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脳科学の研究開発動向 (8 ページ)

公開元URL https://www.lifescience.mext.go.jp/2022/01/1040119.html
出典情報 ライフサイエンス委員会 脳科学作業部会(第1回 1/19)《文部科学省》
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大規模プロジェクト

JST・CRDS 「研究開発の俯瞰報告書」(2021) より抜粋

• BRAIN Initiative (米国, 2013-2026):昆虫-哺乳類の脳, 技術開発〜脳研究フェーズ, 50億ドル/14年
• 脳を理解するための革新的な技術開発とシナプスから全脳レベルに至るネットワークの包括的な解明を目的とする。政府側の資金提供はNIH,
NSF, DARPA等により実施され、各機関が独自の目的を保持しつつ、全体目標にプログラムを集束させる体制。2019年度にはNIH単独での予算額
も約4.2億ドルとなり、脳科学研究に関する加速的な投資拡大がなされつつある。さらに米国内の民間の研究機関(アレン脳科学研究所、ハワー
ド・ヒューズ医学研究所・ジャネリアファーム、カブリ財団、ソーク研究所など)からの投資や研究支援があり、産官学の連携による運営が行わ
れている。
• Human Brain Project(HBP, EU, 2013-2022) :ヒト脳の理解, 16億ドル/10年
• EU FET(Future and Emerging Technologies)フラッグシップ・プログラムとして開始。24か国の112機関が参加。生物学的な研究と情報通
信技術の融合を実現して、ヒトの脳の神経回路のシミュレーションを実現することを最終ゴールとして掲げている。HBPの設立当初はその前身が
スーバーコンピューターによるげっ歯類大脳皮質の局所神経回路の動作をシミュレーションするBlue Brain Projectであったため、情報科学、計
算機科学の比重を強めた研究計画となっていたが、その後に大幅な研究プログラムの見直しが実施され、現在のHBPの研究プログラムはより神経
科学的なアプローチを重視して、欧州連合の中の多様な脳科学リソースを活用してヒトの脳の理解を目指すという方向性になった。
• Brain/MINDS (革新脳, 日本, 2014-2023):マーモセット 400億円/10年
• 「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」は、コモンマーモセットに特化し、神経回路形成と情報処理機構の理解を通じ
て脳機能の全容を明らかにし、精神・神経疾患の克服につながるヒトの高次脳機能の解明のための基盤を構築することを目的。
• 米国Human Connectome Project (HCP, 2012-)
• ヒトの神経回路の結合(マクロコネクトーム)を解明する大規模研究。MRI等先端的な脳計測機器開発や横断的コホート研究が実施。第1期
(2012〜2015年)は標準化を目的としたMRI 撮像プロトコールの開発が実施され、第2期は世代別のヒト脳画像研究や複数の脳疾患を対象とし
た研究が開始された。一定条件の元に撮像された数百人規模のヒト脳画像を用いて大脳皮質の領域を精密に定義することが可能であることが示さ
れ(2016, Nature)、大きなインパクトを与えた。
• 英国の脳研究プロジェクト
• UKバイオバンク(2006年-)は長期大規模バイオバンク研究。研究対象は脳疾患以外にもがん、生活習慣病を含む多様な疾患に関するバイオリ
ソースと縦断的なデータ収集を目的とした運用。40-69歳の50万人のボランティアが2006-2010年の間に登録され、その後追跡調査が実施され
ている。2019年には5万人分のexome sequenceのデータが利用可能となった。英国では認知症に関して国家戦略の策定が早期から進み、戦略的
な研究投資が継続的に行われていおり、UK biobankのリソースも英国の認知症研究に組み込まれており、50万人の登録者の中から60歳以上のグ
ループ約20万人を抽出し、追跡調査中に認知症発症したケースの同定や認知症発症に関するリスク要因の解析などが実施されている。脳画像デー
タの集積も進行しており、データベースを活用した認知症の脳画像バイオマーカーの探索も行われている。
• Dementias Platform UK (DPUK)はMedical Research Council (MRC)による資金提供を受ける2015年に設立された組織であり、認知症研究の統
合的な推進と産学連携を目指し、UK biobankとも連携。国内の認知症関連脳画像の集積と共有画像データベースも開始しており、データの標準
化を推進。
• UK Brain Banks NetworkはMRCにより運営される死後脳リソースのためのネットワーク。10か所の死後脳バンクからなるネットワーク型の組織
として運営。健常者を多く含む登録者制度を活用することで脳リソースの集積が効率良く実施され、国外からの要望に対しても組織サンプルの提
供を実施。
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