よむ、つかう、まなぶ。
再生医療等製品感染症定期報告感染症別文献一覧表 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190382_00012.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会(令和4年度第2回 3/16)《厚生労働省》 |
ページ画像
ダウンロードした画像を利用する際は「出典情報」を明記してください。
低解像度画像をダウンロード
プレーンテキスト
資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。
ID
8
感染症(PT)
細菌感染
9
細菌感染
10
白癬感染
出典
概要
現在までに、Anaerococcus 属には13種が割り当てられており、この属の種のほとん
どは嫌気性であり、人間起源である。Anaerococcus urinimassiliensis sp. nov.、 strain
Marseille-P2143T株は、自己免疫性肝炎及び膜性増殖性糸球体腎炎に罹患した17
歳の少年の尿から、培養アプローチを使用して分離されたPeptoniphilaceae 科のメン
バーである。本研究では、この新種を説明するためにtaxono-genomics methodを用
Sci Rep. 11(2021) 2684 いた。Marseille-P2143T株は、血液寒天培地上に半透明のコロニーを持つグラム陽
性球菌であった。そのゲノムは2、189、509bpの長さで、33.5 mol%のG + C含有量で
あり、Anaerococcusprovencensis 株9、402、080と98.48%の16SrRNA類似性を示し
た。 Anaerococcus urinomassiliensis 株Marseill-P2143Tを近縁種と比較すると、値は
A.hydrogenalis 株DSM7454T(NZ_ABXA01000052.1)で71.23%、A.provencensis 株
9402080T(NZ_HG003688.1)で90.64%の範囲であった。
【症例】慢性心不全、大動脈弁狭窄症の既往のある酪農家の70歳男性が、呼吸困
難、左手関節痛を主訴に他院を受診、慢性心不全増悪の診断で当院へ紹介搬送さ
れた。来院後の診察で左手関節の腫脹、熱感があり血液検査上CRPの上昇を認め
た。手関節の関節穿刺では膿汁が引け、化膿性手関節炎、慢性心不全増悪の診断
で入院、血液培養を採取してVCM、CTRXの投与を開始した。翌日に血液培養2セッ
第70回日本感染症学 ト、関節液から院内で同定不能のグラム陰性桿菌が検出された。感受性試験では
会東日本地方会学術 CTRXに感受性があり、VCMを中止しCTRXのみ継院した。入院後に腰痛の訴えがあ
集会、第68回日本化学 り、腰椎MRIで第4、5腰椎に椎体椎間板炎、両側腸腰筋脹瘍を疑う所見を認めた。第
療法学会東日本支部 10病日に腸腰筋膿瘍のドレナージ術を実施しCRPは順調に低下、第28病日に腰椎の
総会合同学会
後方固定術を実施した。感受性結果から抗菌薬の内服以降を目的にABPCへ変更し
(2021/10/27たが薬疹の出現があり、LVFXへ変更した。起炎菌であるグラム陰性桿菌は質量分析
2021/10/29)075
でも同定がつかず、16Sr RNA遺伝子解析でMannheimia varigena と同定された。 【考
察】M.varigena は牛に呼吸器感染を引き起こすM.haemolytica から1999年に16Sr RNA
遺伝子解析により分離同定され、仔牛の肺炎、流産、髄膜炎、敗血症などの報告が
ある。患者は仔牛業に従事する酪農家で仔牛からの感染が示唆され、またM.
varigena のヒトヘの病原性を持つ可能性が示唆される。本症例はM.varigena のヒトヘ
の感染の世界で初めての報告である。
2020年に東京、埼玉、千業、静岡、兵庫、山口、熊本において210名の白鮮患者から
分離した、Trichophyton interdigitale (82株)及びT.rubrum (128株)の210株からTRF
耐性を示した5株を分離した。全てT.rubrum で、TRFに対する最小発育阻止濃度は、
32mg/L以上を示したが、アゾール系抗真菌薬には感受性であった。また全株のスク
日本医真菌学会雑誌.
