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臓器への接着/脱着が可能な接着材を開発!外科手術の簡便化に期待 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1235.html |
出典情報 | 臓器への接着/脱着が可能な接着材を開発(5/24)《岡山大学》 |
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PRESS RELEASE
■発表内容
<現状>
生体組織の接合や体内埋め込み型医療用デバイスの生体内への固定といった目的のために、高分
子製の縫合糸や化学硬化型の高分子接着材が現在広く使用されています。しかし、これら接着技術
は手技の煩雑さや長い硬化時間などが問題として残っており、これら用途に簡便かつ迅速に使用で
きる生体組織用接着材の開発が強く望まれています。また、接着用途に用いた後、簡便かつ組織に
非侵襲で脱着できる材料にいたってはこれまでほとんど開発されていませんでした。
<研究成果の内容>
本研究グループは、リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)の粉末を原料に、生体組織へ
の接着/脱着を実現できるリン酸カルシウム系接着材の開発に着手しました。リン酸カルシウムは
元々生体骨組織の主要無機成分であり、生体親和性の高い材料として広く知られています。リン酸
カルシウム微細ナノ粒子の合成、成形後、加熱処理し、多孔性を制御したプレートを作製し、この
生体組織との接着を検討したところ、水分移動を大きく妨げる角化層を有する表皮に対して接着力
を示さない一方で、角化層を有しない、真皮や腹腔内臓器に高い接着力を示しました。また、この
移動する水分は主に組織構成分子が保有する中間水であることを明らかにしました。このアイデア
は、骨発生過程における無機物と有機物の安定化状態の理解から着想したものです。この接着力は
従来から生体組織用接着剤(3)として使用されるフィブリン系接着剤よりも 3 倍以上の接着強さに
なります。開発したリン酸カルシウム系接着材は軟組織に軽く圧接するだけで瞬時に接着します。
さらに、接着界面に大量の水分を供給することで、組織に障害を残すことなく脱着できることも確
認しました。実際のブタを用いた実験を通し、この材料を用いた肝臓の圧排を実現できることを確
認しました。本材料は滅菌などの取り扱いも容易であり、また必要に応じて接着/脱着できる優れ
た軟組織用接着材として応用が期待されます。
図 1. 開発したリン酸カルシウム製軟組織接着材の外観、材料を焼く温度にともない接着力が変化
します(左写真とグラフ)。右写真は、本接着材を用いたブタ肝臓の持ち上げ実験の様子です。
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■発表内容
<現状>
生体組織の接合や体内埋め込み型医療用デバイスの生体内への固定といった目的のために、高分
子製の縫合糸や化学硬化型の高分子接着材が現在広く使用されています。しかし、これら接着技術
は手技の煩雑さや長い硬化時間などが問題として残っており、これら用途に簡便かつ迅速に使用で
きる生体組織用接着材の開発が強く望まれています。また、接着用途に用いた後、簡便かつ組織に
非侵襲で脱着できる材料にいたってはこれまでほとんど開発されていませんでした。
<研究成果の内容>
本研究グループは、リン酸カルシウム(ハイドロキシアパタイト)の粉末を原料に、生体組織へ
の接着/脱着を実現できるリン酸カルシウム系接着材の開発に着手しました。リン酸カルシウムは
元々生体骨組織の主要無機成分であり、生体親和性の高い材料として広く知られています。リン酸
カルシウム微細ナノ粒子の合成、成形後、加熱処理し、多孔性を制御したプレートを作製し、この
生体組織との接着を検討したところ、水分移動を大きく妨げる角化層を有する表皮に対して接着力
を示さない一方で、角化層を有しない、真皮や腹腔内臓器に高い接着力を示しました。また、この
移動する水分は主に組織構成分子が保有する中間水であることを明らかにしました。このアイデア
は、骨発生過程における無機物と有機物の安定化状態の理解から着想したものです。この接着力は
従来から生体組織用接着剤(3)として使用されるフィブリン系接着剤よりも 3 倍以上の接着強さに
なります。開発したリン酸カルシウム系接着材は軟組織に軽く圧接するだけで瞬時に接着します。
さらに、接着界面に大量の水分を供給することで、組織に障害を残すことなく脱着できることも確
認しました。実際のブタを用いた実験を通し、この材料を用いた肝臓の圧排を実現できることを確
認しました。本材料は滅菌などの取り扱いも容易であり、また必要に応じて接着/脱着できる優れ
た軟組織用接着材として応用が期待されます。
図 1. 開発したリン酸カルシウム製軟組織接着材の外観、材料を焼く温度にともない接着力が変化
します(左写真とグラフ)。右写真は、本接着材を用いたブタ肝臓の持ち上げ実験の様子です。
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