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ヒトiPS細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織の作製に成功-創薬研究や肝疾患研究への応用に期待- (4 ページ)
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公開元URL | https://www.ri.ncgm.go.jp/topics/release/2024/20240604.html |
出典情報 | ヒトiPS細胞から胆汁排泄能を備えた肝組織の作製に成功-創薬研究や肝疾患研究への応用に期待-(6/4)《国立国際医療研究センター》 |
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【コメント】
⽶国環境保護庁(EPA)は 2035 年までに動物実験を全廃することを提⾔しており、ヒト ADMET を正
確に予測できる代替法の開発は喫緊の課題となっています。今回の成果は、ヒト iPS 細胞由来の肝組織
を薬物動態試験に利⽤していくための第⼀歩と捉えており、⽣体模倣システム(MPS)への応⽤も⾒据
え、創薬研究のためにさらなる改良を進めています。また、hHBO を基盤技術とし、慢性肝炎から肝硬変
に⾄る過程を再現可能な「肝疾患モデル培養系」の確⽴にも取組んでおり、新規治療法開発のために役⽴
てていきたいと考えています。
【参照】
(1)Kido T, Koui Y, Suzuki K, Kobayashi A, Miura Y, Chen EY, Tanaka M, Miyajima A*: CPM is a
useful cell surface marker to isolate expandable bi-potential liver progenitor cells derived from
human iPS cells. Stem Cell Reports 5: 508-515, 2015. doi: 10.1016/j.stemcr.2015.08.008.
PMID: 26365514; PMCID: PMC4624956.
【⽤語解説】
※ 1 ADME
薬物が投与されてから体外に排出されるまでの過程 “吸収(Absorbance)-分布(Distribution)-代謝
(Metabolism)-排泄(Excretion)”の頭⽂字を並べた略語。毒性(Toxicity)の頭⽂字を加えて ADMET
とも呼ばれる。薬の副作⽤を抑え、⼗分な効果を発揮させるためには、ADMET の最適化が重要な鍵とな
る。
※ 2 肝芽細胞
胎児で肝臓が発⽣する過程で出現する前駆細胞。肝芽細胞は肝機能の⼤部分を担う肝細胞と肝細胞が分
泌する胆汁を⼗⼆指腸に排出するための胆管細胞のニ⽅向に分化することができる。
※ 3 胆汁酸トランスポーター
胆汁酸の輸送に関わるタンパク質。肝細胞では細胞膜上に Bile salt export pump (BSEP)などの胆汁酸
トランスポーターが発現することが知られている。その機能を阻害する薬物は胆汁の流れを妨げるため、
胆汁うっ滞を引き起こす可能性がある。
※ 4 CLF
Cholyl-Lysyl-Fluorescein (CLF)は蛍光物質が付加された胆汁酸の類縁体。培養肝細胞や動物実験におい
て胆汁を可視化するために⽤いられている。
【発表雑誌】
雑誌名︓Biomaterials
論 ⽂ タ イ トル : Establishment of human induced pluripotent stem cell-derived hepatobiliary
organoid with bile duct for pharmaceutical research use
著者︓Wang L, Koui Y, Kanegae K, Kido T, Tamura-Nakano M, Yabe S, Tai K, Nakajima Y, Kusuhara
H, Sakai Y, Miyajima A, Okochi H, Tanaka M*.(*責任著者)
掲載⽇︓⽇本時間 5 ⽉ 29 ⽇(⽔)
DOI︓10.1016/j.biomaterials.2024.122621
URL︓https://doi.org/10.1016/j.biomaterials.2024.122621
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⽶国環境保護庁(EPA)は 2035 年までに動物実験を全廃することを提⾔しており、ヒト ADMET を正
確に予測できる代替法の開発は喫緊の課題となっています。今回の成果は、ヒト iPS 細胞由来の肝組織
を薬物動態試験に利⽤していくための第⼀歩と捉えており、⽣体模倣システム(MPS)への応⽤も⾒据
え、創薬研究のためにさらなる改良を進めています。また、hHBO を基盤技術とし、慢性肝炎から肝硬変
に⾄る過程を再現可能な「肝疾患モデル培養系」の確⽴にも取組んでおり、新規治療法開発のために役⽴
てていきたいと考えています。
【参照】
(1)Kido T, Koui Y, Suzuki K, Kobayashi A, Miura Y, Chen EY, Tanaka M, Miyajima A*: CPM is a
useful cell surface marker to isolate expandable bi-potential liver progenitor cells derived from
human iPS cells. Stem Cell Reports 5: 508-515, 2015. doi: 10.1016/j.stemcr.2015.08.008.
PMID: 26365514; PMCID: PMC4624956.
【⽤語解説】
※ 1 ADME
薬物が投与されてから体外に排出されるまでの過程 “吸収(Absorbance)-分布(Distribution)-代謝
(Metabolism)-排泄(Excretion)”の頭⽂字を並べた略語。毒性(Toxicity)の頭⽂字を加えて ADMET
とも呼ばれる。薬の副作⽤を抑え、⼗分な効果を発揮させるためには、ADMET の最適化が重要な鍵とな
る。
※ 2 肝芽細胞
胎児で肝臓が発⽣する過程で出現する前駆細胞。肝芽細胞は肝機能の⼤部分を担う肝細胞と肝細胞が分
泌する胆汁を⼗⼆指腸に排出するための胆管細胞のニ⽅向に分化することができる。
※ 3 胆汁酸トランスポーター
胆汁酸の輸送に関わるタンパク質。肝細胞では細胞膜上に Bile salt export pump (BSEP)などの胆汁酸
トランスポーターが発現することが知られている。その機能を阻害する薬物は胆汁の流れを妨げるため、
胆汁うっ滞を引き起こす可能性がある。
※ 4 CLF
Cholyl-Lysyl-Fluorescein (CLF)は蛍光物質が付加された胆汁酸の類縁体。培養肝細胞や動物実験におい
て胆汁を可視化するために⽤いられている。
【発表雑誌】
雑誌名︓Biomaterials
論 ⽂ タ イ トル : Establishment of human induced pluripotent stem cell-derived hepatobiliary
organoid with bile duct for pharmaceutical research use
著者︓Wang L, Koui Y, Kanegae K, Kido T, Tamura-Nakano M, Yabe S, Tai K, Nakajima Y, Kusuhara
H, Sakai Y, Miyajima A, Okochi H, Tanaka M*.(*責任著者)
掲載⽇︓⽇本時間 5 ⽉ 29 ⽇(⽔)
DOI︓10.1016/j.biomaterials.2024.122621
URL︓https://doi.org/10.1016/j.biomaterials.2024.122621
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