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感染症週報 2023年第42週(10月16日-10月22日) (10 ページ)
出典
公開元URL | https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2023.html |
出典情報 | 感染症週報 2023年第42週(10月16日-10月22日)(11/6)《国立感染症研究所》 |
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Infectious Diseases Weekly Report Japan
2023年 第42週
(10月16日〜 10月22日)
:通巻第25巻 第42号
注目すべき感染症
◆咽頭結膜熱
咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever)
は発熱、咽頭発赤、結膜充血などの症状・ 所見
を伴う、小児に多い急性ウイルス性感染症である。5月頃から徐々に増加しはじめ、6~7月に
ピークを形成する夏期に多い感染症であるが、一年を通して感染する恐れがある。咽頭結膜熱
はアデノウイルスが原因病原体であり、流行を起こすのは多くが3型であるが、2型、4型、7型、
11型なども本症を起こす。潜伏期間は5~7日で、発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎
が3主症状である。まれに肺炎など重症化する場合がある。感染症法に基づく医師の届出にお
いては、発熱、咽頭発赤、結膜充血の3つの臨床症状を全て満たす必要がある。感染経路は、
接触感染、飛沫感染、経口(糞口)感染である。特異的治療法はなく、対症療法が中心となる。
また、感染対策を検討するうえで、アデノウイルスがアルコールに対して抵抗性を示すことにも
留意が必要である。
咽頭結膜熱は、感染症発生動向調査の小児科定点把握の5類感染症であり、全国約3,000カ
所の小児科定点医療機関から毎週報告されている。2023年は、例年、患者報告数が減少する第
33週(2023年8月14~20日)頃から増加に転じ、第42週(2023年10月16~22日)は過去10年の
定点当たり報告数の中で最も多い報告数(定点当たり報告数2.16)となっている(以下、報告数
等は集計時点暫定値)。年齢群別にみた2019年第1週(2018年12月31日~2019年1月6日)~第
42週(2019年10月14~20日)の累積報告数との比較では、特に2歳から8歳までの小児におい
て増加がみられる(表1)
。2023年第1〜42週の男女別累積報告数は、男性が42,888例(54.5%)、
女性が35,798例(45.5%)であり、男性に多かった。更に、2023年第1〜42週の定点当たり累積
報告数を都道府県別にみると、福岡県で最も多く(定点当たり報告数64.88)、2019年第1~
42週との比較では、福岡県のほか関西地域において顕著な増加がみられる(表2)。
表 1. 咽頭結膜熱患者の年齢分布、2019
年と
2023 年の第 1~42 週における比較
表1.
咽頭結膜熱患者の年齢分布、
2019年と2023年の第1〜42週における比較
0歳
1歳
2歳
2019 年
4,883
16,578
9,015
2023 年
4,328
17,798
12,832
3歳
4歳
5歳
6歳
7歳
8歳
9歳
7,777
6,296
4,509
2,543
12,448
10,761
8,336
5,093
10~14 歳 15~19 歳 20 歳以上
合計
1,481
980
633
1,089
118
701
56,603
2,621
1,515
876
1,172
101
805
78,686
表2.咽頭結膜熱患者の都道府県別定点当たり累積報告数、
2019年と2023年の第1〜42週における比較
※上位 10 都道府県抜粋
表
2. 咽頭結膜熱患者の都道府県別定点当たり累積報告数、2019 年と 2023 年の第
1~42 週における比較
福岡県
大阪府
沖縄県
奈良県
兵庫県
佐賀県
福井県
京都府
愛媛県
大分県
全国
2019 年
27.10
21.30
39.61
19.88
20.88
29.96
33.91
16.17
18.41
28.47
17.95
2023 年
64.88
54.06
44.39
41.35
38.50
36.61
34.67
34.36
30.94
28.75
25.06
※上位10都道府県抜粋
病原体検出情報(IASR)速報では、2023年の第1〜42週に咽頭結膜熱と診断された患者から
検出されたアデノウイルス(総検出報告数105:2023年10月30日現在)は、アデノウイルス2型
34.3%(検出報告数36)、3型28.6%
(検出報告数30)、1型18.1%(検出報告数19)の順となってい
る。第1〜26週(2023年6月26日~7月2日)は、2型および1型が大半の割合を占めていたが
(1型28.8%、2型49.2%、計78.0%)、第27〜42週においては3型の割合が多い(65.2%)。
