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ヒトiPS細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織の作製に成功-創薬研究や肝疾患研究への応用に期待- (1 ページ)

公開元URL https://www.ri.ncgm.go.jp/topics/release/2024/20240604.html
出典情報 ヒトiPS細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織の作製に成功-創薬研究や肝疾患研究への応用に期待-(6/4)《国立国際医療研究センター》
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2024 年 6 ⽉ 4 ⽇
国⽴研究開発法⼈ 国⽴国際医療研究センター
国⽴⼤学法⼈ 東京⼤学
情報解禁︓なし

ヒト iPS 細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織の作製に成功
–創薬研究や肝疾患研究への応⽤に期待–
【研究成果のポイント】
肝臓は薬物代謝の中枢を担う臓器であり、ADMET(薬物が体内に取り込まれてから排出されるまでの
過程や肝毒性)に関する情報は製薬企業が新薬を開発する上で必要不可⽋な情報となります。それらの
情報を得るために、これまでは動物試験やヒト肝細胞の初代培養系などが⽤いられてきましたが、動物
試験では、ヒトの ADMET を完全に予測することはできないこと、ヒト肝細胞培養系では、胆管が備わっ
ていないことから胆汁排泄の流れを再現できない等の問題がありました。
国⽴研究開発法⼈ 国⽴国際医療研究センター(略称︓NCGM)細胞組織再⽣医学研究部の⽥中稔室⻑
と東京⼤学⼤学院新領域創成科学研究科
学定量⽣命科学研究所

王路遥(ワン ルーヤウ)⼤学院⽣らの研究グループは、同⼤

⽊⼾丈友特任講師、宮島篤特任教授、同⼤学⼤学院薬学系研究科

授、同⼤学⼤学院⼯学系研究科

楠原洋之教

酒井康⾏教授らの研究グループとの共同研究により、胆汁排泄を再現

することが可能なヒト肝組織平⾯培養系を作製することに初めて成功しました。本研究では、ヒト iPS 細
胞から肝細胞と胆管細胞を同時に分化・融合させることにより、ヒト肝組織を模倣する肝胆オルガノイ
ド(hHBO)を作製しました。さらに、既存薬を⽤いた解析から、胆汁排泄や肝毒性を予測できる可能性
を⽰しました。今回開発された hHBO は、今後、創薬のための薬物動態試験や肝疾患研究に応⽤される
ことが期待されます。

【研究の背景】
肝臓は、薬物の代謝や解毒において重要な役割を果たしており、服⽤した医薬品の多くは肝臓内で毒性
の低い⽔溶性物質に変換され、尿や胆汁の形で体外に排出されています。そのため、薬がどの程度の期
間、体内に留まり、肝臓でどのように代謝され、どのような経路で最終的に体外に排出されるのか、とい

った ADME※1 に関する情報は薬の治療効果を予測する上で極めて重要な情報となります。⼀⽅、創薬に
おいて、薬が肝臓で代謝されることで毒性を発揮し、副作⽤が発現した場合、新薬の開発は中⽌に追い込
まれるため、ADMET の予測は製薬企業にとっては必要不可⽋な情報となります。このような薬物の体内
動態を調べるために、これまで主に動物試験が⾏われてきました。しかし、動物とヒトでは肝臓の代謝能
⼒に種差があるため、ヒトでの薬物動態を完全に予測することは困難であるという問題がありました。
その代替法として、ヒト肝細胞を⽤いた培養系が利⽤されてきましたが、安定供給やコスト、機能⾯で問
題があるだけでなく、胆汁排泄を担う胆管が備わっていないために、胆汁の流れを再現できないといっ
た問題がありました(下図)。

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