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参考資料2-1  血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドラインについて(平成11年8月) (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24719.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会安全技術調査会(令和3年度第6回 3/29)《厚生労働省》
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血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドラインについて|厚...

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(5) 試料中に添加するウイルス量は、その製造工程のウイルス除去及び不活化能力を充分に評価できる量とする。ただし、一般的にウイ
ルスの添加量はウイルスの溶液量として出発原料の10%以下とすることが望ましい。
(6) 試料中のウイルスは、可能な限り超遠心分離、透析、保存などの操作を行わずに定量することが望ましい。しかし、阻害物質や毒性
物質を除去するため、又は全ての試料を同時に定量するため、定量前に何らかの処理をすることが避けられない場合には、適切なコン
トロールを用いて、その処理の試験結果に対する影響を確認するとともに、試料による毒性発現などの検出系に対する影響も考慮す
る。
(7) ウイルスの選択にあたっては、クリアランス試験従事者に健康被害をもたらす可能性のあることに配慮するべきである。
また、ウイルス・プロセスバリデーション試験は「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則(H11年3月12日厚生省令第16
号)」の手続きに基づいて、実施しなければならない。
4.4 ウイルス・プロセスバリデーションの評価
4.4.1 ウイルス低減率(ウイルスクリアランス指数)の評価
製造工程の各製造段階でのウイルスクリアランス指数は、ウイルス・プロセスバリデーション試験の結果により得られたウイルス減少
値の総和で評価する。製造業者は、得られたウイルスクリアランス指数が受け入れ可能かどうかについて、原料血漿及び製造過程に
含まれる可能性のある全てのウイルスを念頭において評価し、その妥当性を示すべきである。
4.4.2 対数減少値の計算法
ウイルス除去および不活化工程のウイルスクリアランス指数Rは、次式で示される。
R=log((V1×T1)/(V2×T2))
なお、Rは対数で表される減少度、V1は工程処理前の容量、T1は工程処理前のウイルス力価、V2は工程処理後の試料の容量、T2
は工程処理後の試料のウイルス力価である。
ウイルスクリアランス指数を算出する場合には、可能な限り、添加したウイルス力価ではなく、添加後の工程処理前の原料中に検出
されるウイルスを検証しなければならない。
試験のばらつきは、希釈誤差、統計的な原因、各種測定法に特有な未知又は制御不能な要素の違いなどにより生じる。通常、独立し
て実施した試験間のばらつき(試験間変動)は、一試験内のばらつき(試験内変動)より大きい。
処理工程前の材料中のウイルス定量値の信頼限界が+Sで、工程処理後のウイルス定量値の信頼限界が+aの場合、ウイルスクリ
アランス指数の信頼限界は±√(S2+a2)である。
上記の要因を総合的に評価することにより、当該工程のウイルス除去及び不活化の有効性を判断することができる。
4.4.3 データの解釈上留意すべき事項
製造工程のウイルス除去及び不活化効果の有効性の評価には、下記の要因が寄与しているので、データを解釈する場合には個々
の要因について注意深く検討する必要がある。
(1)

ウイルスの選択の妥当性 バリデーション試験に使用するウイルスは、試験の目的及び本ガイドラインに規定された原則に従って、
適切な関連ウイルス及びモデルウイルスが選択されていたかを評価しなければならない。

(2)

バリデーション試験の設計の妥当性 製造工程の変動要因や規模縮小における変動要因などを考慮に入れ、適切な試験系が設計
されていたかを検証する。

(3)

製造工程の変動因子 製造工程の変動因子の僅かな変動に対しウイルスの除去及び不活化効果が影響を受けやすい場合は、当
該製造工程のウイルス除去及び不活化効果に対する影響を評価する。

(4)

対数減少値の評価 一般的に個々のウイルスクリアランス指数の総和で示され、対数で表された各製造段階での減少度を加算す
ることによって算出される。しかし、複数の工程(例えば1log10以下の工程)の減少率を加算すると、工程全体を通してのウイルス除去
及び不活化能力を過大評価してしまう可能性がある。従って、クリアランス指数1log10以下の除去及び不活化工程は正当な理由が
ない限り通常計算にいれるべきではない。なお、同一又は近似した方法を繰り返して達成されたウイルスクリアランス指数は、合理
的な理由がない限り加算されるべきではない。

(5)

不活化の速度論の評価
ウイルスクリアランス指数によるウイルス感染性の不活化は、しばしば急速な初期相とそれに続く遅い相からなる2相性の曲性を示
す。したがって、試験に際しては、検体を時間を変えてサンプリングし、不活化曲線が描けるように計画すべきである。不活化試験に
おいては、最短暴露時間でのポイントに加えて、暴露ゼロ時より長く、かつ最短暴露時間よりも短い時間でのポイントを少なくとも1点
はとることが推奨される。このような工程で不活化を免れたウイルスは、次の不活化工程でより強い抵抗力を示す可能性がある。例
えば、抵抗性画分が凝集形態をとるとすれば、各種化学処理や熱処理に対しても抵抗性を示す可能性がある。

(6)

製造工程でのウイルスの挙動
ウイルスクリアランスは、例えば、不活化工程が2段階以上ある場合、相互補完的な分離工程が複数ある場合、あるいは不活化及
び分離工程が複数組み合わされている場合に効果的に達成される。分離工程においては、個々のウイルスがもつ特異的な物理化
学的特性がゲル・マトリクスとの相互作用や沈降特性にどの様に影響するのかに大きく依存しているために、モデルウイルスが目的
ウイルスとは異なる機序により分離される可能性がある。したがって、分離に影響する製造工程のパラメータにはどのようなものが
あるかを考慮する必要がある。例えば、糖鎖付加のような表面特性に変化があれば、これに由来してパラメータに違いが生じる可能
性がある。しかしながら、こうした変動要因にもかかわらず、相互補完的な分離工程の組み合わせや不活化工程と分離工程との組
み合わせにより、効果的なウイルス除去が達成される。クロマトグラフィー工程、濾過工程及び抽出工程等において充分に吟味して
設計された分離工程は、適切に管理された条件下で操作を行った場合、効果的なウイルス除去工程となり得る。
製造工程のウイルスクリアランス試験に使用されるウイルス標品は、通常、組織培養で製造される。製造工程において、組織培養
ウイルスの挙動は自然界に存在するウイルスの挙動とは異なっている可能性がある。例えば、自然界に存在するウイルスと培養ウ
イルスとでは純度や凝集の程度が異なっている可能性がある。

(7)

ウイルス力価の減少度の評価
ウイルス力価の減少度を対数で表してウイルスクリアランス指数とするため、残存感染性ウイルス量が著しく低減することは示すこ

4
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/5l.html

2022/03/11