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【資料2】今後のNDBについて (19 ページ)
出典
公開元URL | https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38615.html |
出典情報 | 社会保障審議会 医療保険部会(第176回 3/14)《厚生労働省》 |
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「NDBの迅速提供に向けたスキーム再構築に資する研究」中間報告①
はじめに
令和5年6月の規制改革実施計画において、厚生労働省はNDBについて、利用申請から申請者が実際にデータの利用を開始し得るまでに要する期間につ
いて、平均で390日を要する現状から原則7日(研究者等側の都合に要した期間は除く。)とすることとされ、NDB提供体制の抜本的な見直しが進められ
る。本研究は、NDBデータの利活用の推進のために、令和5年度において対応が必要な政策・技術的課題の検討と、将来的なNDBのあり方も含めた課題
解決に向けた具体的提言を行い、厚生労働行政に直接的に寄与することを目的としている。
NDBデータの提供については、現在運用が開始されつつあるHICでの提供の実現によって、新たにNDBを用いた研究を始めようとする者の初期投資を大
幅に削減することが期待され、今後規制改革実施計画においてとりまとめられたような迅速なデータ提供が実現すれば、劇的に研究促進につながることが
期待される。他方、単なるアクセス向上のみを目的とするのではなく、NDBが有する個人特定性等の課題を踏まえつつ、研究に必要な情報を迅速に提供し、
結果として、公衆衛生の向上や厚生労働行政に資するNDB利活用を実現させることが重要である。そこで、本研究班では、短期的なアクセス向上への対応
にとどまらず、NDBが政策や研究の発展に資するために長期的に目指すべき方向性となることを目的として、まず、NDBの特徴を踏まえた利活用のあり
方を検討し、効率的な提供に資するデータの仕様及びそのための提供体制を議論し、更に、現在の審査体制の課題等について、厚生労働省において提供業
務に携わったことのある複数の研究協力者に参画頂き、検討を行っている。本中間報告においては、NDBの特徴を踏まえた利活用のあり方や令和6年度に
開始するデータ提供内容についての具体案について、専門委員会での議論に資するよう報告する。
NDBの特徴を踏まえた利活用のあり方
NDBは膨大で悉皆的なデータを保有しているという利点が最大の特徴であり、患者重症度等の調整が困難であるという弱点はあるものの、この利点を活
かした厚生労働行政の評価や政策利用の手法開発等を推進することが必要である。また、NDBは診療報酬請求のため集められた各月のレセプト毎のデータ
ベースであり、必ずしも研究のための利便性を考慮して構築されたものではない。このため、一般的なデータベースハンドリングや統計解析、疫学等の知
識に加えて、レセプト構造の理解、コードの解釈のための診療報酬の知識が必要である。次項で詳述するがNDBを研究活用のためのパネルデータとして活
用するためには、レセプト単位で作成されるデータを個人単位化する等の前処理が必要となる。このようなNDBの利便性を向上させるための前処理の一部
は、これまでも厚生労働省において行われてきているが、NDB分析に関する知見は今も発展段階であり、今後広く利活用するためには、こうした個人単位
化するために必要な情報の付与やデータベース構造の見直し等のデータベースを扱いやすくする不断の見直しが必要である。そのためには、研究者は利活
用を通じて得られたNDBの分析に関する知見を厚生労働省に還元し、厚生労働省はその知見に基づき、次項で提案するような迅速提供のためのデータの整
備を優先的に行いつつ、今後も新たに得られた知見を優先度に応じて発展させるようなアジャイル型のデータベースの発展させていくことが望まれる。
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はじめに
令和5年6月の規制改革実施計画において、厚生労働省はNDBについて、利用申請から申請者が実際にデータの利用を開始し得るまでに要する期間につ
いて、平均で390日を要する現状から原則7日(研究者等側の都合に要した期間は除く。)とすることとされ、NDB提供体制の抜本的な見直しが進められ
る。本研究は、NDBデータの利活用の推進のために、令和5年度において対応が必要な政策・技術的課題の検討と、将来的なNDBのあり方も含めた課題
解決に向けた具体的提言を行い、厚生労働行政に直接的に寄与することを目的としている。
NDBデータの提供については、現在運用が開始されつつあるHICでの提供の実現によって、新たにNDBを用いた研究を始めようとする者の初期投資を大
幅に削減することが期待され、今後規制改革実施計画においてとりまとめられたような迅速なデータ提供が実現すれば、劇的に研究促進につながることが
期待される。他方、単なるアクセス向上のみを目的とするのではなく、NDBが有する個人特定性等の課題を踏まえつつ、研究に必要な情報を迅速に提供し、
結果として、公衆衛生の向上や厚生労働行政に資するNDB利活用を実現させることが重要である。そこで、本研究班では、短期的なアクセス向上への対応
にとどまらず、NDBが政策や研究の発展に資するために長期的に目指すべき方向性となることを目的として、まず、NDBの特徴を踏まえた利活用のあり
方を検討し、効率的な提供に資するデータの仕様及びそのための提供体制を議論し、更に、現在の審査体制の課題等について、厚生労働省において提供業
務に携わったことのある複数の研究協力者に参画頂き、検討を行っている。本中間報告においては、NDBの特徴を踏まえた利活用のあり方や令和6年度に
開始するデータ提供内容についての具体案について、専門委員会での議論に資するよう報告する。
NDBの特徴を踏まえた利活用のあり方
NDBは膨大で悉皆的なデータを保有しているという利点が最大の特徴であり、患者重症度等の調整が困難であるという弱点はあるものの、この利点を活
かした厚生労働行政の評価や政策利用の手法開発等を推進することが必要である。また、NDBは診療報酬請求のため集められた各月のレセプト毎のデータ
ベースであり、必ずしも研究のための利便性を考慮して構築されたものではない。このため、一般的なデータベースハンドリングや統計解析、疫学等の知
識に加えて、レセプト構造の理解、コードの解釈のための診療報酬の知識が必要である。次項で詳述するがNDBを研究活用のためのパネルデータとして活
用するためには、レセプト単位で作成されるデータを個人単位化する等の前処理が必要となる。このようなNDBの利便性を向上させるための前処理の一部
は、これまでも厚生労働省において行われてきているが、NDB分析に関する知見は今も発展段階であり、今後広く利活用するためには、こうした個人単位
化するために必要な情報の付与やデータベース構造の見直し等のデータベースを扱いやすくする不断の見直しが必要である。そのためには、研究者は利活
用を通じて得られたNDBの分析に関する知見を厚生労働省に還元し、厚生労働省はその知見に基づき、次項で提案するような迅速提供のためのデータの整
備を優先的に行いつつ、今後も新たに得られた知見を優先度に応じて発展させるようなアジャイル型のデータベースの発展させていくことが望まれる。
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