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資料3-9 秋下先生提出資料 (1 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第77回 3/23)《厚生労働省》
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高齢者における新型コロナウイルス感染症の療養のあり方に関する見解
令和 4 年 3 月 20 日
一般社団法人 日本老年医学会 理事長 秋下雅弘
同学会 新型コロナウイルス対策チーム
1.感染対策とフレイル対策の両立
高齢者においては、新型コロナウイルス感染対策に加えて、外出や社会活動の自粛に伴って
身体・精神機能が低下し要介護に至ったり介護状態が悪化したりすることを予防する対策
が必要である。要介護の一つ前の健康状態はフレイルと表現され、まさにフレイル対策が必
要ということである。そのためには、基礎疾患に関する定期的受診に加えて、介護保険サー
ビスの継続的な利用、日常的な運動習慣の指導及び栄養指導が重要である。
フレイル高齢者は入院により誤嚥性肺炎などを併発しやすいと考えられ、誤嚥性肺炎の
予防のための口腔ケアと適切な食事形態の選択に関する指導に加え、日常的な活動を維持
することによるフレイル予防に力を入れる。
高齢者施設においても感染対策の徹底が重要なことは当然であるが、それが容易でない
点が課題である。オミクロン変異体の感染性はきわめて強く、ひとたび発症者が発生すると
クラスターとなるリスクは高い。高齢者施設においてもコロナウイルス感染症を完全に防
ぐことができないことの事前の説明も重要である。ワクチン接種も優先的に進めていく必
要がある。また、認知機能が低下した方における感染予防対策では、丁寧な説明および誘導
が求められる。
2.新型コロナウイルス感染・発症時の医療、介護
① 高齢者が最善の医療およびケアを受ける権利と ACP(アドバンスケアプラニング)
今後、どのような COVID-19 流行状況になろうとも、暦年齢だけを基準としたトリアージ
はエイジズムそのものであり、最大限の努力を払って避けるべきである。そして、「最善の
医療およびケア」を人生の最終段階まで受ける権利を保障するために ACP を推進し、本人
が希望するエンドオブライフ・ケアを保障すべきである。
② 医療の場についての見解
高齢であることは、COVID-19 重症化に最も強く影響するリスク因子である。しかし、オミ
クロン変異体を主体とする第 6 波において、高齢者においても COVID-19 自体の重症化率
は第 5 波までと比較して大きく低下し、COVID-19 を契機とする誤嚥性肺炎の併発や既存
疾患の悪化(慢性心不全の増悪など)
、転倒・骨折、ADL の低下が、COVID-19 を発症した
高齢者の QOL や予後に強く影響しているとみられている。
そのような状況において、COVID-19 を発症した高齢者の医療の場、具体的には入院か
在宅か(高齢者施設を含む)の決定は、単に COVID-19 の重症度や重症化リスク因子の有
無によってのみ決められるものではない。環境変化に伴うせん妄のリスク、転倒・骨折、
ADL 低下のリスク、並びに療養環境を十分に考慮する必要がある。

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