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治療抵抗性うつ病に対し反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)による維持療法を先進医療で実施 (1 ページ)

公開元URL https://www.ncnp.go.jp/topics/2022/20220513p.html
出典情報 治療抵抗性うつ病に対し反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)による維持療法を先進医療で実施-国内外初、最大規模(300例)の医師主導の臨床研究の開始-(5/13)《国立精神・神経医療研究センター》
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2022 年 5 月 13 日
国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター (NCNP)

治療抵抗性うつ病に対し反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)による維持療法を先進医療で実施~国内外初、最大規模(300 例)の医師主導の臨床研究の開始~

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院は、治療抵抗性うつ病への反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)による維持療法に関する多施設共同研究を医師主導臨床研究(先進医療 B)で実施します。
うつ病は再燃・再発しやすい疾患であり、急性期治療に引き続く治療戦略が大切です(Nierenberget al., 2003)。特に薬物療法が効かない治療抵抗性うつ病では、再燃・再発を防ぐための連続・維持療法(以下、維持療法)の確立が喫緊の課題といえます(鬼頭, 2020)。
反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、非侵襲的に脳皮質を刺激し興奮性を変化させる技術であり、複数の臨床試験やメタ解析から治療抵抗性うつ病への有効性が実証されています(Mutz et al.,2019; Li et al., 2021)。わが国でも、薬物療法が奏効しないうつ病への治療選択肢として、rTMS 療法が導入され、最大 6 週間まで保険診療として実施することができます。一方、急性期 6 週間のrTMS 療法後の維持療法については、十分検証されていないのが実情です。
急性期 rTMS 療法の長期効果を調べたメタ解析(18 試験、732 名のうつ病患者を対象)では(Senova et al., 2019)、rTMS 療法の長期効果に寄与する因子として、維持 rTMS 療法を受けていることが示され、急性期 rTMS 療法後の再燃・再発を防ぐための治療選択肢として、維持 rTMS 療法が有用であることを示唆しています。
今回の研究代表である鬼頭のグループは、予備的研究として、治療抵抗性うつ病患者に週 5 日 6週間の急性期 rTMS 療法を行い、寛解に至った患者に対して、12 か月間の維持 rTMS 療法を実施しました。結果、rTMS による維持療法を導入することで、12 か月後も寛解を呈しており、維持rTMS 療法が有用である可能性を報告しました(Matsuda et al., 2021)。
この度の多施設共同研究では、抗うつ薬による薬物療法に反応しない中等症以上の成人うつ病を対象とし、急性期 rTMS 療法に反応あるいは寛解した患者に対して、rTMS による維持療法を行い、うつ病の再燃・再発やうつ症状の増悪を抑制するかどうかを明らかにします。なお、急性期 rTMS療法(3~6 週間)は保険診療として行い、本研究で有効性検証を行う維持 rTMS 療法(12 か月間)は先進医療 B として実施いたします。

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