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ヒトiPS細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織の作製に成功-創薬研究や肝疾患研究への応用に期待- (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.ri.ncgm.go.jp/topics/release/2024/20240604.html |
出典情報 | ヒトiPS細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織の作製に成功-創薬研究や肝疾患研究への応用に期待-(6/4)《国立国際医療研究センター》 |
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さらに、hHBO が胆汁排泄能を有するのか調べるために、底部の肝細胞に胆汁排泄に働く分⼦が発現
しているかを調べたところ、複数の胆汁酸トランスポーター※ 3 が発現していることが確認されました(図
2)。さらに、蛍光胆汁酸アナログである CLF※ 4 を hHBO に添加すると、肝細胞に取り込まれた CLF が
胆管内に蓄積していく様⼦が観察され、hHBO は胆汁の流れを再現できることがわかりました(図3)。
A
B
明視野像
胆管
肝細胞層
100µm
CLF添加
CLF
CLF
CLF
胆汁の流れ
100µm
図3 CLFを ⽤ いたh H BOにおける 胆汁の流れの可視化
(A)hHBOの構造と胆汁の流れの模式図
(B)CLF添加24時間後の明視野像(上)と蛍光像(下)
最後に、hHBO がヒトの肝臓と同様の胆汁排泄を再現しているのかを調べました。胆汁中に排泄され
ることが分かっている実薬としてオルメサルタンとバルサルタンを hHBO に添加したところ、それらが
胆管構造内に排泄されていることを⽰す結果が得られました。さらに、重篤な肝毒性の副作⽤を理由に
販売中⽌となった2型糖尿病治療薬トログリタゾンを、hHBO に添加して肝毒性の評価を⾏ったところ、
胆汁の流れが阻害される胆汁うっ滞とともに肝細胞が死ぬことが確認されました(図4)。トログリタゾ
ンが実験動物を⽤いた安全性試験では肝毒性を⽰さなかったことを考えると、この結果は、hHBO がヒ
ト肝臓としての応答性を発揮した結果と⾔えます。私たちは、iPS 細胞から胆汁排泄の流れを再現できる
ヒト肝組織平⾯培養系を作製し、肝代謝、薬物クリアランス、肝毒性を予測できる可能性を⽰しました。
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しているかを調べたところ、複数の胆汁酸トランスポーター※ 3 が発現していることが確認されました(図
2)。さらに、蛍光胆汁酸アナログである CLF※ 4 を hHBO に添加すると、肝細胞に取り込まれた CLF が
胆管内に蓄積していく様⼦が観察され、hHBO は胆汁の流れを再現できることがわかりました(図3)。
A
B
明視野像
胆管
肝細胞層
100µm
CLF添加
CLF
CLF
CLF
胆汁の流れ
100µm
図3 CLFを ⽤ いたh H BOにおける 胆汁の流れの可視化
(A)hHBOの構造と胆汁の流れの模式図
(B)CLF添加24時間後の明視野像(上)と蛍光像(下)
最後に、hHBO がヒトの肝臓と同様の胆汁排泄を再現しているのかを調べました。胆汁中に排泄され
ることが分かっている実薬としてオルメサルタンとバルサルタンを hHBO に添加したところ、それらが
胆管構造内に排泄されていることを⽰す結果が得られました。さらに、重篤な肝毒性の副作⽤を理由に
販売中⽌となった2型糖尿病治療薬トログリタゾンを、hHBO に添加して肝毒性の評価を⾏ったところ、
胆汁の流れが阻害される胆汁うっ滞とともに肝細胞が死ぬことが確認されました(図4)。トログリタゾ
ンが実験動物を⽤いた安全性試験では肝毒性を⽰さなかったことを考えると、この結果は、hHBO がヒ
ト肝臓としての応答性を発揮した結果と⾔えます。私たちは、iPS 細胞から胆汁排泄の流れを再現できる
ヒト肝組織平⾯培養系を作製し、肝代謝、薬物クリアランス、肝毒性を予測できる可能性を⽰しました。
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