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臓器への接着/脱着が可能な接着材を開発!外科手術の簡便化に期待 (1 ページ)

公開元URL https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1235.html
出典情報 臓器への接着/脱着が可能な接着材を開発(5/24)《岡山大学》
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PRESS RELEASE

岡山大学記者クラブ
令 和 6 年 5 月 24 日

文部科学記者会
科学記者会



御中







臓器への接着/脱着が可能な接着材を開発!外科手術の簡便化に期待
◆発表のポイント
・臓器への瞬間接着、脱着を制御できる無機セラミックス系固体接着材を開発しました。
・開発した接着材は、軽い圧接だけで肝臓などの臓器に瞬時に接着し、外すこともできます。
・術中臓器の圧排や医療デバイスの固定など、外科処置の簡便化が期待できます。

岡山大学学術研究院医歯薬学域(歯)生体材料学分野の松本卓也教授、岡田正弘准教授(研究当
時、現・東北大学大学院歯学研究科)、神戸大学大学院医学研究科肝胆膵外科学分野の福本巧教授、
柳本泰明特命教授、大阪大学、九州大学の研究グループは、骨組織の主要構成成分であるリン酸カ
ルシウム(1)の多孔化(孔がいっぱい開いた構造)制御により、真皮や肝臓などの生体軟組織と接
着、脱着できる無機セラミックス系固体接着材を開発しました。さらに、この材料を用いることに
より、外科手術の際の内臓臓器の圧排が簡便に行えることを示しました。この研究成果は 5 月 1
日、ドイツ科学誌「Advanced Healthcare Materials」のオンライン電子版で公開されました。
生体組織の接合や体内埋め込み型医療用デバイスの生体内への固定、といった目的には、現在、
高分子製の縫合糸や化学硬化型の高分子接着材が広く使用されています。一方、医療現場におい
てはこれら用途にあたり簡便かつ迅速に使用できる生体組織用接着材の開発が望まれています。
本接着材は合成したリン酸カルシウム微小粉末をある程度の温度で焼くことで、小さな空孔を
多く残した多孔質(2)材料です。本材料は生体組織の水分を吸水し臓器表面の線維性分子を効率よ
く引き寄せ、結果として生体組織、特に内蔵臓器と強く結合します。また、大量の水分を接着界面
に供給することで組織に傷をつけずに容易に外すこともできます。
本研究成果は、簡便かつ迅速に強い接着力を示す生体親和性に優れた新しい接着材として、手
術における臓器、組織の圧排や医療用デバイスの体内固定への応用など、外科処置の簡便化に寄
与することが期待されます。

◆研究者からのひとこと
この接着材は、一般的な外科手術用途に加えて、イーロンマスクの会
社“Neuralink”などで実用化が検討されている体内埋め込みデバイス
の固定といった応用にも有効だと考えています。

松本教授
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