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参考資料2-1 血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドラインについて(平成11年8月) (5 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24719.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会安全技術調査会(令和3年度第6回 3/29)《厚生労働省》 |
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血漿分画製剤のウイルスに対する安全性確保に関するガイドラインについて|厚...
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とができるが、力価は決してゼロにはならないという限界がある。例えば、mL当たり8log10感染単位を含む標品から8log10のファク
ターで感染性の低減があっても、試験の検出限界をも考慮すれば、mL当たり0log10すなわち1感染単位を残していることになる。
(8)
緩衝液や製品は、ウイルス力価試験に用いる指示細胞に好ましくない影響を及ぼす可能性がある。したがって、これらのウイルス
力価測定法に対する毒性作用又は干渉作用をそれぞれ個別に評価して、測定に支障のないような対策を講ずるべきである。仮に緩
衝液が指示細胞に対して毒性を有する場合は、希釈、pHの調整、あるいはスパイクされたウイルスを含有する緩衝液の透析等を試
みる。製品そのものが抗ウイルス活性を持っている場合、クリアランス試験を製品そのものは含まない類似工程(mock run)で実施
する必要がある。しかし、製造工程によっては、製品を除去すること又は抗ウイルス活性を持たない類似タンパク質で代替することが
ウイルスの挙動に影響することもあり得る。また、例えば、透析、保存など、測定試料調製の手順による影響を評価するために、同
様な調製手順を経るコントロール試験も実施する必要がある。
一方、ウイルスクリアランス指数の総計は、製造条件、緩衝液などの毒性や殺ウイルス性が非常に強い場合には過小評価される
可能性があるので、事例ごとに評価されるべきである。逆にウイルスクリアランス指数の総計は、このようなウイルスクリアランス試
験に固有の限界ないしは不適切な試験計画のために過大評価される場合もあることに留意する必要がある。
(9)
ウイルス除去及び不活化効果の選択性
あるウイルス除去及び不活化工程が一部のウイルスに対しては極めて有効であるが、それ以外のウイルスに対しては有効ではな
い可能性がある。例えば、S/D(有機溶媒/界面活性剤)処理は、一般に脂質膜を有するウイルスに対しては有効であるが、脂質膜
を有しないウイルスに対しては有効ではない。
(10) 抗体による影響
試料中に試験に用いるウイルスに対する抗体が存在すると、ウイルスの分配不活化処理に対する感受性に影響を与える可能性
がある。ウイルスの感染性を中和するのみでなく、試験系の設計を複雑にする。したがって、試料中のウイルスに対する抗体の存在
は一つの重要な測定干渉要素であると考えられる。
(11) アッセイ法の検出感度
ウイルスのアッセイ法は、ウイルスの対数減少値の算定に大きく影響するので、可能な限り検出感度の高い方法を用い、事前に
アッセイ法の検出感度を把握しておく必要がある。
(12) ウイルスクリアランス試験の再現性及び信頼限界
ウイルス不活化及び除去工程として有効であることを示すためには、少なくとも2回以上の独立した試験により添加ウイルス量の低
減に再現性があることを立証する必要がある。
5 ウイルスクリアランスの再評価が必要な場合
生産工程あるいは精製工程を変更する場合には、必ずその変更がウイルスクリアランス能力に関して、直接又は間接に影響しないかを考
慮し、必要に応じてシステムを再度検証する必要がある。また、精製工程を変更する場合にはウイルスクリアランスの程度を変える可能性が
ある。
6 ウイルス・プロセスバリデーションに係る測定法
6.1 ウイルス感染価の測定法
感染価の測定法には、プラーク測定法、細胞変性効果による検出法(例えばTCID50法)などがある。測定法は、十分な感度と再現性を持
つべきであり、コントロールを用いて統計学的に分析可能な結果が得られるようにする。
6.2 統計
ウイルスクリアランス試験における結果の評価に当たってはデータを統計学的手法を用いて解析する必要がある。また、得られた結論に
