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資料3-9 秋下先生提出資料 (2 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第77回 3/23)《厚生労働省》
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さらに、ほとんどの医療機関で家族との面会制限は長期に継続されると予想される。すで
にエンドオブライフにある高齢者においては、家族との面会を強く制限される医療の場が
最期のときを過ごす場所としてふさわしいかも検討しなければならない。
一方で、感染対策のために環境変化を避けられないことも多い。これらの総合的な検討の
うえで、本人および家族等の意思にもとづいて、高齢者にとって「最善の医療およびケア」
としての医療の場を決定していくべきである。
③ フレイルに対応した急性期病院でのケアと後方連携の重要性
COVID-19 を発症した高齢者が入院加療を選択した場合、急性期病院においても、家族や
介護者からの情報を元に可能な範囲で高齢者総合機能評価やフレイルの評価を行い、せん
妄や誤嚥性肺炎の予防と ADL 維持のための対策を、感染対策下で実施すべきである。さら
に、隔離期間を終えて COVID-19 の病状が改善した高齢者が、自宅や施設での生活をとり
もどすためには、地域ごとに、希望に応じて在宅療養または回復期リハビリテーションなど
の中間施設への移行が円滑にすすむ医療・ケア体制の整備が喫緊の課題である。また、要介
護認定の未取得が在宅復帰や高齢者施設入所の障壁となるケースがあり、COVID-19 患者
に対する迅速判定といった介護保険上の特例措置も検討を要する。在宅復帰後も、通所リハ
ビリテーションや訪問リハビリテーション、通所介護、訪問診療、訪問看護など適切な介護
サービスの利用が行えるよう、在宅療養の体制も見直すべきである。
④ 高齢者施設等における感染
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等の高齢者施設や療養病床等にいる高齢者が
COVID-19 に罹患した場合、感染症そのものの症状で状態が悪化するだけではなく、基礎
疾患の悪化、施設内における行動制限等の複数の要因により心身機能が悪化する。
高齢者施設等においては、提供できる医療内容に設備や体制上の制限があることから、施
設内での感染症治療が求められる場合であっても、血中酸素濃度等の指標だけでなく、基礎
疾患の状態やその他の全身状態を総合的に評価した上、必要であれば速やかな入院できる
体制の維持が望ましい。行政と医師会等が協力して、医療機関からの感染症専門家等の派遣
体制を地域で構築することも求められる。
また、罹患した要介護高齢者が心身機能を回復するために、回復期リハビリテーション等
の医療を柔軟に受けることができる体制の整備が望まれる。
⑤ 第 6 波以降の高齢者 COVID-19 の臨床経過に関するデータの必要性
現在、オミクロン変異体による第 6 波以降、COVID-19 重症者や死亡者の実態は、第 5 波
までと大きく変化しているといわれている。前述の検討を進めるうえでも、これらのデータ
の集積と分析は急務である。高齢者が COVID-19 を発症したときの臨床経過を、国民全体
が正しく理解することは、地域の医療資源に応じた適切な診療体制を構築するうえで必須
である。

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