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資料12 冨山 構成員提出資料 (1 ページ)

公開元URL https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai3/gijisidai.html
出典情報 こども未来戦略会議(第3回 5/17)《内閣官房》
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資料12

第3回こども未来戦略会議意見書
2023 年 5 月 17 日
株式会社経営共創基盤
IGPI グループ会長 冨山和彦

1. 妊孕性(にんようせい)に関する問題提起
カップル数×持ちたい子供の数×妊孕性≒出生数
異次元の少子化対策の実効性は、この三つの要素の掛け算に規定される。そこで、今回の
少子化対策の三つの理念すなわち、①若い世代の所得向上

②社会の転換

③切れ目のな

い支援に基づく諸施策が、これら三つの要素に対して連動的・整合的に機能する必要がある。
三つの理念に基づき、女性の社会進出と「共働き共育て」を応援することは今までもこの
会議で議論されてきたし、それは現在の我が国の社会において「カップル数」と「持ちたい
子供の数」を増やすために必要不可欠であることは間違いない。その上で、最後の要素であ
る「妊孕性」
(男女の生殖機能)を考慮すると、こうした社会趨勢のなかで不可避的に起き
る、初産年齢の上昇にどう対処するかが大きな課題となる。
この点で、いわゆる先進国(一人当たり GDP が 4 万ドルを超える国々)の中で顕著に高
い出生率(約 3 人)を実現しているイスラエルの取り組みが参考になるのではないか。イス
ラエルは女性の社会進出が日本よりも進んでおり、女性の初産年齢の平均(メディアン)も
約 30 歳に達している(2021 年時点)が、共働き共育て型社会になっていることに加え、妊
孕性に関して、妊孕性検査支援を基盤に全ての女性に対して包摂的、体系的、科学的な支援
を受ける機会を提供することで高い出生率を維持している。
もちろん地政学的な国情の違いはあるが、人口問題が国家国民の持続性に関わる重要問
題になりつつあることは我が国も同様であり、妊孕性が上記のように出生数を規定する最
終的な決定要因であることを考えると、イスラエルの取り組みを参考とする意義は大きい。
妊孕性に関する施策は、我が国の少子化対策として役立つとともに、女性が妊娠前から出
産後まで健康で活躍できるように目指す厚労省の「女性の健康」に関するナショナルセンタ
ー設置の取組みとも整合するものであり、理念③の切れ目のない支援の中へより積極的に
取り込んでいくべきではないか。