ついては、試験結果の妥当性を統計学的に検証しなければならない。
6.3 核酸増幅法検査
核酸増幅法(Nucleic acid amplification technology;NAT)検査は、現行の血清学的検査が陰性である時でもウイルスゲノムを高感度に検
出できる方法であり、血漿分画製剤の原料となる個々の血漿やプール血漿を測定することにより、培養系で測定できないHBVやHCV遺伝
子などの検出に応用できる。また、HBV、HCV及びHIVに関しては、ウインドウピリオドの大幅な短縮が可能となり、血漿分画製剤の原料と
なるプール血漿へのウイルス混入量を低減し、血漿分画製剤のウイルスに対する安全性の向上に寄与するものと考えられる。
核酸増幅法(NAT)検査は、ウイルス・プロセスバリデーションにおいて、ウイルス除去工程の有効な評価法となりうる。しかしながら、ウイ
ルス不活化工程では、不活化されたウイルスが依然として核酸陽性の結果を示すことがあるため、ウイルス不活化の程度が過小評価さ
れる可能性がある。また、核酸増幅法(NAT)検査を導入する場合には、検出感度の妥当性、コントロールとして用いる標準品の選定、プラ
イマー等、用いる試薬の品質の維持及び陽性又は陰性結果の評価において十分な注意を払わなければならない。
現在、核酸増幅法(NAT)検査には標準的な方法が確立されておらず、各施設ごとに異なった方法で実施されている。標準化された核酸
増幅法(NAT)検査を導入するにあたっては、適切な試薬、標準品等を用いた特異性、検出感度、再現性精度の同等性などを検証するため
に施設間での共同研究を行い、将来的には国内の全施設において共通の水準で実施できるような核酸増幅法(NAT)検査の開発に資する
ことが期待される。
7 記録と保存
ウイルス・プロセスバリデーションに係る項目についてはすべて文書化し、保存しなければならない。
8 その他
ウイルスプロセスバリデーションについてICHガイドラインが適切に適用できる場合にはこれを参考にする。
用語
モデルウイルス
製造工程がウイルスの除去や不活化に関して一般にどの程度の能力を有するかを解析する目的,すなわち工程が確実にウイルスクリアラ
ンス能力を発揮するという面での特性を解析する目的で行うウイルスクリアランス工程特性解析試験に使用されるウイルス。
不活化
化学的又は物理的修飾によって引き起こされるウイルス感染性の減少。
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https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/5l.html
2022/03/11
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とができるが、力価は決してゼロにはならないという限界がある。例えば、mL当たり8log10感染単位を含む標品から8log10のファク
ターで感染性の低減があっても、試験の検出限界をも考慮すれば、mL当たり0log10すなわち1感染単位を残していることになる。
(8)
緩衝液や製品は、ウイルス力価試験に用いる指示細胞に好ましくない影響を及ぼす可能性がある。したがって、これらのウイルス
力価測定法に対する毒性作用又は干渉作用をそれぞれ個別に評価して、測定に支障のないような対策を講ずるべきである。仮に緩
衝液が指示細胞に対して毒性を有する場合は、希釈、pHの調整、あるいはスパイクされたウイルスを含有する緩衝液の透析等を試
みる。製品そのものが抗ウイルス活性を持っている場合、クリアランス試験を製品そのものは含まない類似工程(mock run)で実施
する必要がある。しかし、製造工程によっては、製品を除去すること又は抗ウイルス活性を持たない類似タンパク質で代替することが
ウイルスの挙動に影響することもあり得る。また、例えば、透析、保存など、測定試料調製の手順による影響を評価するために、同
様な調製手順を経るコントロール試験も実施する必要がある。
一方、ウイルスクリアランス指数の総計は、製造条件、緩衝液などの毒性や殺ウイルス性が非常に強い場合には過小評価される
可能性があるので、事例ごとに評価されるべきである。逆にウイルスクリアランス指数の総計は、このようなウイルスクリアランス試
験に固有の限界ないしは不適切な試験計画のために過大評価される場合もあることに留意する必要がある。
(9)
ウイルス除去及び不活化効果の選択性
あるウイルス除去及び不活化工程が一部のウイルスに対しては極めて有効であるが、それ以外のウイルスに対しては有効ではな
