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【資料2-2】エイズ予防指針改定についての提言 (1 ページ)
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公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40400.html |
出典情報 | 厚生科学審議会 薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会(第7回 6/18)《厚生労働省》 |
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資料2-2
令和 5 年 11 月 6 日
エイズ予防指針改定についての提言
エイズ予防指針に基づく対策の評価と推進のための研究
研究代表者 白阪琢磨
これまでの当研究班での 9 回の班会議での検討を経て次の様に提言したい。
前回 2018 年のエイズ予防指針改正以降の HIV 感染症分野での大きな進歩として、次の 2 つを挙げられ
る。(1)大規模臨床研究の結果、治療状況の良い陽性者からは性行為で他者に HIV は感染しないという医
学的エビデンスが示された(U=U: Undetectable = Untransmittable)1)、(2)曝露前予防(PrEP:Preexposure Prophylaxis)薬(TDF/FTC)が 2012 年に米国食品医薬品局によって承認され、効果と安全性が
real world でも示され、複合的予防の 1 つの手法として世界的に広く普及 2)している。本邦 3)4)でも有用
であることが示され後発医薬品を個人や医師が個人輸入の形ですでに行われているが定期受診と検査の
必要性が強調され医療提供体制の整備が求められている背景から、日本エイズ学会から「PrEP 使用の手
引き」も公開された。
また、これまでの予防指針改正のための会議で、当初から平成 24 年の指針改正までは HIV 陽性者が委
員として意見を述べるなど HIV 陽性者の意見を尊重していたが、その後、発言の機会が減った印象があ
る。今回の改正の会議では専門家に加え HIV 陽性者の参加を積極的に進めて頂きたい 5)。エイズ予防対策
はこれまで予防指針に沿って個別施策層を中心に進められてき、一定の成果をあげてきたと考えられる
が、近年、梅毒などの性感染症が男女を問わず増加傾向にあり 6)、今後は HIV も個別施策層を超えて感染
が拡がる危険性についても注視する必要がある。近年、国際的に HIV 政策上で重要と位置づけられてい
る概念に「課題解決の実現を支える社会環境要因」があるが 7)8)、今回の指針改正でも是非、そのような
視点を盛り込んだ作業が望ましい。検査、医療、福祉、就業等での HIV 関連の課題の多くに HIV に対する
偏見・差別が現存していると言わざるを得ず、それは平成 30 年の世論調査を観るまでも無く、国民への
HIV/エイズに対する正しい知識の情報伝達がまだ不十分なためもあると考えられ、国民への啓発に関係
省庁ともより調整される事を望む。
以下に、今回の指針改正で具体的に検討頂きたい項目を列挙する。
① U=U1)は、HIV 伝播について社会的認識の変化を促すものであり、前文に記載されたい。
② 国は、PrEP3)4)を必要な人が安全に使用できるようにガイドラインと医療提供体制の整備等に取り組
むことが重要。コンドーム使用に加え PrEP や U=U を組み合わせた複合的予防 9)について、前文に記
載されたい。
③ HIV/エイズ対策への取組の中で HIV 陽性者やコミュニティーが主体的な役割を果たすことが重要で
ある(GIPA の原則)5)。
④ 感染予防の行動が取りやすい環境整備など、HIV 予防という健康問題に関して個人レベルだけでなく
社会環境要因にも着目して整備することが必要である 7)8)。
⑤ HIV 陽性者が医療従事者等による診療拒否 10)の経験が未だに少なくない現状を鑑み、自治体による
一般医療/福祉従事者を対象とした定期的な研修が望まれる。研修医教育のための臨床研修ガイドラ
令和 5 年 11 月 6 日
エイズ予防指針改定についての提言
エイズ予防指針に基づく対策の評価と推進のための研究
研究代表者 白阪琢磨
これまでの当研究班での 9 回の班会議での検討を経て次の様に提言したい。
前回 2018 年のエイズ予防指針改正以降の HIV 感染症分野での大きな進歩として、次の 2 つを挙げられ
る。(1)大規模臨床研究の結果、治療状況の良い陽性者からは性行為で他者に HIV は感染しないという医
学的エビデンスが示された(U=U: Undetectable = Untransmittable)1)、(2)曝露前予防(PrEP:Preexposure Prophylaxis)薬(TDF/FTC)が 2012 年に米国食品医薬品局によって承認され、効果と安全性が
real world でも示され、複合的予防の 1 つの手法として世界的に広く普及 2)している。本邦 3)4)でも有用
であることが示され後発医薬品を個人や医師が個人輸入の形ですでに行われているが定期受診と検査の
必要性が強調され医療提供体制の整備が求められている背景から、日本エイズ学会から「PrEP 使用の手
引き」も公開された。
また、これまでの予防指針改正のための会議で、当初から平成 24 年の指針改正までは HIV 陽性者が委
員として意見を述べるなど HIV 陽性者の意見を尊重していたが、その後、発言の機会が減った印象があ
る。今回の改正の会議では専門家に加え HIV 陽性者の参加を積極的に進めて頂きたい 5)。エイズ予防対策
はこれまで予防指針に沿って個別施策層を中心に進められてき、一定の成果をあげてきたと考えられる
が、近年、梅毒などの性感染症が男女を問わず増加傾向にあり 6)、今後は HIV も個別施策層を超えて感染
が拡がる危険性についても注視する必要がある。近年、国際的に HIV 政策上で重要と位置づけられてい
る概念に「課題解決の実現を支える社会環境要因」があるが 7)8)、今回の指針改正でも是非、そのような
視点を盛り込んだ作業が望ましい。検査、医療、福祉、就業等での HIV 関連の課題の多くに HIV に対する
偏見・差別が現存していると言わざるを得ず、それは平成 30 年の世論調査を観るまでも無く、国民への
HIV/エイズに対する正しい知識の情報伝達がまだ不十分なためもあると考えられ、国民への啓発に関係
省庁ともより調整される事を望む。
以下に、今回の指針改正で具体的に検討頂きたい項目を列挙する。
① U=U1)は、HIV 伝播について社会的認識の変化を促すものであり、前文に記載されたい。
② 国は、PrEP3)4)を必要な人が安全に使用できるようにガイドラインと医療提供体制の整備等に取り組
むことが重要。コンドーム使用に加え PrEP や U=U を組み合わせた複合的予防 9)について、前文に記
載されたい。
③ HIV/エイズ対策への取組の中で HIV 陽性者やコミュニティーが主体的な役割を果たすことが重要で
ある(GIPA の原則)5)。
④ 感染予防の行動が取りやすい環境整備など、HIV 予防という健康問題に関して個人レベルだけでなく
社会環境要因にも着目して整備することが必要である 7)8)。
⑤ HIV 陽性者が医療従事者等による診療拒否 10)の経験が未だに少なくない現状を鑑み、自治体による
一般医療/福祉従事者を対象とした定期的な研修が望まれる。研修医教育のための臨床研修ガイドラ