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参考資料1-9 浜口班の議論における参考資料(令和3年12月21日開催)(令和3年度第6回安全技術調査会参考資料1-4) (29 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27504.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会血液事業部会安全技術調査会(令和4年度第2回 8/23)《厚生労働省》 |
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1)免疫グロブリン静注療法(1g/kg/日, 2 日間)
静注用ヒト免疫グロブリン製剤(IVIg 製剤)を高用量投与(体重 1kg あたり 1g を2日間)
することが推奨される。IVIg 製剤は、抗血小板第 4 因子抗体が FcγRIIA を介して血小板や単球/マク
ロファージを活性化するのを抑制し、TTS の病態を改善できる可能性が示唆されている。このため、投
与する IVIg 製剤は Fc 部分が保持された完全分子型である必要がある(10%製剤であれば、本邦では
すべて完全分子型である;献血ヴェノグロブリン IH 10%静注、献血ポリグロビン N 10%静注、ピリ
ヴィジェン 10%点滴静注)。TTS に類似する aHIT では高用量 IVIg の有効性が示唆されていて[2628]、TTS においても高用量 IVIg による経過の好転が報告されている[1-3]。
2)ヘパリン類
TTS においてヘパリン類が病態を悪化させるという直接的なエビデンスは報告されていない
が、HIT に準じ、現時点では未分画ヘパリンおよび低分子ヘパリンの使用は避けるのが妥当であろう。
3)ヘパリン以外の抗凝固薬
専門家に迅速に相談のうえ、出血と血栓症のリスクバランスを考慮し、以下の抗凝固薬の投
与を検討する。薬剤の選択にあたっては、患者の状態(腎機能、肝機能、意識レベル、出血リスクな
ど)、薬剤の特徴(用量調整のしやすさ、投与経路、モニタリング方法、半減期、費用など)、使用
経験などをもとに判断する。重篤な出血症状を認める場合、上記 IVIg 製剤を先行させるのが妥当と考
えられる[7,10]が、血小板数が回復基調を示して出血リスクが回避され次第、血栓症の治療のために以
下のいずれかの抗凝固薬の投与を開始する。
a. アルガトロバン:HIT に対して適応のある抗トロンビン薬である。血小板数が 5 万/μL 以上でベー
スラインの APTT が正常であれば、正常対照値の 1.5-2.5 倍程度(血小板数が低いときは 1.5 倍程
度)を目安に投与量を増減するのが、エビデンスに乏しいものの妥当と考えられる[10]。ただし、
TTS では血小板数やフィブリノゲン値に応じて HIT よりも出血性副作用のリスクに注意する必要が
あり、十分な説明と注意深い用量調整が必要である。また、APTT 試薬には多様性があり、アルガト
ロバンに対する感受性も異なるため、高感度の試薬を用いている施設では治療域が 1.5-2.5 倍より
も高く、感度の低い試薬を用いている施設では治療域が 1.5-2.5 倍よりも低くなることに注意が必
要である。
b. 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC):本邦において非弁膜症性心房細動および静脈血栓塞栓症以外の
適応はないが、比較的軽症で経口摂取可能な TTS 症例に対しては、有望な治療薬候補となり得る。
用量をどのように調節するかは不確定である。また、WHO の暫定ガイドラインでは、抗凝固薬の第
一選択として、経口活性化凝固第 X 因子阻害薬(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバ
ン)が提案されている[11]。
c. フォンダパリヌクス:本邦において急性肺血栓塞栓症、急性深部静脈血栓症、術後静脈血栓塞栓症
予防に対して適応のある Xa 阻害剤である。海外では HIT に対しての使用実績があり、アルガトロバ
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静注用ヒト免疫グロブリン製剤(IVIg 製剤)を高用量投与(体重 1kg あたり 1g を2日間)
することが推奨される。IVIg 製剤は、抗血小板第 4 因子抗体が FcγRIIA を介して血小板や単球/マク
ロファージを活性化するのを抑制し、TTS の病態を改善できる可能性が示唆されている。このため、投
与する IVIg 製剤は Fc 部分が保持された完全分子型である必要がある(10%製剤であれば、本邦では
すべて完全分子型である;献血ヴェノグロブリン IH 10%静注、献血ポリグロビン N 10%静注、ピリ
ヴィジェン 10%点滴静注)。TTS に類似する aHIT では高用量 IVIg の有効性が示唆されていて[2628]、TTS においても高用量 IVIg による経過の好転が報告されている[1-3]。
2)ヘパリン類
TTS においてヘパリン類が病態を悪化させるという直接的なエビデンスは報告されていない
が、HIT に準じ、現時点では未分画ヘパリンおよび低分子ヘパリンの使用は避けるのが妥当であろう。
3)ヘパリン以外の抗凝固薬
専門家に迅速に相談のうえ、出血と血栓症のリスクバランスを考慮し、以下の抗凝固薬の投
与を検討する。薬剤の選択にあたっては、患者の状態(腎機能、肝機能、意識レベル、出血リスクな
ど)、薬剤の特徴(用量調整のしやすさ、投与経路、モニタリング方法、半減期、費用など)、使用
経験などをもとに判断する。重篤な出血症状を認める場合、上記 IVIg 製剤を先行させるのが妥当と考
えられる[7,10]が、血小板数が回復基調を示して出血リスクが回避され次第、血栓症の治療のために以
下のいずれかの抗凝固薬の投与を開始する。
a. アルガトロバン:HIT に対して適応のある抗トロンビン薬である。血小板数が 5 万/μL 以上でベー
スラインの APTT が正常であれば、正常対照値の 1.5-2.5 倍程度(血小板数が低いときは 1.5 倍程
度)を目安に投与量を増減するのが、エビデンスに乏しいものの妥当と考えられる[10]。ただし、
TTS では血小板数やフィブリノゲン値に応じて HIT よりも出血性副作用のリスクに注意する必要が
あり、十分な説明と注意深い用量調整が必要である。また、APTT 試薬には多様性があり、アルガト
ロバンに対する感受性も異なるため、高感度の試薬を用いている施設では治療域が 1.5-2.5 倍より
も高く、感度の低い試薬を用いている施設では治療域が 1.5-2.5 倍よりも低くなることに注意が必
要である。
b. 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC):本邦において非弁膜症性心房細動および静脈血栓塞栓症以外の
適応はないが、比較的軽症で経口摂取可能な TTS 症例に対しては、有望な治療薬候補となり得る。
用量をどのように調節するかは不確定である。また、WHO の暫定ガイドラインでは、抗凝固薬の第
一選択として、経口活性化凝固第 X 因子阻害薬(リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバ
ン)が提案されている[11]。
c. フォンダパリヌクス:本邦において急性肺血栓塞栓症、急性深部静脈血栓症、術後静脈血栓塞栓症
予防に対して適応のある Xa 阻害剤である。海外では HIT に対しての使用実績があり、アルガトロバ
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