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ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(周知依頼) (5 ページ)

公開元URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000190382_00010.html
出典情報 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会(令和3年度第2回 3/16)《厚生労働省》
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2020 年 10 月 2 日
乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた方へ
~留置されている乳房インプラントの出荷停止のお知らせ~
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
日本形成外科学会
日本乳癌学会
日本美容外科学会(JSAPS)

近年、乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細
胞型リンパ腫(Breast Implant Associated-Anaplastic Large Cell Lymphoma (BIA-ALCL))とい
う疾患が知られてきています。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異
なる悪性腫瘍です。
わが国で認可され、乳房再建などを目的として臨床使用されてきたインプラントであるアラガ
ン社のナトレル 410, 110, 115, 120 は、Biocell(バイオセル)という表面構造を持ちます。こ
れは、表面の性状がザラザラしていて凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプで、
この疾患のリスクが他のタイプよりも高いと報告されています。
このため、2019 年 7 月 24 日(現地時間)に米国の厚生労働省にあたる FDA の指導の下、アラガ
ン社が全世界を対象として同社の Biocell を用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしま
した。これに伴い、日本国内でも使用できなくなりました。
世界的には、このインプラントが挿入されている方のうち約 2200-3300 人に1人(0.0300.045%)にこのリンパ腫が発生すると報告されています。日本でも 2019 年に 1 人の発症が報告さ
れました。海外からの報告では、このリンパ腫は、インプラントを入れてから平均 9 年ほどで発
生する可能性があり、症状としてはインプラント周囲に液体がたまり、大きく腫れることで始ま
ることが多いとされています。
BIA-ALCL を発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒す
るとされています。一方で、発見が遅れた場合や切除しきれない場合には化学療法や分子標的薬、
放射線治療等の追加治療が必要となり、死亡した例(世界での発症 733 例のうち 36 例・4.9%)
も報告されています。
乳房インプラントが挿入されている方については、発症リスクは 0.030-0.045%と低く、摘出手
術に伴う出血等のリスクが上回ると考えられるため、症状のない方に対する予防的なインプラン
トの摘出は必要ありません。腫れやしこりがないかをご自身でチェックするようお願いします。
FDA やそれよりも前に流通停止を決定していた EU、カナダにおいても同様の見解です。
本学会では、インプラントの保険適用の際から、最低 10 年の定期的な診察と、2 年に 1 度の
画像検査を推奨してまいりました(インプラントの破損や合併症の発見のため)。この BIAALCL においては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、10 年以降も引き続き、自
己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じた場合にも受診を
お願いいたします。
* 内容に関して不明点がありましたら日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局
(e-mail: jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。