よむ、つかう、まなぶ。

MC plus(エムシープラス)は、診療報酬・介護報酬改定関連のニュース、

資料、研修などをパッケージした総合メディアです。


資料3-3 西浦先生提出資料 (145 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00333.html
出典情報 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(第75回 3/9)《厚生労働省》
低解像度画像をダウンロード

資料テキストはコンピュータによる自動処理で生成されており、完全に資料と一致しない場合があります。
テキストをコピーしてご利用いただく際は資料と付け合わせてご確認ください。

は死亡届に記載されない情報(例.病態の推移に関する情報に基づいて医師が個別事例の推論を行う)に
基づく判断を伴い、その点で不確実である。超過死亡は診断バイアスや個別事例の推論に頼り切る必要
がないが、その結果は推定手法に依存するため妥当性の問題を常に包含する。他方、最新の推定技術を用
いると、各死因別死亡のうちで COVID-19 の影響を受けたと考えられる者を分解して判別することも可
能である。超過死亡は以下の全てを含むが、観察死亡は常に(a)~(e)の各部分のみを反映した数値である。
(a)

COVID-19 を直接の死因と診断され、実際に COVID-19 を原因とする死亡

(b)

COVID-19 を直接の死因と診断されたが、実際には COVID-19 を原因としない死亡

(c)

COVID-19 が直接の死因と診断されなかったが(他の病因を直接の死因と診断された)
、実際に

は COVID-19 を原因とする死亡
(d)

COVID-19 が直接の死因ではないが、流行による間接的な影響を受け、他の疾患を原因とした

死亡
(e)

COVID-19 が直接の死因でなく、また COVID-19 流行による間接的な影響を受けたものでもな

い死亡(2017-2019 年の超過死亡数)
【疫学的な評価の対象としての考え方と論点】
(時間的な観察・推定の問題)
短期間でのリアルタイム評価では観察された死亡報告数を用い、より長いタイムスパンで超過死亡の
評価を実施する。常に観察死亡は過小であることを念頭に置くことが望ましい。また、死因別の分析や長
時間を経た慢性疾患の自然史へのインパクトに代表されるように経時的な死亡分析を深化させることが
求められる。
(流行評価と死亡インパクトについて)
流行の被害規模としての死亡は、直接・間接に関わらず死亡者数の総数を持って測られる。また、流行
自体を抑制する政策としての非特異的対策(例.緊急事態宣言)や予防接種の間接的効果を含む総合効果
の評価においても、死亡者数の総数の減少を持って政策としての評価が行われる。
(予防接種・免疫・特異的治療と死亡の種類)
直接死亡は、感染を防ぐことで減少し、また、予防接種の死亡抑制効果のような特異的予防でも減少す
る。加えて、自然感染に伴う免疫や特異的治療によっても直接死亡が減少する。
間接死亡は、感染を防ぐことで上記の(c)と(d)の一部が防がれるが、(d)の一部で防がれないものがあ
る。また、間接死亡は予防接種の死亡抑制効果では(c)は防がれるが、(d)は影響を受けないものが多い。
(注意事項)
・死亡の評価は、観察情報と推定研究が豊富になればなるほど妥当な評価へと近づき全容解明に繋がる
傾向がある。リアルタイムでの評価結果や見解が更新される可能性を常に念頭に置くことが望ましい。
・直接死亡に比べて間接死亡が多くとも、それは流行のインパクトが低いことを意味するわけではない。
・オミクロン株のような弱毒と言われる変異株の流行において、直接死亡に比べて間接死亡が多くとも、
それがそのまま弱毒を示唆するわけではない。相対的な弱毒性は未接種者の死亡リスクについて、各株
の直接死亡・間接死亡を評価し、比較検討することで見解を得ることに繋がる。
・ラインリストでの死亡リスク定量化は、感染の診断バイアスに加えて長期フォローアップが患者登録
制度に基づいていないことから過小にも過大にもなり得る。
2