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感染症週報 2024年第35週(8月26日-9月1日) (10 ページ)

公開元URL https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2024.html
出典情報 感染症週報 2024年第35週(8月26日-9月1日)(9/13)《国立感染症研究所》
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Infectious Diseases Weekly Report Japan

2024年 第35週
(8月26日〜 9月1日)
:通巻第26巻 第35号

注目すべき感染症
◆マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)を原因菌とする肺炎で、
流行時には市中肺炎全体の20~30%を占めることもある。感染経路は主に飛沫感染と接触感
染で、患者は1~14歳に多く、家族内や学校などでしばしば集団発生が起こる。潜伏期間は感
染後2~3週間程度である。症状は発熱、全身倦怠感、頭痛、咳などで、解熱後も咳が長く続く
ことがある。肺炎の場合でも比較的症状は軽く、肺炎に至らない気管支炎症例も多い。一方、
重症化して入院治療が必要な症例もある。また、患者の5~10%未満で中耳炎、胸膜炎、心筋
炎、髄膜炎などの合併症を発症することも報告されている。治療はマクロライド系抗菌薬が第
一選択薬となるが、耐性を持つ株も検出されており抗菌薬の適切な使用が求められる。なお、
現時点で有効なワクチンはない。
感染症法に基づく感染症発生動向調査においてマイコプラズマ肺炎は5類感染症、定点把握
対象疾患に位置付けられており、全国約500カ所の基幹定点医療機関(小児科および内科医療
を提供する300床以上の病院)から毎週患者数(入院・外来の総数)が報告されている。届出基
準では「菌の分離・同定」、「抗体検出」、「核酸増幅法による病原体の遺伝子検出」、「イムノ
クロマト法による病原体の抗原の検出」のいずれかの検査法によってマイコプラズマ肺炎と診断
された時に、届出を求めている(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkakukansenshou11/01-05-38.html)。
定点当たり報告数は、2010~2019年の10年間でみると、第20週付近から増加し始め、第
42週~翌年第2週の間にピークを迎える一峰性の増減がみられたが、2020~2022年の報告数
は年間を通じて少なくピークも見られなかった。2024年は2019年以前とほぼ同様に、第20週付
近から定点当たり報告数が増加し始めた。2024年第27~33週は継続して前週より増加し、第
31~35週は、2014年以降最も多い水準で推移していた。
マイコプラズマ肺炎:第 31〜35 週における定点当たり報告数(2014〜2024 年)
第 31 週
第 32 週
第 33 週
第 34 週
第 35 週

2014 年 2015 年 2016 年 2017 年 2018 年 2019 年 2020 年 2021 年 2022 年 2023 年 2024 年
0.24
0.35
0.93
0.25
0.24
0.17
0.08
0.03
0.01
0.04
0.95
0.24
0.40
0.93
0.24
0.23
0.17
0.10
0.03
0.02
0.02
1.14
0.25
0.50
0.88
0.29
0.27
0.19
0.05
0.04
0.01
0.03
1.30
0.22
0.50
0.86
0.26
0.21
0.23
0.06
0.03
0.03
0.03
1.17
0.24
0.47
0.88
0.32
0.23
0.24
0.06
0.04
0.01
0.03
1.18

* 各集計時速報値(参照)IDWR速報データ:https://www.niid.go.jp/niid/ja/data.html

2024年第1~35週の定点当たり累積報告数は12.36(累積報告数5,934)であり、2014年以降
の10年間の当該週において、2016年の21.89(累積報告数10,376)に次いで多かった。
地域別では、2024年第35週は46都道府県から報告があり、定点当たり報告数上位5位は愛
知県(2.67)、大阪府(2.67)、兵庫県(2.50)、岐阜県(2.20)、東京都(2.08)であった。2024年第
30~34週(直近5週間)の定点当たり報告数、上位5位の都道府県は大阪府、愛知県、兵庫県、
岐阜県等、西日本に多かった。
2024年第1~35週までの累積報告数において、性別では男性が53.9%とやや多く、女性の報
告数が多かった2019~2023年とは異なる傾向であった。年齢群別の報告数では5~9歳が
43.5%(2,581例)と最も多く、次に10~19歳が30.9%(1,835例)であった。なお、2019~2024年
の各年における第1〜35週の累積報告数および報告例の年齢分布を表に示す。2024年の第

Ministry of Health, Labour and Welfare / National Institute of Infectious Diseases

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