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資 料 1-1 感染症定期報告(研究報告概要一覧表及び個別症例報告概要) (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42777.html |
出典情報 | 薬事審議会 血液事業部会 安全技術調査会(令和6年度第1回 8/30)、運営委員会(第2回 8/30)(合同会議)《厚生労働省》 |
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概要
番号
詳細版
ページ
米国、血小板成分採血セットの製造施設における細菌汚染に起因する輸血後敗血症発症事例につ
いて。米国での2018年5月~2022年12月の期間における、輸血後敗血症7症例について調査を行っ
た。これらの敗血症症例の原因は、患者検体及び輸血製剤から分離された菌、Acinetobacter
calcoaceticus-baumannii complex(ACBC)、Staphylococcus saprophyticus など複数種類の細菌に
汚染された成分採血由来血小板製剤(細菌リスク管理対策実施済み;一次培養、二次迅速検査、又
は病原体低減化)と考えられた。当該被疑血小板製剤の採血セット製造施設(国外)から採取した環
境菌検体とともに詳細な調査を行った。6名の異なる供血者由来血液に起因した7例の敗血症例(3
例は死亡症例)が6つの州で特定された。培養試験により、ACBCは6名の患者及び6本の輸血され
た血小板製剤から、S.saprophyticus は4名の患者及び4本の輸血された血小板製剤から検出され
た。全ゲノムシーケンスにより、環境菌検体からの分離株は患者及び血小板製剤からの分離株と遺
伝子的に関連性が高いことが判明し、製造施設がこれらの細菌汚染の汚染源である可能性が極め
て高いことが示された。たとえ細菌リスク管理対策を講じていても、輸血後敗血症の可能性について
認識しておく必要がある。
4
17
梅毒
Transfusion.
64(2024)325-333
2020年から2022年までの米国献血者における梅毒血清有病率と発症率。
【背景】HIV、HBV、HCV感染は、米国の血液供給の約60%を占めており、TTIMSによってモニタリン
グされており、2020年には梅毒が追加された。
【研究デザインと方法】データは2020年10月から2022年9月まで集計された。梅毒有病率は、コンセ
ンサス・ポジティブ(CP)であった同種ドナー及び指向性ドナー、及び活動性感染(AI)が確認された
ドナーのサブセットについて推定した。有病率と発症率は、2020年10月1日からの2年間を1年間ずつ
及び両年の合計について、人口統計学的に層別化した。発症率はリピートドナーについて推定し
た。梅毒陽性と他の感染症との関連を評価した。
【結果】1,475万件の献体において、梅毒有病率は28.4/10万件であり、1年目と比較して2年目は有
意に高かった。2年間の梅毒有病率は全体で10.8/10万人年であった。CP感染の調整オッズは、1年
目と比較して2年目に1.18倍(95%CI:1.11-1.26)高く、AIでは2年目に1.22倍(95%CI:1.10-1.35)高
かった。男性、初回、黒人、若年(18~39歳)、米国南部国勢調査地域のドナーで高率であった。梅
毒CPドナーはHIV CPである可能性が64倍(95%CI:46-89)、AIドナーはHIV CPである可能性が77
倍(95%CI:52-114)であった(交絡因子をコントロールした場合)。
【結論】梅毒の有病率は、米国疾病予防管理センターが報告した全米の傾向を反映して調査期間中
に増加し、HIV CPと有意に関連していた。
5
29
細菌感染
【症例】59歳女性。【主訴】発熱、前胸部の発赤・腫脹。
【現病歴】20歳代でクローン病と診断されメルカプトプリン、メサラジン、インフリキシマブによる治療
が開始された。約5年前から在宅中心静脈栄養が必要となり、皮下埋め込み型中心静脈アクセス
ポート(CVポート)が造設された。受診5日前、40℃台の発熱があり、受診時には右前胸部のCVポー
ト造設部の発赤、腫脹、熱感を認めたため、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)が疑われ入院と
なった。
第71回日本化学療法学 【治療経過】血液培養検体の採取及びCVポート/カテーテルの抜去を行った後、メロペネムの投与を
会西日本支部総会・第93 開始した。入院3日目、血液培養及びCVカテーテル先端部の好気培養で同一のブドウ糖非発酵グ
回日本感染症学会西日 ラム陰性桿菌が検出された。飛行時間型質量分析装置(TOF MS)では菌種の同定が困難であり、
本地方会学術集会合同 16S rRNA遺伝子解析によりLuteibacter jiangsuensis と同定した。入院6日目、メロペネムのMICが
学会(2023/11/9>8mg/Lと判明したため、レボフロキサシン(MIC<0.12mg/L)に変更した。臨床症状は改善を認め、
2023/11/11)後研-2
CVポートを再造設し、入院18日目に自宅退院となった。
【考察】L. jiangsuensis は2011年中国の農薬工場の土壌より初めて検出されたが、我々の知る限りこ
れまでにヒトへの感染例は報告されていない。Luteibacter 属は緑膿菌と同じGarnmaproteobacteria
網に属するグラム陰性好気性桿菌である。Luteibacter 属によるヒトへの感染報告は本症例を除き2
例のみ確認でき、1例は免疫不全患者のCRBSI症例であったが、本症例のような薬剤耐性傾向は認
めなかった。本菌の病原性や薬剤耐性機構はいまだ不明なため、更なる微生物学的解析や症例報
告の収集が必要である。
6
39
感染症
出典
<その他>
ブドウ球菌感染、
Emerg Infect Dis.
