よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


「外でちょっと立ち話をする相手」が近所にいる人の特徴 澤岡 詩野 (1 ページ)

公開元URL https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r03/zentai/pdf_index.html
出典情報 令和3年度 高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査結果(6/14)《内閣府》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

「外でちょっと立ち話をする相手」が近所にいる人の特徴
公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団
澤岡 詩野

1 .「 外 で ち ょ っ と 立 ち 話 」 が 大 事 な ワ ケ
外出行動に制約が加わったコロナ禍は、公共交通機関を使わなければ会えないような相
手と没交渉になる高齢者も少なくない。そもそも、身体的な自立度が低下傾向にある高齢
期は、加齢に伴い外出行動半径が狭まり、交流も減少していくことが知られている。
コロナ禍はもとより、加齢により孤立化しないために重要になってくるのが徒歩圏や自
転車圏、
「 近 隣 」や「 近 所 」と い っ た 場 で 交 流 す る 相 手 の 存 在 と い え る 。し か し 既 存 研 究 で
は、これらの相手とは「あいさつ程度でよい」と答える高齢者が多くを占めることが明ら
かにされている。なかでも配偶者や職場など一部の人としか関係を保持していない高齢男
性は、近隣や近所に多様で多くの交友関係を持つ高齢女性よりも、あいさつ程度のほどよ
い距離感を近所との付き合いに求めることが考えられる。
高 齢 男 性 、特 に 都 市 部 の 企 業 退 職 者 に と っ て 、地 域 社 会 の な か で「 あ い さ つ +α 」の ゆ る
やかなつながりを増やしていくことは、孤立化抑止を考えるうえで大きなポイントとなっ
ているといえる。本稿では、手助けなど手段的サポートや相談などの情緒的なサポートと
いった親密さを前提にした付き合い方ではなく、あいさつの次に生まれるであろう「外で
ち ょ っ と 立 ち 話 を す る く ら い の 交 流 」に 着 目 す る 。具 体 的 に は 、男 女 別 に 、
「 ふ だ ん 、近 所
の人とは、どのような付き合いをしているか?(問2

複 数 回 答 )」 の 設 問 に 対 し 「 外 で

ちょっと立ち話をする」と回答した人の特徴を明らかにする。
2.高齢者の近所との付き合い方の「リアル」
最初に、近所との付き合い方について複数回答で尋ねた8項目について、男女別に傾向
を 概 観 し て い く ( 表 1 )。「 会 え ば 挨 拶 を す る 」 を 選 択 し た 人 は 80%以 上 を 占 め 、 こ の 割 合
に 男 女 で 有 意 な 差 は 認 め ら れ な か っ た 。こ の 結 果 は 、
「 会 え ば 挨 拶 を す る 」程 度 の 関 係 性 す
ら も 近 所 に も た な い 、地 域 社 会 か ら 完 全 に 埋 没 し て い る 高 齢 者 が 、男 女 に 関 係 な く 15% 以
上 も 存 在 し て い る と も 言 い 換 え ら れ る 。次 い で 多 か っ た の が「 外 で ち ょ っ と 立 ち 話 を す る 」
で 、 男 性 ( 47.9%) よ り も 女 性 ( 62.6%) で 多 か っ た 。
コンパニオンシップと呼ばれる「お茶や食事を一緒にする」と「趣味をともにする」に
ついては、共に行う行動によって異なる傾向が認められた。お喋りが目的となることの多
い「お茶や食事を一緒にする」については男性よりも女性で多く選択されていたが、興味
関心を共有する「趣味をともにする」は男女で差が認められなかった。
次に近所とのサポートの授受についてみていく。負担の大きさから家族や専門サービス
が選択されることの多い「病気の時に助け合う」や「家事やちょっとした用事をしたり、
し て も ら っ た り す る 」と い っ た 付 き 合 い 方 を 近 所 と し て い る 人 は 男 女 と も に 僅 か で あ っ た 。
し か し 、距 離 的 近 接 性 に 裏 打 ち さ れ た 気 安 さ か ら か 、
「 物 を あ げ た り も ら っ た り す る 」に つ
いては「外でちょっと立ち話をする」と同程度にやり取りが行われていた。男性よりも女
性でやり取りしている人が多く、これらは既存研究や調査と同様の結果といえる。

156