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参考資料4○先進医療技術の科学的評価等について (3 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000205617_00063.html |
出典情報 | 先進医療会議(第127回 12/7)《厚生労働省》 |
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先進医療会議からの指摘事項に対する回答
先進医療技術名:A18「内視鏡的胃局所切除術」
所属・氏名:
令和5年 11 月3日
大阪国際がんセンター消化管内科 上堂文也
1. 当該技術の臨床成績について
当該技術については、病理学的な断端の評価も大切であると考えております。当該技
術において、病理学的なマージンの評価(GIST における R0、R1, Rx 率)について、客観
的な科学的根拠はございますでしょうか?ご説明願います。
【回答】
大変重要な点のご指摘をいただき、ありがとうございます。われわれも本点は非常
に大切と考えています。今回、先進医療として国内 7 施設で行った本技術の臨床研究
では GIST(n=35)について内視鏡的完全切除率は 100%でしたが、組織学的切除断端は R0
(n=25, 71%)、R1 (n=3, 8.6%)、RX (n=7, 20%)でした(Shichijo S, et al. Dig Endosc.
2023 doi: 10.1111/den.14717)。このような内視鏡と組織の完全切除率の乖離の原因
には、①内視鏡切除面が核出術のように腫瘍に近接しているため、電気メスの焼灼効果
が被膜に及び R1 や RX と判定される、②標本回収時に被膜が損傷する(iatrogenic
laceration)、③現在、内視鏡切除された間葉系腫瘍の組織学的切除断端の判定につい
て標準的規準がない、ことなどが原因と考えています。
① について腫瘍から 0.5-1.0 mm 離れた筋層を切除する No touch 内視鏡切除によ
り、GIST(n=92)の組織学的 R0 率が 100%であったという報告があり (Chen T,
et al. Endoscopy 2023;55:557–562)、最近では同法による切除を行っています。
② について大きな内視鏡切除標本回収のための軟性内視鏡用のフィルム製回収バ
ッグが市販されており、それを用いた標本損傷の無い回収を行っています
(Fraile-López M, et al. Endoscopy. 2023;55:E704-E705)。
③ については、鏡視下に明らかに腫瘍に触れず切除したにも係わらず、上皮性腫瘍
と同様に「最側方切片に腫瘍があるため病理学的には断端不明」や、「病理学的
断端判定は困難なため内視鏡的に判断ください」などと診断される場合がありま
した。多施設研究の病理標本については腫瘍専門病理医による見直しを予定して
おります。早期胃癌の内視鏡切除の断端判定規準が技術の普及と症例の蓄積によ
り改善したのと同様に、GIST の内視鏡切除についても臨床転帰を良く反映した
病理学的評価規準が作成されることは、今後必要な重要課題と考えています。
以上
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先進医療技術名:A18「内視鏡的胃局所切除術」
所属・氏名:
令和5年 11 月3日
大阪国際がんセンター消化管内科 上堂文也
1. 当該技術の臨床成績について
当該技術については、病理学的な断端の評価も大切であると考えております。当該技
術において、病理学的なマージンの評価(GIST における R0、R1, Rx 率)について、客観
的な科学的根拠はございますでしょうか?ご説明願います。
【回答】
大変重要な点のご指摘をいただき、ありがとうございます。われわれも本点は非常
に大切と考えています。今回、先進医療として国内 7 施設で行った本技術の臨床研究
では GIST(n=35)について内視鏡的完全切除率は 100%でしたが、組織学的切除断端は R0
(n=25, 71%)、R1 (n=3, 8.6%)、RX (n=7, 20%)でした(Shichijo S, et al. Dig Endosc.
2023 doi: 10.1111/den.14717)。このような内視鏡と組織の完全切除率の乖離の原因
には、①内視鏡切除面が核出術のように腫瘍に近接しているため、電気メスの焼灼効果
が被膜に及び R1 や RX と判定される、②標本回収時に被膜が損傷する(iatrogenic
laceration)、③現在、内視鏡切除された間葉系腫瘍の組織学的切除断端の判定につい
て標準的規準がない、ことなどが原因と考えています。
① について腫瘍から 0.5-1.0 mm 離れた筋層を切除する No touch 内視鏡切除によ
り、GIST(n=92)の組織学的 R0 率が 100%であったという報告があり (Chen T,
et al. Endoscopy 2023;55:557–562)、最近では同法による切除を行っています。
② について大きな内視鏡切除標本回収のための軟性内視鏡用のフィルム製回収バ
ッグが市販されており、それを用いた標本損傷の無い回収を行っています
(Fraile-López M, et al. Endoscopy. 2023;55:E704-E705)。
③ については、鏡視下に明らかに腫瘍に触れず切除したにも係わらず、上皮性腫瘍
と同様に「最側方切片に腫瘍があるため病理学的には断端不明」や、「病理学的
断端判定は困難なため内視鏡的に判断ください」などと診断される場合がありま
した。多施設研究の病理標本については腫瘍専門病理医による見直しを予定して
おります。早期胃癌の内視鏡切除の断端判定規準が技術の普及と症例の蓄積によ
り改善したのと同様に、GIST の内視鏡切除についても臨床転帰を良く反映した
病理学的評価規準が作成されることは、今後必要な重要課題と考えています。
以上
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