ワレンエボキシダーゼ(SQLE)遺伝子にL393Fの変異が認められた。国内白癬患者
62(2021) 63
の約2.3%は耐性株に感染し、T.rubrum 感染に限定すると約3.9%の耐性率となる。一
方、インドにおいて2018年から、TRF耐性T.interdigitale による体部白癬が流行してお
り、国内でも2020年から渡航者に感染が認められている。流行株の遣伝子性状、生
理学的性状、病態から新種のT.indotineae として命名された。
2/2
8
感染症(PT)
細菌感染
9
細菌感染
10
白癬感染
出典
概要
現在までに、Anaerococcus 属には13種が割り当てられており、この属の種のほとん
どは嫌気性であり、人間起源である。Anaerococcus urinimassiliensis sp. nov.、 strain
Marseille-P2143T株は、自己免疫性肝炎及び膜性増殖性糸球体腎炎に罹患した17
歳の少年の尿から、培養アプローチを使用して分離されたPeptoniphilaceae 科のメン
バーである。本研究では、この新種を説明するためにtaxono-genomics methodを用
Sci Rep. 11(2021) 2684 いた。Marseille-P2143T株は、血液寒天培地上に半透明のコロニーを持つグラム陽
性球菌であった。そのゲノムは2、189、509bpの長さで、33.5 mol%のG + C含有量で
あり、Anaerococcusprovencensis 株9、402、080と98.48%の16SrRNA類似性を示し
た。 Anaerococcus urinomassiliensis 株Marseill-P2143Tを近縁種と比較すると、値は
A.hydrogenalis 株DSM7454T(NZ_ABXA01000052.1)で71.23%、A.provencensis 株
9402080T(NZ_HG003688.1)で90.64%の範囲であった。
【症例】慢性心不全、大動脈弁狭窄症の既往のある酪農家の70歳男性が、呼吸困
難、左手関節痛を主訴に他院を受診、慢性心不全増悪の診断で当院へ紹介搬送さ
れた。来院後の診察で左手関節の腫脹、熱感があり血液検査上CRPの上昇を認め
た。手関節の関節穿刺では膿汁が引け、化膿性手関節炎、慢性心不全増悪の診断
で入院、血液培養を採取してVCM、CTRXの投与を開始した。翌日に血液培養2セッ
第70回日本感染症学 ト、関節液から院内で同定不能のグラム陰性桿菌が検出された。感受性試験では
会東日本地方会学術 CTRXに感受性があり、VCMを中止しCTRXのみ継院した。入院後に腰痛の訴えがあ
集会、第68回日本化学 り、腰椎MRIで第4、5腰椎に椎体椎間板炎、両側腸腰筋脹瘍を疑う所見を認めた。第
療法学会東日本支部 10病日に腸腰筋膿瘍のドレナージ術を実施しCRPは順調に低下、第28病日に腰椎の
総会合同学会
後方固定術を実施した。感受性結果から抗菌薬の内服以降を目的にABPCへ変更し
(2021/10/27たが薬疹の出現があり、LVFXへ変更した。起炎菌であるグラム陰性桿菌は質量分析
2021/10/29)075
でも同定がつかず、16Sr RNA遺伝子解析でMannheimia varigena と同定された。 【考
察】M.varigena は牛に呼吸器感染を引き起こすM.haemolytica から1999年に16Sr RNA
遺伝子解析により分離同定され、仔牛の肺炎、流産、髄膜炎、敗血症などの報告が
ある。患者は仔牛業に従事する酪農家で仔牛からの感染が示唆され、またM.
varigena のヒトヘの病原性を持つ可能性が示唆される。本症例はM.varigena のヒトヘ
の感染の世界で初めての報告である。
2020年に東京、埼玉、千業、静岡、兵庫、山口、熊本において210名の白鮮患者から
分離した、Trichophyton interdigitale (82株)及びT.rubrum (128株)の210株からTRF
耐性を示した5株を分離した。全てT.rubrum で、TRFに対する最小発育阻止濃度は、
32mg/L以上を示したが、アゾール系抗真菌薬には感受性であった。また全株のスク
日本医真菌学会雑誌.
ワレンエボキシダーゼ(SQLE)遺伝子にL393Fの変異が認められた。国内白癬患者
62(2021) 63
の約2.3%は耐性株に感染し、T.rubrum 感染に限定すると約3.9%の耐性率となる。一
方、インドにおいて2018年から、TRF耐性T.interdigitale による体部白癬が流行してお
り、国内でも2020年から渡航者に感染が認められている。流行株の遣伝子性状、生
理学的性状、病態から新種のT.indotineae として命名された。
2/2