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医師の地域偏在是正に向けた総合的な対策に関する意見 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.jmsf.or.jp/activity/page_696.html |
出典情報 | 医師の地域偏在是正に向けた総合的な対策に関する意見(10/16)《日本医学会連合》 |
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国の財政運営の進むべき方向」で具体的に指摘されています。すなわち、「医師
の偏在は自由開業制の下で生じている根深い課題であり、経済的インセンティ
ブと規制的手法の双方を活用し、強力な対策を講じる必要がある。地域偏在の
対策として、地域別診療報酬の活用を提案した。経済的インセンティブの当面
の措置として、医師過剰地域の 1 点当たり単価(10 円)の引き下げを先行させ、
それによる公費の節減効果を活用して医師不足地域の対策を強化することも考
えられる」としました。さらに、「規制的手法も組み合わせる必要がある。診
療所の報酬適正化、地域別診療報酬体系の導入とあわせ、医師過剰地域におけ
る新規開業規制の導入について諸外国(日本と同様に公的医療保険制度をとる
ドイツ、フランス)の例も参考にすべきであろう」としています。
また、2024 年 8 月 30 日に発出された厚生労働省近未来健康活躍社会戦略は、
医師偏在是正に向けた総合的な対策として、①医師確保計画の深化:第8次医
師確保計画の策定、②医師の確保・育成:医師少数区域等での勤務経験を求め
る管理者要件の大幅な拡大、③実効的な医師配置:重点的な支援区域の医療機
関や処遇改善のための経済的インセンティブ、当該区域への医師派遣等を行う
中核的な病院への支援を提言しています。さらに、2024 年 9 月 5 日に開催され
た第 1 回厚生労働省医師偏在対策本部では、規制強化として、①医師少数区域
での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大、②開業の規制など医師多数区
域の都道府県知事の権限強化、経済的支援として、①医師少数区域で処遇改善
のための支援、②医師少数区域へ医師派遣を行う中核病院への支援を提案して
います。そのため、厚生労働省は 2025 年度予算の概算要求では医師偏在対策な
どに 915 億円を計上しています。
我が国の高度医療・先進医療を担っている大学病院をはじめとする医療機関
は、現在、深刻な経営危機に陥っています。例えば、42 国立大学病院の 2023
年度決算概要を見ると、マイナス 60 億円で、2004 年度の国立大学法人化後初
の赤字となっています。個別には、大都市部の大学病院を含め 22 病院が赤字で
した。その主な原因は、光熱費、医薬品費、材料費が急激に高騰し、2023 年度
には医療比率が 44.6%(2012 年 36.5%)にも上昇していることで、この経営危機
が続くと医療機器の更新などが滞り、高度医療の提供が困難になるとされてい
ます。このような状況に鑑みると大都市圏の“医師過剰地域”の 1 点当たり単価
(10 円)の引き下げは、大都市圏の医療の質の低下・医療崩壊に直結するとい
わざるを得ません。日本医学会連合は、我が国の医学及び医療の水準の向上を
願う立場から、大都市圏の医療への経済的ディスインセンティブの手法ではな
く、医師少数区域で処遇改善のための支援や医師少数区域へ医師派遣を行う中
核病院への支援などの経済的支援を行うという厚生労働省の提案は、適切なも
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の偏在は自由開業制の下で生じている根深い課題であり、経済的インセンティ
ブと規制的手法の双方を活用し、強力な対策を講じる必要がある。地域偏在の
対策として、地域別診療報酬の活用を提案した。経済的インセンティブの当面
の措置として、医師過剰地域の 1 点当たり単価(10 円)の引き下げを先行させ、
それによる公費の節減効果を活用して医師不足地域の対策を強化することも考
えられる」としました。さらに、「規制的手法も組み合わせる必要がある。診
療所の報酬適正化、地域別診療報酬体系の導入とあわせ、医師過剰地域におけ
る新規開業規制の導入について諸外国(日本と同様に公的医療保険制度をとる
ドイツ、フランス)の例も参考にすべきであろう」としています。
また、2024 年 8 月 30 日に発出された厚生労働省近未来健康活躍社会戦略は、
医師偏在是正に向けた総合的な対策として、①医師確保計画の深化:第8次医
師確保計画の策定、②医師の確保・育成:医師少数区域等での勤務経験を求め
る管理者要件の大幅な拡大、③実効的な医師配置:重点的な支援区域の医療機
関や処遇改善のための経済的インセンティブ、当該区域への医師派遣等を行う
中核的な病院への支援を提言しています。さらに、2024 年 9 月 5 日に開催され
た第 1 回厚生労働省医師偏在対策本部では、規制強化として、①医師少数区域
での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大、②開業の規制など医師多数区
域の都道府県知事の権限強化、経済的支援として、①医師少数区域で処遇改善
のための支援、②医師少数区域へ医師派遣を行う中核病院への支援を提案して
います。そのため、厚生労働省は 2025 年度予算の概算要求では医師偏在対策な
どに 915 億円を計上しています。
我が国の高度医療・先進医療を担っている大学病院をはじめとする医療機関
は、現在、深刻な経営危機に陥っています。例えば、42 国立大学病院の 2023
年度決算概要を見ると、マイナス 60 億円で、2004 年度の国立大学法人化後初
の赤字となっています。個別には、大都市部の大学病院を含め 22 病院が赤字で
した。その主な原因は、光熱費、医薬品費、材料費が急激に高騰し、2023 年度
には医療比率が 44.6%(2012 年 36.5%)にも上昇していることで、この経営危機
が続くと医療機器の更新などが滞り、高度医療の提供が困難になるとされてい
ます。このような状況に鑑みると大都市圏の“医師過剰地域”の 1 点当たり単価
(10 円)の引き下げは、大都市圏の医療の質の低下・医療崩壊に直結するとい
わざるを得ません。日本医学会連合は、我が国の医学及び医療の水準の向上を
願う立場から、大都市圏の医療への経済的ディスインセンティブの手法ではな
く、医師少数区域で処遇改善のための支援や医師少数区域へ医師派遣を行う中
核病院への支援などの経済的支援を行うという厚生労働省の提案は、適切なも
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