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資料2-3 日本医療政策学会 御提出資料 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2409_04medical/241125/medical03_agenda.html |
出典情報 | 規制改革推進会議 健康・医療・介護ワーキング・グループ(第3回 11/25)《内閣府》 |
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総論
医療・介護の質を⾼めつつ、医療・介護費の適正化を実現するためには、エビデンス(科学的根拠)に基づく、医療・介護・公衆衛⽣政策の策
定・実施が必要不可⽋である。このような「エビデンスに基づく政策⽴案(EBPM)」 の推進のためには質の高いデータが不可欠である。特に医
療政策学は医学だけでなく、その周辺領域(医療経済学、政治学、統計学、社会学、経営学、倫理学など)を含む学際的な学問である。そのため、
臨床情報を含むいわゆる医療データだけではなく、医療提供者・患者や居住地の社会的背景を理解するための「医療の周辺情報」が必要となる。
例えば、子供医療費助成の最適化を考える上で必要になるのは、子供の健康状態や医療利用パターンのような医療情報だけでない。この政策が子
供の社会経済的背景や、居住地の医療アクセスによって効果が異なる可能性を踏まえると、このような「医療の周辺情報」は必須となる。また、
医療の質を改善させる上で、どのような医師や医療機関がどのような質の医療を提供しているか理解することは精度の高い介入を行うためには必
須の情報である。近年個別化医療と同様に、このような、より個人や集団の特性に応じた政策(個別化された政策)の必要性が高まっている。
これまで、医療政策に資する量的データとしては、(A)医療行政データ(レセプトやDPCなど)・電子カルテデータ・疾患レジストリ、(B)研究
者らによる調査データ(コホートなど)などが利用されてきた。しかしこのうち(A)は「医療情報」については豊富であるが、「医療の周辺情
報」は限られている。(B)では、逆に「医療の周辺情報」については比較的多く利用可能であるが、「医療情報」は自己申告などの限界が存在す
る。
これらの課題を乗り越えるためには、医療情報と医療の周辺情報を十分に組み合わせて利用できるようなデータベースの構築が必要となる。本要
望では、学会員からの意見募集及びワーキンググループの議論に基づき、個別化された政策の実現のために必須となる、医療データベースへの①
医師情報の紐付け、②健康の社会的要因の紐付けの2点の提言を行う。
また、そのように紐付けを行なったデータベースは、結果的に個人を識別可能な情報の精度になるため、対象者の同意が必要となる懸念が示され
るかもしれない。しかし、本学会としては個人を識別するためでなく、政策的に役立つような精緻な分析(例えば、ある政策がこの性質を持つ集
団には効果があるが、別の集団ではそうではない、など)をするためにこれらのデータが必要であることを強調したい。そのため、公衆衛生学上
重要で医療政策に資するような研究目的では、医療の周辺情報との紐付けの際に、対象者の同意を必須としないように明確化していただくことを
要望する。また、それに伴い、利用申請の手続きや審査面安全管理体制等のあり方についても同時に検討を進めることを要望する。
© 2024 Japan Health Policy Research Association
医療・介護の質を⾼めつつ、医療・介護費の適正化を実現するためには、エビデンス(科学的根拠)に基づく、医療・介護・公衆衛⽣政策の策
定・実施が必要不可⽋である。このような「エビデンスに基づく政策⽴案(EBPM)」 の推進のためには質の高いデータが不可欠である。特に医
療政策学は医学だけでなく、その周辺領域(医療経済学、政治学、統計学、社会学、経営学、倫理学など)を含む学際的な学問である。そのため、
臨床情報を含むいわゆる医療データだけではなく、医療提供者・患者や居住地の社会的背景を理解するための「医療の周辺情報」が必要となる。
例えば、子供医療費助成の最適化を考える上で必要になるのは、子供の健康状態や医療利用パターンのような医療情報だけでない。この政策が子
供の社会経済的背景や、居住地の医療アクセスによって効果が異なる可能性を踏まえると、このような「医療の周辺情報」は必須となる。また、
医療の質を改善させる上で、どのような医師や医療機関がどのような質の医療を提供しているか理解することは精度の高い介入を行うためには必
須の情報である。近年個別化医療と同様に、このような、より個人や集団の特性に応じた政策(個別化された政策)の必要性が高まっている。
これまで、医療政策に資する量的データとしては、(A)医療行政データ(レセプトやDPCなど)・電子カルテデータ・疾患レジストリ、(B)研究
者らによる調査データ(コホートなど)などが利用されてきた。しかしこのうち(A)は「医療情報」については豊富であるが、「医療の周辺情
報」は限られている。(B)では、逆に「医療の周辺情報」については比較的多く利用可能であるが、「医療情報」は自己申告などの限界が存在す
る。
これらの課題を乗り越えるためには、医療情報と医療の周辺情報を十分に組み合わせて利用できるようなデータベースの構築が必要となる。本要
望では、学会員からの意見募集及びワーキンググループの議論に基づき、個別化された政策の実現のために必須となる、医療データベースへの①
医師情報の紐付け、②健康の社会的要因の紐付けの2点の提言を行う。
また、そのように紐付けを行なったデータベースは、結果的に個人を識別可能な情報の精度になるため、対象者の同意が必要となる懸念が示され
るかもしれない。しかし、本学会としては個人を識別するためでなく、政策的に役立つような精緻な分析(例えば、ある政策がこの性質を持つ集
団には効果があるが、別の集団ではそうではない、など)をするためにこれらのデータが必要であることを強調したい。そのため、公衆衛生学上
重要で医療政策に資するような研究目的では、医療の周辺情報との紐付けの際に、対象者の同意を必須としないように明確化していただくことを
要望する。また、それに伴い、利用申請の手続きや審査面安全管理体制等のあり方についても同時に検討を進めることを要望する。
© 2024 Japan Health Policy Research Association