よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資  料 1-1 感染症定期報告(研究報告概要一覧表及び個別症例報告概要) (4 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42777.html
出典情報 薬事審議会 血液事業部会 安全技術調査会(令和6年度第1回 8/30)、運営委員会(第2回 8/30)(合同会議)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

概要

番号

詳細版
ページ

ProMED-mail
20231008.8712514

問題点:ジフテリアを引き起こす可能性がある新種のCorynebacteria 属菌によるヒト感染が確認され
た。
【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。パスツール研究所の
チームがジフテリアを引き起こす可能性のあるCorynebacterium 科の新種の細菌について報告し
た。ジフテリアは細菌であるCorynebacterium diphtheriae によって引き起こされることが最も多いが、
パスツール研究所の研究者らは本疾患を引き起こす可能性のある新しい細菌種を同定し、
Corynebacterium ramonii と名付けた。本細菌種は以前、同じくジフテリアを引き起こす別の細菌であ
るCorynebacterium ulcerans と混同されていた。本研究所のジフテリアに関するBiodiversity and
epidemiology of pathogenic bacteria及び国立リファレンスセンターの責任者は、「本細菌種は新興種
ではなく、新たに特徴付けられた種でありC. ulcerans とは遺伝的に異なるが、1950年に遡ると本細
菌種による感染記録がある。」と述べる。細菌種の分類学を特定することでより良い監視が可能とな
る。「本細菌種は動物から伝染するC. ulcerans とは異なり、ヒトからヒトに感染する可能性が疑わ
れ、混同される種である。」と本新種の解析の主導者は説明する。本細菌の発生は稀であるが、潜
在的な出現を防ぐために同定可能にすることが重要である。「C. ramonii が生成するジフテリア毒素
はジフテリアワクチンが目的とするものに非常に近く、ジフテリア毒素の保護によりC. ramonii にも効
果がある。同一の理由により、科学者がC. ramonii 感染が通常のジフテリアと異なる症状を引き起こ
すと考える理由はほとんどなく、抗生物質に対する耐性を示さないようである。」と研究者らは述べ
る。C. diphtheriae 種複合体はC. ulcerans 、複数の動物種由来の人畜共通病原体を含む7種の細菌
種からなる。本研究では2系統のC. ulcerans に属する表現型及び遺伝子型分離株を特徴づけてい
る。in silico DNA-DNAハイブリダイゼーション及びMALDI-TOFスペクトルによる系統解析の結果
は、C. ulcerans 系統2を系統1から区別し、その明確な流行動態(おそらくヒト-ヒト対動物-ヒト)ととも
に系統2が個別のCorynebacterium 種であることを示している。

7

41

マイコプラズマ感 ProMED-mail

20231220.8713827

問題点:デンマーク、ノルウェー及びスウェーデンにおいて新種のMycoplasma 属菌Mycoplasma
phocimorsus によるヒト感染例が確認された。
【概要】新たにヒトにおいて感染することが認められた感染症に関する報告。猟師や漁師の間では、
まれにアザラシを扱うことでseal fingerとして知られる非常に痛い手の感染症につながることがある
ことがよく知られている。Seal fingerは以前にMycoplasma phocacerebrale と関連があった。2000年
から2014年まで、デンマークのStatens Serum lnstitut(SSI)において、6つの独立した新規
Mycoplasma 種の系統がseal finger(M5725T、M6447、M6620、M6642及びM6879)又は化膿性関節
炎(M6921)を有するスカンジナビア地域の患者から分離された。感染の発症前、すべての患者が不
特定のアザラシとの接触を報告していた。6株のゲノムを配列決定し、既知の全てのMycoplasma 種
との関連性を推定した。16S rRNA遺伝子配列とコアゲノム一塩基多型を用いた系統発生解析は、
分離株同士が非常に類似し、Mycoplasma 属内の他の全ての種と系統発生的に異なることを示し
た。SSIの研究者らは、本感染症がこれまで知られていなかった特有なMycoplasma 属菌によって引
き起こされることを発見した。研究者らはこの新規細菌種を特徴付け、アザラシ咬傷による
Mycoplasma にちなんでMycoplasma phocimorsus (phoca:アザラシとmorsus:咬傷より)と命名した。
研究者らはまた、本細菌がペニシリン系以外の抗生物質に感受性があることを示し、これにより、標
的を絞った治療が可能となり、手や腕の可動性の低下等の合併症リスクが低下する。本発見は、
SSIが数年間にわたってデンマーク、ノルウェー及びスウェーデンの患者からサンプルを受け取り、
未知のMycoplasma 属菌の分離に成功した際に発見された。標準的な細菌培養培地で増殖せず、
以前に特徴付けられたヒト又は動物由来のMycoplasma 種のいずれにも似ていない。