アシネトバクター
29(2023)1979-1989
感染
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番号
詳細版
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米国、血小板成分採血セットの製造施設における細菌汚染に起因する輸血後敗血症発症事例につ
いて。米国での2018年5月~2022年12月の期間における、輸血後敗血症7症例について調査を行っ
た。これらの敗血症症例の原因は、患者検体及び輸血製剤から分離された菌、Acinetobacter
calcoaceticus-baumannii complex(ACBC)、Staphylococcus saprophyticus など複数種類の細菌に
汚染された成分採血由来血小板製剤(細菌リスク管理対策実施済み;一次培養、二次迅速検査、又
は病原体低減化)と考えられた。当該被疑血小板製剤の採血セット製造施設(国外)から採取した環
境菌検体とともに詳細な調査を行った。6名の異なる供血者由来血液に起因した7例の敗血症例(3
例は死亡症例)が6つの州で特定された。培養試験により、ACBCは6名の患者及び6本の輸血され
た血小板製剤から、S.saprophyticus は4名の患者及び4本の輸血された血小板製剤から検出され
た。全ゲノムシーケンスにより、環境菌検体からの分離株は患者及び血小板製剤からの分離株と遺
伝子的に関連性が高いことが判明し、製造施設がこれらの細菌汚染の汚染源である可能性が極め
て高いことが示された。たとえ細菌リスク管理対策を講じていても、輸血後敗血症の可能性について
認識しておく必要がある。
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梅毒
Transfusion.
64(2024)325-333
2020年から2022年までの米国献血者における梅毒血清有病率と発症率。
【背景】HIV、HBV、HCV感染は、米国の血液供給の約60%を占めており、TTIMSによってモニタリン
グされており、2020年には梅毒が追加された。
【研究デザインと方法】データは2020年10月から2022年9月まで集計された。梅毒有病率は、コンセ
ンサス・ポジティブ(CP)であった同種ドナー及び指向性ドナー、及び活動性感染(AI)が確認された
ドナーのサブセットについて推定した。有病率と発症率は、2020年10月1日からの2年間を1年間ずつ
及び両年の合計について、人口統計学的に層別化した。発症率はリピートドナーについて推定し
た。梅毒陽性と他の感染症との関連を評価した。
【結果】1,475万件の献体において、梅毒有病率は28.4/10万件であり、1年目と比較して2年目は有
意に高かった。2年間の梅毒有病率は全体で10.8/10万人年であった。CP感染の調整オッズは、1年
目と比較して2年目に1.18倍(95%CI:1.11-1.26)高く、AIでは2年目に1.22倍(95%CI:1.10-1.35)高
かった。男性、初回、黒人、若年(18~39歳)、米国南部国勢調査地域のドナーで高率であった。梅
毒CPドナーはHIV CPである可能性が64倍(95%CI:46-89)、AIドナーはHIV CPである可能性が77
倍(95%CI:52-114)であった(交絡因子をコントロールした場合)。
【結論】梅毒の有病率は、米国疾病予防管理センターが報告した全米の傾向を反映して調査期間中
に増加し、HIV CPと有意に関連していた。
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細菌感染
【症例】59歳女性。【主訴】発熱、前胸部の発赤・腫脹。
【現病歴】20歳代でクローン病と診断されメルカプトプリン、メサラジン、インフリキシマブによる治療
が開始された。約5年前から在宅中心静脈栄養が必要となり、皮下埋め込み型中心静脈アクセス
ポート(CVポート)が造設された。受診5日前、40℃台の発熱があり、受診時には右前胸部のCVポー
ト造設部の発赤、腫脹、熱感を認めたため、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)が疑われ入院と
なった。
第71回日本化学療法学 【治療経過】血液培養検体の採取及びCVポート/カテーテルの抜去を行った後、メロペネムの投与を
会西日本支部総会・第93 開始した。入院3日目、血液培養及びCVカテーテル先端部の好気培養で同一のブドウ糖非発酵グ
回日本感染症学会西日 ラム陰性桿菌が検出された。飛行時間型質量分析装置(TOF MS)では菌種の同定が困難であり、
本地方会学術集会合同 16S rRNA遺伝子解析によりLuteibacter jiangsuensis と同定した。入院6日目、メロペネムのMICが
学会(2023/11/9>8mg/Lと判明したため、レボフロキサシン(MIC<0.12mg/L)に変更した。臨床症状は改善を認め、
2023/11/11)後研-2
CVポートを再造設し、入院18日目に自宅退院となった。
【考察】L. jiangsuensis は2011年中国の農薬工場の土壌より初めて検出されたが、我々の知る限りこ
れまでにヒトへの感染例は報告されていない。Luteibacter 属は緑膿菌と同じGarnmaproteobacteria
網に属するグラム陰性好気性桿菌である。Luteibacter 属によるヒトへの感染報告は本症例を除き2
例のみ確認でき、1例は免疫不全患者のCRBSI症例であったが、本症例のような薬剤耐性傾向は認
めなかった。本菌の病原性や薬剤耐性機構はいまだ不明なため、更なる微生物学的解析や症例報
告の収集が必要である。
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感染症
出典
<その他>
ブドウ球菌感染、
Emerg Infect Dis.
アシネトバクター
29(2023)1979-1989
感染
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