い可能性がある。例えば、S/D(有機溶媒/界面活性剤)処理は、一般に脂質膜を有するウイルスに対しては有効であるが、脂質膜
を有しないウイルスに対しては有効ではない。
(10) 抗体による影響
試料中に試験に用いるウイルスに対する抗体が存在すると、ウイルスの分配不活化処理に対する感受性に影響を与える可能性
がある。ウイルスの感染性を中和するのみでなく、試験系の設計を複雑にする。したがって、試料中のウイルスに対する抗体の存在
は一つの重要な測定干渉要素であると考えられる。
(11) アッセイ法の検出感度
ウイルスのアッセイ法は、ウイルスの対数減少値の算定に大きく影響するので、可能な限り検出感度の高い方法を用い、事前に
アッセイ法の検出感度を把握しておく必要がある。
(12) ウイルスクリアランス試験の再現性及び信頼限界
ウイルス不活化及び除去工程として有効であることを示すためには、少なくとも2回以上の独立した試験により添加ウイルス量の低
減に再現性があることを立証する必要がある。
5 ウイルスクリアランスの再評価が必要な場合
生産工程あるいは精製工程を変更する場合には、必ずその変更がウイルスクリアランス能力に関して、直接又は間接に影響しないかを考
慮し、必要に応じてシステムを再度検証する必要がある。また、精製工程を変更する場合にはウイルスクリアランスの程度を変える可能性が
ある。
6 ウイルス・プロセスバリデーションに係る測定法
6.1 ウイルス感染価の測定法
感染価の測定法には、プラーク測定法、細胞変性効果による検出法(例えばTCID50法)などがある。測定法は、十分な感度と再現性を持
つべきであり、コントロールを用いて統計学的に分析可能な結果が得られるようにする。
6.2 統計
ウイルスクリアランス試験における結果の評価に当たってはデータを統計学的手法を用いて解析する必要がある。また、得られた結論に
ついては、試験結果の妥当性を統計学的に検証しなければならない。
6.3 核酸増幅法検査
核酸増幅法(Nucleic acid amplification technology;NAT)検査は、現行の血清学的検査が陰性である時でもウイルスゲノムを高感度に検
出できる方法であり、血漿分画製剤の原料となる個々の血漿やプール血漿を測定することにより、培養系で測定できないHBVやHCV遺伝
子などの検出に応用できる。また、HBV、HCV及びHIVに関しては、ウインドウピリオドの大幅な短縮が可能となり、血漿分画製剤の原料と
なるプール血漿へのウイルス混入量を低減し、血漿分画製剤のウイルスに対する安全性の向上に寄与するものと考えられる。
核酸増幅法(NAT)検査は、ウイルス・プロセスバリデーションにおいて、ウイルス除去工程の有効な評価法となりうる。しかしながら、ウイ
ルス不活化工程では、不活化されたウイルスが依然として核酸陽性の結果を示すことがあるため、ウイルス不活化の程度が過小評価さ
れる可能性がある。また、核酸増幅法(NAT)検査を導入する場合には、検出感度の妥当性、コントロールとして用いる標準品の選定、プラ
イマー等、用いる試薬の品質の維持及び陽性又は陰性結果の評価において十分な注意を払わなければならない。
現在、核酸増幅法(NAT)検査には標準的な方法が確立されておらず、各施設ごとに異なった方法で実施されている。標準化された核酸
増幅法(NAT)検査を導入するにあたっては、適切な試薬、標準品等を用いた特異性、検出感度、再現性精度の同等性などを検証するため
に施設間での共同研究を行い、将来的には国内の全施設において共通の水準で実施できるような核酸増幅法(NAT)検査の開発に資する
ことが期待される。
7 記録と保存
ウイルス・プロセスバリデーションに係る項目についてはすべて文書化し、保存しなければならない。
8 その他
ウイルスプロセスバリデーションについてICHガイドラインが適切に適用できる場合にはこれを参考にする。
用語
モデルウイルス
製造工程がウイルスの除去や不活化に関して一般にどの程度の能力を有するかを解析する目的,すなわち工程が確実にウイルスクリアラ
ンス能力を発揮するという面での特性を解析する目的で行うウイルスクリアランス工程特性解析試験に使用されるウイルス。
不活化
化学的又は物理的修飾によって引き起こされるウイルス感染性の減少。
5
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/5l.html
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