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資料2-1 ワーキンググループによる評価報告書【No.2021-3】 (2 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27272.html |
出典情報 | 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会(第33回 8/5)《厚生労働省》 |
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【医療上の有用性に関するコメント】
脳卒中の原因となる塞栓源としては、大動脈壁や弓部大動脈部の石灰化病変やアテロ
ーム動脈硬化病変由来の組織片あるいは物質、狭窄した弁に由来する弁尖や石灰化病変
に由来する組織片あるいは物質、心筋組織、術中に発生する血栓塊などが考えられる。
実際に、経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter Aortic Valve Replacement。以下
「TAVR」という。)を施術した患者の 99%において塞栓の原因となると考えられる物質
が観察されている1,2。TAVR 手技後の脳卒中はおおよそ術後 72 時間以内に発生している
と報告されており3,4、TAVR 手技に由来する。
一度脳梗塞を発症すると、血栓塊等においては血栓溶解療法等による処置が試みられ
るが、血栓溶解効果は必ずしも十分ではなく、さらに組織由来物質では溶解療法による
回復は見込めず、不可逆的な病態に進行する。すなわち、TAVR 治療時に発生する脳卒中
の抑制に対しては、塞栓物質を捕捉し脳血管内への侵入を阻止するより方法がない。
重度の症候性自己大動脈弁狭窄症患者を対象に、本品による TAVR 手技中の塞栓物質
捕捉の安全性と有効性を確認することを目的として、TAVR 標準治療群(本品の使用なし)
との比較を行った海外臨床試験の結果が示された。主要安全性評価項目である「手技後
30 日時点での MACCE 発現率」は本品群で 7.3%であり、片側 95%信頼区間の上限値 10.7%
が PG の 18.3%を下回り、本品の安全性が示された。なお、全ての脳卒中の発生率につい
ては、コントロール群 9.1%に対し、本品群 5.6%であった。主要有効性評価項目は「術後
2~7 日時点で DW-MRI により評価した保護領域における新規総病変容積」と設定され、
結果中央値の比は 42.2%であり PG の 30%を上回り、有効性が示されたが、コントロール
群との統計学的な有意差は示されなかった。
また、その他の文献からも、本品を使用しない場合と比較して、梗塞病変数の減少等
が説明された5,6,7,8。
以上のことから、多数の臨床試験のメタ解析から示された脳卒中ハイリスク患者にお
いては特に有用性が期待され、海外臨床試験ではコントロール群との統計学的な有意差
が認められなかった項目もあり懸念もあるが、TAVR 手技中に生じた血栓/デブリを捕捉
及び除去する塞栓予防法がないことから、医療上の有用性は「ア」と判断する。
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Erdoes, G. et al. EJCTS 2012; 41:778-784
Kahlert, P. et al. Circulation 2012;126:1245-1255
Tchétché et al. J Am Coll Cardiol Intv 2014
Nombela-Franco et al., Circulation 2012
Stephan Haussig et al, JAMA 2016 Aug 9;316(6):592-601
Nicolas M Van Mieghem et al, EuroIntervention, 2016 Jul 20;12(4):499-507
Samir R Kapadia et al, J Am Coll Cardiol., 2017 Jan 31;69(4):367-377
Paul M Ndunda et al, Cardiovasc Revasc Med., 2020 Jun;21(6):717-722
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脳卒中の原因となる塞栓源としては、大動脈壁や弓部大動脈部の石灰化病変やアテロ
ーム動脈硬化病変由来の組織片あるいは物質、狭窄した弁に由来する弁尖や石灰化病変
に由来する組織片あるいは物質、心筋組織、術中に発生する血栓塊などが考えられる。
実際に、経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter Aortic Valve Replacement。以下
「TAVR」という。)を施術した患者の 99%において塞栓の原因となると考えられる物質
が観察されている1,2。TAVR 手技後の脳卒中はおおよそ術後 72 時間以内に発生している
と報告されており3,4、TAVR 手技に由来する。
一度脳梗塞を発症すると、血栓塊等においては血栓溶解療法等による処置が試みられ
るが、血栓溶解効果は必ずしも十分ではなく、さらに組織由来物質では溶解療法による
回復は見込めず、不可逆的な病態に進行する。すなわち、TAVR 治療時に発生する脳卒中
の抑制に対しては、塞栓物質を捕捉し脳血管内への侵入を阻止するより方法がない。
重度の症候性自己大動脈弁狭窄症患者を対象に、本品による TAVR 手技中の塞栓物質
捕捉の安全性と有効性を確認することを目的として、TAVR 標準治療群(本品の使用なし)
との比較を行った海外臨床試験の結果が示された。主要安全性評価項目である「手技後
30 日時点での MACCE 発現率」は本品群で 7.3%であり、片側 95%信頼区間の上限値 10.7%
が PG の 18.3%を下回り、本品の安全性が示された。なお、全ての脳卒中の発生率につい
ては、コントロール群 9.1%に対し、本品群 5.6%であった。主要有効性評価項目は「術後
2~7 日時点で DW-MRI により評価した保護領域における新規総病変容積」と設定され、
結果中央値の比は 42.2%であり PG の 30%を上回り、有効性が示されたが、コントロール
群との統計学的な有意差は示されなかった。
また、その他の文献からも、本品を使用しない場合と比較して、梗塞病変数の減少等
が説明された5,6,7,8。
以上のことから、多数の臨床試験のメタ解析から示された脳卒中ハイリスク患者にお
いては特に有用性が期待され、海外臨床試験ではコントロール群との統計学的な有意差
が認められなかった項目もあり懸念もあるが、TAVR 手技中に生じた血栓/デブリを捕捉
及び除去する塞栓予防法がないことから、医療上の有用性は「ア」と判断する。
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Erdoes, G. et al. EJCTS 2012; 41:778-784
Kahlert, P. et al. Circulation 2012;126:1245-1255
Tchétché et al. J Am Coll Cardiol Intv 2014
Nombela-Franco et al., Circulation 2012
Stephan Haussig et al, JAMA 2016 Aug 9;316(6):592-601
Nicolas M Van Mieghem et al, EuroIntervention, 2016 Jul 20;12(4):499-507
Samir R Kapadia et al, J Am Coll Cardiol., 2017 Jan 31;69(4):367-377
Paul M Ndunda et al, Cardiovasc Revasc Med., 2020 Jun;21(6):717-722
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