノムサーベイランスによって把握し、臨
床的効果への影響を評価することは、抗体治療薬の使用判断において必要な知見となる。本レポートは、
COG-JP システムに登録された国内の新型コロナウイルスのゲノム情報を解析し、現状国内で伝播して
いるウイルスのアミノ酸置換が抗体治療薬の効果に影響を及ぼす可能性を評価するものである。ただし、
アミノ酸置換が起こっても、その置換が必ずしも抗体治療薬の効果に影響を与えない場合があることは、
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