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資料3 かかりつけ医機能について (16 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26864.html |
出典情報 | 第8次医療計画等に関する検討会(第10回 7/20)《厚生労働省》 |
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社会保障制度改革国民会議報告書(平成25年8月6日)(抜粋)
第2部 社会保障4分野の改革
Ⅱ 医療・介護分野の改革
1 改革が求められる背景と社会保障制度改革国民会議の使命
(3) 改革の方向性
① 基本的な考え方
また、医療改革は、提供側と利用者側が一体となって実現されるものである。患者のニーズに見合った医療を提供するためには、医療機関に
対する資源配分に濃淡をつけざるを得ず、しかし、そこで構築される新しい提供体制は、利用者である患者が大病院、重装備病院への選好を今
の形で続けたままでは機能しない。さらにこれまで、ともすれば「いつでも、好きなところで」と極めて広く解釈されることもあったフリーアクセスを、
今や疲弊おびただしい医療現場を守るためにも「必要な時に必要な医療にアクセスできる」という意味に理解していく必要がある。そして、この意
味でのフリーアクセスを守るためには、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の普及は必須であり、そのためには、まず医療を
利用するすべての国民の協力と、「望ましい医療」に対する国民の意識の変化が必要となる。
② 機能分化とネットワークの構築
その上で求められる医療と介護の一体的な改革は、次のようにまとめられよう。すなわち、日本は諸外国に比べても人口当たり病床数が多い
一方で病床当たり職員数が少ないことが、密度の低い医療ひいては世界的に見ても長い入院期間をもたらしている。他面、急性期治療を経過し
た患者を受け入れる入院機能や住み慣れた地域や自宅で生活し続けたいというニーズに応える在宅医療や在宅介護は十分には提供されてい
ない。
そこで、急性期から亜急性期、回復期等まで、患者が状態に見合った病床でその状態にふさわしい医療を受けることができるよう、急性期医
療を中心に人的・物的資源を集中投入し、入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現するとともに、受け皿となる地域の病床や在宅
医療・在宅介護を充実させていく必要がある。この時、機能分化した病床機能にふさわしい設備人員体制を確保することが大切であり、病院の
みならず地域の診療所をもネットワークに組み込み、医療資源として有効に活用していくことが必要となる。
(中略)
「病院完結型」の医療から「地域完結型」の医療への転換が成功すると、これまで1 つの病院に居続けることのできた患者は、病状に見合った
医療施設、介護施設、さらには在宅へと移動を求められることになる。居場所の移動を伴いながら利用者のQOLを維持し家族の不安を緩和して
いくためには、提供側が移動先への紹介を準備するシステムの確立が求められる。ゆえに、高度急性期から在宅介護までの一連の流れ、容態
急変時に逆流することさえある流れにおいて、川上に位置する病床の機能分化という政策の展開は、退院患者の受入れ体制の整備という川下
の政策と同時に行われるべきものであり、川上から川下までの提供者間のネットワーク化は新しい医療・介護制度の下では必要不可欠となる。
そして、こうしたネットワークの中で、患者の移動が円滑に行われるよう、医療機関側だけでなく、患者側にもインセンティブが働くシステムとなる
ことが望ましい。
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第2部 社会保障4分野の改革
Ⅱ 医療・介護分野の改革
1 改革が求められる背景と社会保障制度改革国民会議の使命
(3) 改革の方向性
① 基本的な考え方
また、医療改革は、提供側と利用者側が一体となって実現されるものである。患者のニーズに見合った医療を提供するためには、医療機関に
対する資源配分に濃淡をつけざるを得ず、しかし、そこで構築される新しい提供体制は、利用者である患者が大病院、重装備病院への選好を今
の形で続けたままでは機能しない。さらにこれまで、ともすれば「いつでも、好きなところで」と極めて広く解釈されることもあったフリーアクセスを、
今や疲弊おびただしい医療現場を守るためにも「必要な時に必要な医療にアクセスできる」という意味に理解していく必要がある。そして、この意
味でのフリーアクセスを守るためには、緩やかなゲートキーパー機能を備えた「かかりつけ医」の普及は必須であり、そのためには、まず医療を
利用するすべての国民の協力と、「望ましい医療」に対する国民の意識の変化が必要となる。
② 機能分化とネットワークの構築
その上で求められる医療と介護の一体的な改革は、次のようにまとめられよう。すなわち、日本は諸外国に比べても人口当たり病床数が多い
一方で病床当たり職員数が少ないことが、密度の低い医療ひいては世界的に見ても長い入院期間をもたらしている。他面、急性期治療を経過し
た患者を受け入れる入院機能や住み慣れた地域や自宅で生活し続けたいというニーズに応える在宅医療や在宅介護は十分には提供されてい
ない。
そこで、急性期から亜急性期、回復期等まで、患者が状態に見合った病床でその状態にふさわしい医療を受けることができるよう、急性期医
療を中心に人的・物的資源を集中投入し、入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現するとともに、受け皿となる地域の病床や在宅
医療・在宅介護を充実させていく必要がある。この時、機能分化した病床機能にふさわしい設備人員体制を確保することが大切であり、病院の
みならず地域の診療所をもネットワークに組み込み、医療資源として有効に活用していくことが必要となる。
(中略)
「病院完結型」の医療から「地域完結型」の医療への転換が成功すると、これまで1 つの病院に居続けることのできた患者は、病状に見合った
医療施設、介護施設、さらには在宅へと移動を求められることになる。居場所の移動を伴いながら利用者のQOLを維持し家族の不安を緩和して
いくためには、提供側が移動先への紹介を準備するシステムの確立が求められる。ゆえに、高度急性期から在宅介護までの一連の流れ、容態
急変時に逆流することさえある流れにおいて、川上に位置する病床の機能分化という政策の展開は、退院患者の受入れ体制の整備という川下
の政策と同時に行われるべきものであり、川上から川下までの提供者間のネットワーク化は新しい医療・介護制度の下では必要不可欠となる。
そして、こうしたネットワークの中で、患者の移動が円滑に行われるよう、医療機関側だけでなく、患者側にもインセンティブが働くシステムとなる
ことが望ましい。
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