小児の集団生活の中では感染が拡大しやすいことから、保育施設などでは、職員を含め体調
不良者は出勤・登園を控えることや、流水・石鹸による手洗いや手指消毒の励行、タオルを共
Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases
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2023年 第42週
(10月16日〜 10月22日)
:通巻第25巻 第42号
注目すべき感染症
◆咽頭結膜熱
咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever)
は発熱、咽頭発赤、結膜充血などの症状・ 所見
を伴う、小児に多い急性ウイルス性感染症である。5月頃から徐々に増加しはじめ、6~7月に
ピークを形成する夏期に多い感染症であるが、一年を通して感染する恐れがある。咽頭結膜熱
はアデノウイルスが原因病原体であり、流行を起こすのは多くが3型であるが、2型、4型、7型、
11型なども本症を起こす。潜伏期間は5~7日で、発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎
が3主症状である。まれに肺炎など重症化する場合がある。感染症法に基づく医師の届出にお
いては、発熱、咽頭発赤、結膜充血の3つの臨床症状を全て満たす必要がある。感染経路は、
接触感染、飛沫感染、経口(糞口)感染である。特異的治療法はなく、対症療法が中心となる。
また、感染対策を検討するうえで、アデノウイルスがアルコールに対して抵抗性を示すことにも
留意が必要である。
咽頭結膜熱は、感染症発生動向調査の小児科定点把握の5類感染症であり、全国約3,000カ
所の小児科定点医療機関から毎週報告されている。2023年は、例年、患者報告数が減少する第
33週(2023年8月14~20日)頃から増加に転じ、第42週(2023年10月16~22日)は過去10年の
定点当たり報告数の中で最も多い報告数(定点当たり報告数2.16)となっている(以下、報告数
等は集計時点暫定値)。年齢群別にみた2019年第1週(2018年12月31日~2019年1月6日)~第
42週(2019年10月14~20日)の累積報告数との比較では、特に2歳から8歳までの小児におい
て増加がみられる(表1)
。2023年第1〜42週の男女別累積報告数は、男性が42,888例(54.5%)、
女性が35,798例(45.5%)であり、男性に多かった。更に、2023年第1〜42週の定点当たり累積
報告数を都道府県別にみると、福岡県で最も多く(定点当たり報告数64.88)、2019年第1~
42週との比較では、福岡県のほか関西地域において顕著な増加がみられる(表2)。
表 1. 咽頭結膜熱患者の年齢分布、2019
年と
2023 年の第 1~42 週における比較
表1.
咽頭結膜熱患者の年齢分布、
2019年と2023年の第1〜42週における比較
0歳
1歳
2歳
2019 年
4,883
16,578
9,015
2023 年
4,328
17,798
12,832
3歳
4歳
5歳
6歳
7歳
8歳
9歳
7,777
6,296
4,509
2,543
12,448
10,761
8,336
5,093
10~14 歳 15~19 歳 20 歳以上
合計
1,481
980
633
1,089
118
701
56,603
2,621
1,515
876
1,172
101
805
78,686
表2.咽頭結膜熱患者の都道府県別定点当たり累積報告数、
2019年と2023年の第1〜42週における比較
※上位 10 都道府県抜粋
表
2. 咽頭結膜熱患者の都道府県別定点当たり累積報告数、2019 年と 2023 年の第
1~42 週における比較
福岡県
大阪府
沖縄県
奈良県
兵庫県
佐賀県
福井県
京都府
愛媛県
大分県
全国
2019 年
27.10
21.30
39.61
19.88
20.88
29.96
33.91
16.17
18.41
28.47
17.95
2023 年
64.88
54.06
44.39
41.35
38.50
36.61
34.67
34.36
30.94
28.75
25.06
※上位10都道府県抜粋
病原体検出情報(IASR)速報では、2023年の第1〜42週に咽頭結膜熱と診断された患者から
検出されたアデノウイルス(総検出報告数105:2023年10月30日現在)は、アデノウイルス2型
34.3%(検出報告数36)、3型28.6%
(検出報告数30)、1型18.1%(検出報告数19)の順となってい
る。第1〜26週(2023年6月26日~7月2日)は、2型および1型が大半の割合を占めていたが
(1型28.8%、2型49.2%、計78.0%)、第27〜42週においては3型の割合が多い(65.2%)。
小児の集団生活の中では感染が拡大しやすいことから、保育施設などでは、職員を含め体調
不良者は出勤・登園を控えることや、流水・石鹸による手洗いや手指消毒の励行、タオルを共
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