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【資料No.3】エンシトレルビル フマル酸に関する日本感染症学会ガイドライン案 (1 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29325.html |
出典情報 | 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会(令和4年度第5回 11/22)、医薬品第二部会(令和4年度第13回 11/22)(合同開催)《厚生労働省》 |
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資料No.3
エンシトレルビル フマル酸に関する日本感染症学会ガイドライン案
「COVID-19 に対する薬物治療の考え方」
(日本感染症学会)に以下の記載をする方針で検討されている。
3. 抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング
COVID-19では、発症後数日はウイルス増殖が、そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反
応が主病態であると考えられている。したがって、発症早期には抗ウイルス薬又は中和抗体薬、そして
徐々に悪化のみられる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が重要となる。ここ
での重症度は、軽症は肺炎がなく、酸素投与が必要のない状態、中等症は肺炎があるか、酸素飽和度
94%(室内気)未満又は酸素投与が必要な状態、重症は集中治療室への入室、人工呼吸管理やECMO(体
外式膜型人工肺)を要する状態を指す。
薬物治療の考え方につき、以下を参考基準として提示する。
1. 軽症例の大半は自然治癒するため、各薬剤の適応に従い、重症化リスクが高い場合に薬物治療を
検討する。重症化リスクが高い患者を対象とした治療薬の特徴については、巻末の附表を参考の
こと。尚、軽症例での薬物治療の適応がある場合には、感染病態及び薬理作用の観点等からも、
感染または発症から早期の治療開始が望ましく、患者背景を十分に考慮して使用すること。
2. 主な重症化リスク因子(65歳以上の高齢者、悪性腫瘍、COPDなどの慢性呼吸器疾患、慢性腎臓
病、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患、脳血管疾患、肥満[BMI 30 kg/m2以上]、喫煙、固
形臓器移植後の免疫不全、妊娠後期、免疫抑制・調整薬の使用、コントロール不良のHIV感染症、
AIDS#、慢性肝疾患、鎌状赤血球貧血、サラセミアなど)のある患者においては特に重症化や死
亡のリスクが高いため、軽症であっても薬物治療を検討する。詳細については、各薬剤の記載を
参照のこと。
3. 一般に、重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過
を見ることができることから、エンシトレルビル等、重症化リスク因子のない軽症~中等症の患
者に投与可能な症状を軽減する効果のある抗ウイルス薬については、症状を考慮した上で投与を
判断すべきである。また、重症化リスク因子のある軽症~中等症の患者に投与する抗ウイルス薬
は、重症化予防に効果が確認されているレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リ
トナビルによる治療を検討すべきである。
4. 原則として、PCR、抗原検査などによりCOVID-19の確定診断がついていない患者は薬物治療の
適応とはならない(濃厚接触者に対する発症抑制の適応はカシリビマブ/イムデビマブでのみ、
条件に適合する症例に限り承認されている)。
5. 薬剤開発の臨床試験では新型コロナウイルスワクチンの被接種者が除外されていることも多く、
予防接種歴のみを以って治療薬の適応を判断することはできない。患者の病態、重症化リスク因
子、年齢や基礎疾患等に伴う免疫原性等を総合的に勘案して適応を決定する(表1参照)。
# ここでのAIDSは免疫抑制された病態(CD4リンパ球数が200/μL以下、HIV RNA量が100,000
copies/μL以上等)を指す。
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エンシトレルビル フマル酸に関する日本感染症学会ガイドライン案
「COVID-19 に対する薬物治療の考え方」
(日本感染症学会)に以下の記載をする方針で検討されている。
3. 抗ウイルス薬等の対象と開始のタイミング
COVID-19では、発症後数日はウイルス増殖が、そして発症後7日前後からは宿主免疫による炎症反
応が主病態であると考えられている。したがって、発症早期には抗ウイルス薬又は中和抗体薬、そして
徐々に悪化のみられる発症7日前後以降の中等症・重症の病態では抗炎症薬の投与が重要となる。ここ
での重症度は、軽症は肺炎がなく、酸素投与が必要のない状態、中等症は肺炎があるか、酸素飽和度
94%(室内気)未満又は酸素投与が必要な状態、重症は集中治療室への入室、人工呼吸管理やECMO(体
外式膜型人工肺)を要する状態を指す。
薬物治療の考え方につき、以下を参考基準として提示する。
1. 軽症例の大半は自然治癒するため、各薬剤の適応に従い、重症化リスクが高い場合に薬物治療を
検討する。重症化リスクが高い患者を対象とした治療薬の特徴については、巻末の附表を参考の
こと。尚、軽症例での薬物治療の適応がある場合には、感染病態及び薬理作用の観点等からも、
感染または発症から早期の治療開始が望ましく、患者背景を十分に考慮して使用すること。
2. 主な重症化リスク因子(65歳以上の高齢者、悪性腫瘍、COPDなどの慢性呼吸器疾患、慢性腎臓
病、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心血管疾患、脳血管疾患、肥満[BMI 30 kg/m2以上]、喫煙、固
形臓器移植後の免疫不全、妊娠後期、免疫抑制・調整薬の使用、コントロール不良のHIV感染症、
AIDS#、慢性肝疾患、鎌状赤血球貧血、サラセミアなど)のある患者においては特に重症化や死
亡のリスクが高いため、軽症であっても薬物治療を検討する。詳細については、各薬剤の記載を
参照のこと。
3. 一般に、重症化リスク因子のない軽症例の多くは自然に改善することを念頭に、対症療法で経過
を見ることができることから、エンシトレルビル等、重症化リスク因子のない軽症~中等症の患
者に投与可能な症状を軽減する効果のある抗ウイルス薬については、症状を考慮した上で投与を
判断すべきである。また、重症化リスク因子のある軽症~中等症の患者に投与する抗ウイルス薬
は、重症化予防に効果が確認されているレムデシビル、モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リ
トナビルによる治療を検討すべきである。
4. 原則として、PCR、抗原検査などによりCOVID-19の確定診断がついていない患者は薬物治療の
適応とはならない(濃厚接触者に対する発症抑制の適応はカシリビマブ/イムデビマブでのみ、
条件に適合する症例に限り承認されている)。
5. 薬剤開発の臨床試験では新型コロナウイルスワクチンの被接種者が除外されていることも多く、
予防接種歴のみを以って治療薬の適応を判断することはできない。患者の病態、重症化リスク因
子、年齢や基礎疾患等に伴う免疫原性等を総合的に勘案して適応を決定する(表1参照)。
# ここでのAIDSは免疫抑制された病態(CD4リンパ球数が200/μL以下、HIV RNA量が100,000
copies/μL以上等)を指す。
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