8

45

クロイツフェルト・ JAMA Neurol.
ヤコブ病
81(2024)195-197

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)は急速に進行し、普遍的に致死的なプリオン病である。米国におけ
る研究では、Holman等の報告によるとCJDの発生率は1979年から2006年にかけては安定していた
とされるが、近年の傾向については記述されていない。CJDのうち、孤発性CJDは最も一般的な型で
あり、高齢患者での罹患率が高い。我々は、CJDの最近の米国での傾向をよりよく理解するため
に、2007年から2020年までの死亡診断書データを調査した。
【方法】このcross-sectional studyはthe Wide-Ranging Online Data for Epidemiologic Research
multiple cause of death databaseのデータを使用して行った。2007年から2020年までのICD-10コー
ドA81.0の死亡診断書を調査し、CJD罹患率と年齢・性別分布を調べた。死亡率サーベイランスデー
タベースの制限により、患者レベルの人口統計学的情報は収集できなかった。JoinpointRegression
Program, version 4.9.1.0(National Cancer Institute)を用いて、inflection pointsと平均年間変化率
(AAPC)を使用し特徴を明らかにした。Stata, version 18.0(Stata Corp LLC)を用いて、調査期間中
のコホートの変化についてt検定を行い、両側検定P<0.05を有意とした。
【結果】2007~2020年にかけてCJDの罹患率は上昇していた。(総計5882例;女性3009[51.2%]、男
性[48.8%])。男性では2007年において100万人中死亡155例、罹患率1.05(95%CI:0.88-1.21)で
あったが、2020年では100万人当たり死亡238例、罹患率1.47(95%CI:1.28-1.65)であった
(P=0.001)。女性では増加率がより大きく、2007年において100万人中死亡162例、罹患率1.06(95%
CI:0.89-1.22)から、2020年では100万人当たり死亡264例、罹患率1.58(95%CI:1.39-1.77)であった
(P=0.001)。年齢調整後、罹患率の増加は男性では有意ではなかった(100万人当たり1.06[95%CI:
0.89-1.23]から1.19[95%CI:1.04-1.35];P=0.25)。一方、女性では有意であった(100万人当たり
0.92[95% CI:0.78-1.06]から1.12[95% CI:0.99-1.26];P=0.045)。個々の年齢群では、罹患率が最も
増加したのは75~84歳であったが、この所見は男性では有意ではなかった(100万人当たり3.50
[95%CI:2.65-4.55]から7.48[95%CI:5.62-9.75];P=0.18)。また、女性においても有意ではなかった
(100万人当たり3.38[95%CI:2.21-4.95]から5.20[95%CI:3.84-6.90];P=0.07)。Joinpoint解析では、
男性(AAPC:2.9[95%CI:2.3-3.6];P<0.001)及び女性(AAPC:3.5[95%CI:2.2-4.7];P<0.001)の粗
発生率が有意に増加した。粗発生率は年齢調整後に減少したが、男女とも有意なままであった
(AAPC:男性0.8[95%CI:0.1-1.5];P=0.02、女性1.9[95%CI:0.6-3.2];P=0.005)。男性で有意な増加
がみられたのは55~64歳の年齢層のみであったが、女性では全ての年齢層で有意な増加がみられ
た。
【考察】今回の調査結果から、CJDの発症率は大幅に上昇しており、高齢者と女性に偏って発症して
いることがわかった。これらの傾向は日本のデータと一致しており、人口動態の変化が影響している
可能性がある。しかし、今回の知見は、磁気共鳴画像やreal-time quaking-induced conversion法と
いった新しい診断ツールによるCJD発見の改善を反映している可能性もある。この研究は、CJD発
症率の推定を死亡診断書データに依存しているため、限界がある。Davanipour等の研究はこの方法
を支持しているが、このようなデータはコーディングの誤りや誤診の可能性がある。神経病理学的検
査と遺伝子検査の両方から得られた結果は、死亡診断書データを補完し、サーベイランスを強化す
る可能性がある。この調査結果は、CJDの様相の変化を強調するものであり、高齢化する米国人口
のモニタリングの必要性を示唆するものである。

9

48

感染症

ジフテリア

出典

3