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〇仮性狂犬病ウイルス（PRV）の変異株が引き起こす新型ヒト急
性脳炎
PRVは、ブタをはじめとする複数の動物種でよく見受けられる病
原体である。ヒトに感染することは稀であり、これまでヒトの検体
から分離されたことはない。本研究では、ヒト急性脳炎患者4例
が臨床症状、臨床検査結果、メタゲノム解析によりPRVと確定診
断され、このうち1例のヒトの脳脊髄液検体からPRV株（hSDヘルペス Clin Infect Dis. 1/2019）の分離・同定に初めて成功した。また、この分離株の病
ウイルス感 73(2021)e3690- 因学的、遺伝子学的特徴を分析した。患者らは、呼吸不全及び
染
e3700
急性神経症状を呈した。メタゲノム解析により各患者の脳脊髄液
にPRV特異的な塩基配列が確認され、また、PRVエンベロープの
グリコプロテインBとEに対する抗体及び中和抗体が検出された。
分離されたPRV株は、中国の古典株と異なり病原性が高く、ブタ
に急性神経症状を誘発する特徴がある。このPRV株は、中国の
ブタに流行している変異株と系統学的及び病因学的に類似する
特徴を有していたことから、ブタからヒトへのPRV感染のリスクが
大きいことを示唆している。

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Hantavirus Pulmonary Syndrome（HPS）は、自然界で保有宿主と
なっている感染齧歯類の排泄物によって発生するエアロゾル化
したウイルス粒子の吸入を介してヒトに伝播する新興の人畜共
通疾患である。Orthohantavirus属（Hantaviridae科、
Mammantavirinae亜科）には、齧歯類媒介HPS病原体およびまだ
ヒトの疾患と関連していない他のウイルスが含まれる。アルゼン
チンでHPSが初めて報告されて以来、全国で新たなハンタウイル
スが報告されており、そのほとんどがヒトに対して病原性を示す。
本文献では、アルゼンチンで報告されたAlto Paraguayウイルス
（APV）に感染した初めてのHPS症例が報告された。これまで、
APVは齧歯類、Holochilus chacariusで同定されたため、非病原
性オルソハンタウイルスと考えられていた。また、既知のHPS流
行地域の周辺における齧歯類集団の分析から、天然齧歯類
Scapteromys aquaticusにおける新規オルソハンタウイルス
（Leyes orthohantavirus）の同定に至った。これらの知見は、アル
ゼンチン中部における既知のHPS流行地域の拡大、および同国
におけるオルソハンタウイルスの多様性の増大を示唆している。
この研究の主な限界は、HPS患者からの血液サンプルと齧歯類
PLoS Negl Trop
ウイルス感
からの新鮮サンプルを得ることができないことであった。患者か
Dis. 15(11)(2021)
染
ら得られた限られた量の血清およびRNA回収のために適切に保
e0009842
存されなかった齧歯類の組織試料は、部分的なウイルス遺伝子
配列を得ることのみを可能にした。しかし、われわれの所見は、
アルゼンチン中部で循環しているこれら2種類のオルソハンタウ
イルスのウイルスの同一性を確認するために決定的かつ頑健で
ある。したがって、予防戦略を強化するためには、ハンタウイルス
サーベイランスは、新たな病原性ウイルスの同定およびげっ歯類
宿主のモニタリングに焦点を当てた公衆衛生上の優先事項とし
なければならない。最後に、APVの検出がCOVID-19パンデミック
によるサーベイランスと社会的認識の増加によるものか、あるい
はこれが近隣諸国からの病原体の比較的最近の導入を構成す
るものかを決定することが重要である。Leyesウイルスに関して
は、それがヒトの疾患に関与しているかどうかを明らかにすること
が重要であろう。APVから既に発表されている部分配列に基づく
系統解析および本研究で解析したものによると、APVおよび
Leyesウイルスはいずれも新たなオルソハンタウイルス種と考え
ることができた。現在、現在利用可能な診断ツールの更新に使
用可能なこれら2種類の新規オルソハンタウイルスの完全なゲノ
ム配列を得るために、さらなる努力が行われている。

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感染症

出典

概要

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