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資料9 権丈 構成員提出資料 (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai4/gijisidai.html |
出典情報 | こども未来戦略会議(第4回 5/22)《内閣官房》 |
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その財源に関しては、たとえば、公的な医療、介護、年金保険など高齢期の生活費を社会
化した制度のおかげで使われずにすんで残された資産を含む相続財産に対して、社会保障
目的相続税などを設けて、資料 1.2.①にある「公費財源の確保」を図ることも考えるこ
とができるのではないか。なお、当然のことながら、こうした措置は、社会保険制度の活
用による安定財源の確保が開始される集中取組期間3年の間に行う必要があろう。
ちなみに、日本医師会は、医療政策会議の報告書の中で、次のような提案を行っている。
死亡時の金融資産に本来消費していれば払っていたであろう消費税に準じた税率を
課す――これにより得た財源を、たとえば後期高齢者医療制度への公費分という消
費に還元することにより、亡くなった方の金融資産を国民経済に貢献してもらう制
度を考えていく。
日本医師会『平成 30・令和元年度医療政策会議報告書』
(2020)5 頁
・こども・子育て政策のひとつに奨学金の案件がある。この件に関しては、公的年金保険
の積立金を活用して、必要な人たちに奨学金を貸与する国民皆奨学金制度という案が、
2008 年の社会保障国民会議の頃から出されていた。
「公的年金というのは、向こう 100 年
ほどの財源構成をみると積立金の寄与は 1 割程度で、9 割は保険料と税です。保険料と税
の収入は人的資本に依存します。積立金を使って人的資本投資をすることに公的年金被保
険者の利益と矛盾はありません。未成年の学生は親が年金保険料を払っているという条件
で奨学金を受けることができるようにし、未納対策にもする。そして奨学金の返済は、社
会に出てから支払い能力に応じて行う。そうした国民皆奨学金の話を、2008 年の社会保
障国民会議の中間報告にまで書くことができたのですけど、最後に、年金の積立金は年金
にだけ使ったほうがいいという委員たちの発言におされて最終報告書には載せることがで
きませんでした」
(
『もっと気になる社会保障』(2022)276-277 頁)
。
繰り返しになるが、公的年金積立金の投資先を、主に未来を担う若い世代に向けた人への投
資とすることにより、長期的な観点から将来にわたって公的年金保険の運営の安定に資す
ることは、公的年金制度の積立金運用に携わる GPIF の投資原則・投資規範「年金事業の運
営の安定に資するよう、専ら被保険者の利益のため」
(国民年金保険法 75 条、厚生年金保険
法 79 条の 2 により規定)と整合的ですらある。
年金積立金を利用して、学生たちの必要に応じて奨学金として給付を行い、卒後、負担能力
に応じて返済(財源調達)をする制度とすれば、通常の奨学金が果たす時間的な所得の再分
配に加えて、垂直的な再分配を組み込んだ国民皆奨学金制度とすることができる。公的年金
の積立金を活用した奨学金制度の創設案は、前述の 2008 年の社会保障国民会議に続いて、
2013 年の社会保障制度改革国民会議でも再度提案されていた。しかしこれまで、年金積立
金は年金以外に使うべきではないという、公的年金保険制度に対する理解不足の論によっ
て、阻まれてきた。
以上
3
化した制度のおかげで使われずにすんで残された資産を含む相続財産に対して、社会保障
目的相続税などを設けて、資料 1.2.①にある「公費財源の確保」を図ることも考えるこ
とができるのではないか。なお、当然のことながら、こうした措置は、社会保険制度の活
用による安定財源の確保が開始される集中取組期間3年の間に行う必要があろう。
ちなみに、日本医師会は、医療政策会議の報告書の中で、次のような提案を行っている。
死亡時の金融資産に本来消費していれば払っていたであろう消費税に準じた税率を
課す――これにより得た財源を、たとえば後期高齢者医療制度への公費分という消
費に還元することにより、亡くなった方の金融資産を国民経済に貢献してもらう制
度を考えていく。
日本医師会『平成 30・令和元年度医療政策会議報告書』
(2020)5 頁
・こども・子育て政策のひとつに奨学金の案件がある。この件に関しては、公的年金保険
の積立金を活用して、必要な人たちに奨学金を貸与する国民皆奨学金制度という案が、
2008 年の社会保障国民会議の頃から出されていた。
「公的年金というのは、向こう 100 年
ほどの財源構成をみると積立金の寄与は 1 割程度で、9 割は保険料と税です。保険料と税
の収入は人的資本に依存します。積立金を使って人的資本投資をすることに公的年金被保
険者の利益と矛盾はありません。未成年の学生は親が年金保険料を払っているという条件
で奨学金を受けることができるようにし、未納対策にもする。そして奨学金の返済は、社
会に出てから支払い能力に応じて行う。そうした国民皆奨学金の話を、2008 年の社会保
障国民会議の中間報告にまで書くことができたのですけど、最後に、年金の積立金は年金
にだけ使ったほうがいいという委員たちの発言におされて最終報告書には載せることがで
きませんでした」
(
『もっと気になる社会保障』(2022)276-277 頁)
。
繰り返しになるが、公的年金積立金の投資先を、主に未来を担う若い世代に向けた人への投
資とすることにより、長期的な観点から将来にわたって公的年金保険の運営の安定に資す
ることは、公的年金制度の積立金運用に携わる GPIF の投資原則・投資規範「年金事業の運
営の安定に資するよう、専ら被保険者の利益のため」
(国民年金保険法 75 条、厚生年金保険
法 79 条の 2 により規定)と整合的ですらある。
年金積立金を利用して、学生たちの必要に応じて奨学金として給付を行い、卒後、負担能力
に応じて返済(財源調達)をする制度とすれば、通常の奨学金が果たす時間的な所得の再分
配に加えて、垂直的な再分配を組み込んだ国民皆奨学金制度とすることができる。公的年金
の積立金を活用した奨学金制度の創設案は、前述の 2008 年の社会保障国民会議に続いて、
2013 年の社会保障制度改革国民会議でも再度提案されていた。しかしこれまで、年金積立
金は年金以外に使うべきではないという、公的年金保険制度に対する理解不足の論によっ
て、阻まれてきた。
以上
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